患者向け広告費が高い医薬品とは?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/02/21

 

 米国では、医療用医薬品(処方薬)の消費者に向けた直接広告(direct-to-consumer[DTC]広告)が許可されている。米国・ジョンズホプキンス公衆衛生大学院のMichael J. DiStefano氏らは、DTC広告費が高い医薬品の特性を明らかにするための調査を実施した。その結果、2020年に売上高が上位を占めた医薬品の中で、総販促費に占めるDTC広告費の割合が高かったのは、付加的な臨床的有用性の評価は低いが総売上高が高い医薬品であったことが明らかになったという。JAMA誌2023年2月7日号掲載の報告。

販促費に占めるDTC広告費は13.5%

 研究グループは、2020年に米国での売上高が上位150品目の医薬品特性と販促費の関連を評価する目的で、探索的な横断研究を行った(Arnold Venturesなどの助成を受けた)。フランスとカナダの医療技術評価機関(France's Haute Autorite de Sante、Canada's Patented Medicine Prices Review Board)と医薬品データソース(Drugs@FDA、FDA Purple Book、Lexicomp、Merative Marketscan Research Databases、Medicare Spending by Drug data)により、医薬特性(2020年総売上高、2020年総販促費、臨床的有用性評価、適応症数、適応外使用、分子タイプ、治療を受けた患者の症状概要、投与タイプ、後発品有無、FDA承認年、WHO解剖治療化学分類、メディケア加入者の年間平均支出、売上に占める当該医薬品の割合、市場規模、市場競争力)を評価した。

 2020年に、販促費に占めるDTC広告費の割合の中央値は13.5%(四分位範囲[IQR]:1.96~36.6)であり、販促費中央値は2,090万ドル(IQR:272万~1億3,100万)であった。また、総売上高中央値は15億1,000万ドル(IQR:9億7,000万~22億6,000万)で、製薬企業の売上高に占める当該医薬品の割合の中央値は7.9%(IQR:4.2~17.7)だった。

 臨床的有用性の評価を受けた135品目のうち92品目(68%)は、付加的な有用性が低いと判定された。また、売上高上位150品目のうち76品目(51%)は、2012年以降に承認されたものであった。販促費の80%以上がDTC広告費に充てられた医薬品は12品目だった。

総売上高10%増ごとに、DTC広告費が1.5%上昇

 付加的な臨床的有用性が低い医薬品は高い医薬品に比べ、販促費全体に占めるDTC広告費の割合が14.3%(95%信頼区間[CI]:1.43~27.2、p=0.03)高かった。また、当該医薬品の総売上高が10%増加するごとに、DTC広告費の占める割合が1.5%(95%CI:0.44~2.56、p=0.005)上昇した。

 WHO分類による消化管・代謝関連の医薬品(インスリン製剤、血糖降下薬を含む)は、他のすべての医薬品分類に比べ、販促費全体に占めるDTC広告費の割合が19.4~38.6%低く、統計学的に有意な差が認められた(いずれもp<0.05)。

 著者は、「これらの知見の意味を理解するには、さらなる研究が必要である」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

統計数理研究所 大学統計教員育成センター 特任教授

滋賀大学 データサイエンス・AIイノベーション研究推進センター 特任教授

J-CLEAR評議員