難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽に対して、gefapixant 45mgの1日2回投与は新規開発の治療法として、許容可能な安全性プロファイルと有効性を有することが示された。英国・クイーンズ大学ベルファストのLorcan P. McGarvey氏らが、2つの第III相臨床試験「COUGH-1試験・COUGH-2試験」の結果を報告した。gefapixantは経口P2X3受容体拮抗薬であり、同薬はこれまでに、難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽に対する有効性と安全性が示されていた。Lancet誌2022年3月5日号掲載の報告。
COUGH-1試験とCOUGH-2試験の2つの第III相試験で検証
COUGH-1試験とCOUGH-2試験はいずれも、第III相の二重盲検無作為化並行群プラセボ対照試験。COUGH-1試験は17ヵ国156試験地、COUGH-2試験は20ヵ国175試験地で実施された。登録被験者は、1年以上続く難治性の慢性咳嗽または原因不明の慢性咳嗽と診断された18歳以上で、スクリニーングおよびベースラインでの咳嗽重症度視覚アナログスケールスコアが40mm以上の患者とした。
適格患者は、コンピュータ生成割付スケジュールを用いて1対1対1の割合で無作為に、3治療群(プラセボ、gefapixant 15mgを1日2回、gefapixant 45mgを1日2回)のいずれか1群に割り付けられた。試験薬はすべて経口薬であった。
COUGH-1試験の主要試験(投薬)期間は12週、COUGH-2試験は同24週であったが、いずれも投薬期間は延長され、総計52週間治療が行われた。
主要アウトカムは、プラセボを補正した24時間咳嗽頻度の平均変化で、COUGH-1試験では12週時点、COUGH-2試験では24週時点で評価した。
gefapixant 45mg・1日2回投与は、プラセボと比較し24時間咳嗽頻度を有意に低下
2018年3月14日(最初の被験者スクリーニング)~2019年7月26日(最後の被験者スクリーニング)に、COUGH-1試験に732例が、COUGH-2試験に1,317例が登録された。無作為化および試験治療を受けたのは、COUGH-1試験は730例(プラセボ群243例[33.3%]、gefapixant 15mg・1日2回投与群244例[33.4%]、gefapixant 45mg・1日2回投与群243例[33.3%])、COUGH-2試験は1,314例(435例[33.1%]、440例[33.5%]、439例[33.4%])であった。
被験者は、大半が女性で(COUGH-1試験542/730例[74.2%]、COUGH-2試験984/1,314例[74.9%])、平均年齢はCOUGH-1試験59.0歳(SD 12.6)、COUGH-2試験は58.1歳(12.1)。平均咳嗽期間はCOUGH-1試験11.6年(SD 9.5)、COUGH-2試験は11.2年(9.8)であった。
gefapixant 45mg・1日2回投与はプラセボと比較し、COUGH-1試験の12週時点(18.5%、95%信頼区間[CI]:32.9~0.9、p=0.041)、COUGH-2試験の24週時点(14.6%、95%CI:26.1~1.4、p=0.031)のいずれにおいても、24時間咳嗽頻度が有意に低下したことが確認された。
gefapixant 15mg・1日2回投与は、両試験ともに咳嗽頻度がプラセボと比較して有意に低下はしなかった。
最も頻度の高い有害事象は、味覚の異常に関連したものであった。味覚消失がCOUGH-1試験36/730例(4.9%)、COUGH-2試験86/1,314例(6.5%)に、味を不快と感じる味覚障害(dysgeusia)はそれぞれ118/730例(16.2%)、277/1,314例(21.1%)、味覚過敏(hypergeusia)は3/730例(0.4%)、6/1,314例(0.5%)、味覚減退(hypogeusia)が19/730例(2.6%)、80/1,314例(6.1%)、分類不能の味覚障害(taste disorder)は28/730例(3.8%)、46/1,314例(3.5%)にそれぞれ報告された。
(ケアネット)