異種ワクチンでのブースター接種、安全性は?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/21

 

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について、「ChAdOx1-S」(アストラゼネカ製)によるプライマリ接種とmRNAワクチン(「BNT162b2」[ファイザー製]または「mRNA-1273」[モデルナ製])によるブースター接種(異種ワクチン接種)は、プライマリ+ブースターをすべてmRNAワクチンで接種した場合(mRNA同種ワクチン3回接種)と比べて、重篤な有害イベントリスクの増大は認められなかったことを、デンマーク・Statens Serum InstitutのNiklas Worm Andersson氏らが報告した。同国内でワクチン接種をした成人を対象に行ったコホート試験の結果で、これまで異種ワクチンの安全性に関する情報は不十分だった。BMJ誌2022年7月13日号掲載の報告。

ワクチン2/3回接種後28日の重篤な心血管・出血/血栓性有害イベントを比較

 研究グループは、2021年1月1日~2022年3月26日にかけて、デンマーク国内を対象にコホート試験を行った。COVID-19ワクチンの初回接種に、「ChAdOx1-S」を接種し、その後ブースター接種としてmRNAワクチン(「BNT162b2」または「mRNA-1273」)を1~2回接種した成人(18~65歳)と、「BNT162b2」または「mRNA-1273」のみを2~3回接種した成人について比較検討した。

 主要アウトカムは、ワクチン2回または3回接種後28日以内の、広範にわたる心血管・出血/血栓性有害イベント(虚血心イベント、脳血管イベント[梗塞または頭蓋内出血]、動脈血栓塞栓症、静脈血栓塞栓症[脳静脈血栓塞栓症または肺塞栓]、心筋炎/心膜炎など)による病院受診の発生だった。ポアソン回帰法で、特定の交絡因子を補正し発生率比を推算し評価した。

24時間以上入院を要する重篤な有害イベント、両群で同等

 計2回接種の異種ワクチン(ChAdOx1-S、mRNA)接種者は13万7,495人、同種ワクチン(mRNA、mRNA)接種者は268万8,142人だった。また、計3回接種の異種ワクチン(ChAdOx1-S、mRNA、mRNA)接種者は12万9,770人、同種ワクチン接種者(mRNA、mRNA、mRNA)は219万7,213人だった。

 異種ワクチン群の同種ワクチン群に対する、ワクチン2/3回接種後28日の、心血管・出血/血栓性有害イベントの補正後発生率比は、虚血心イベントは2回接種群で1.22(95%信頼区間[CI]:0.79~1.91)、3回接種群で1.00(0.58~1.72)であった。また、脳血管イベントはそれぞれ0.74(0.40~1.34)と0.72(0.37~1.42)、動脈血栓塞栓症は1.12(0.13~9.58)と4.74(0.94~24.01)、静脈血栓塞栓症が0.79(0.45~1.38)と1.09(0.60~1.98)、心筋炎/心膜炎が0.84(0.18~3.96)と1.04(0.60~4.55)、血小板減少症と血液凝固障害が0.97(0.45~2.10)と0.89(0.21~3.77)、その他出血イベントが1.39(1.01~1.91)と1.02(0.70~1.47)だった。

 24時間超の入院を要する重篤な有害イベントに限定した場合も、あらゆるアウトカムとの関連について有意差はなかった。

 結果を踏まえて著者は、今回の試験結果は安心を与えるものだとしながらも、稀な有害事象もあるため、関連性を排除するものではないとしている。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)