進行または再発子宮体がん患者において、標準化学療法+免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブの併用療法は、標準化学療法単独と比較して無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し、有害事象の発現状況は両群とも予想どおりであったことが、米国・カリフォルニア大学のRamez N. Eskander氏らが実施した「NRG-GY018試験」で示された。研究結果は、NEJM誌オンライン版2023年3月27日号に掲載された。
dMMRとpMMRで層別化した無作為化プラセボ対照試験
NRG-GY018試験は、4ヵ国(米国、カナダ、日本、韓国)の395施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年7月~2022年12月に患者の登録が行われた(米国国立がん研究所[NCI]などの助成を受けた)。
年齢18歳以上で、測定可能なStageIII/IVA、または測定可能病変の有無を問わずStageIVBあるいは再発病変を有し、新規に診断された子宮体がん患者が、標準化学療法であるパクリタキセル+カルボプラチンに加え、ペムブロリズマブまたはプラセボを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。なお、前回化学療法からの期間が12ヵ月以上の場合は組み入れ可能とした。
ペムブロリズマブとプラセボは、化学療法と併用で3週ごとに6サイクルを静脈内投与したのち、維持療法として単剤で6週ごとに最大14サイクルが投与された。被験者は、ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)とミスマッチ修復機能正常(pMMR)の2つのコホートに層別化された。
主要評価項目は、2つのMMRコホートにおけるPFSとされた。中間解析は、dMMRコホートで少なくとも84件の死亡または進行のイベントが発生、およびpMMRコホートで少なくとも196件のイベントが発生した後に行うことが計画された。
dMMRコホートでの無増悪生存率:74% vs.38%
816例が登録され、このうち225例がdMMRコホート、591例がpMMRコホートであり、有効性の解析には、それぞれ225例(ペムブロリズマブ群112例、プラセボ群113例)、588例(293例、295例)が含まれた。年齢中央値はdMMRコホートが66歳、pMMRコホートは65.5歳であり、前治療として化学療法を受けた患者がそれぞれ5.8%、25.3%、放射線治療が42.7%、39.6%、手術が90.2%、86.1%であった。
dMMRコホートでは、追跡期間中央値12ヵ月時点でのPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が未到達(95%信頼区間[CI]:30.6~未到達)、プラセボ群は7.6ヵ月(6.4~9.9)であり、ペムブロリズマブ群で有意に長かった。Kaplan-Meier法により推定した無増悪生存率は、それぞれ74%、38%であり、病勢進行または死亡のリスクは、ペムブロリズマブ群がプラセボ群より70%低かった(ハザード比[HR]:0.30、95%CI:0.19~0.48、p<0.001)。
同様に、pMMRコホートの追跡期間中央値7.9ヵ月時点のPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が13.1ヵ月(95%CI:10.5~18.8)、プラセボ群は8.7ヵ月(8.4~10.7)と、有意な差が認められた(HR:0.54、95%CI:0.41~0.71、p<0.001)。
有害事象の発現状況は、ペムブロリズマブ群、プラセボ群とも予想どおりであった。dMMRコホートでは、ペムブロリズマブ群98.2%、プラセボ群99.1%で有害事象が発現し、pMMRコホートではそれぞれ93.5%、93.4%で認められた。Grade3以上の有害事象は、dMMRコホートではペムブロリズマブ群63.3%、プラセボ群47.2%、pMMRコホートではそれぞれ55.1%、45.3%で発現した。
注目すべき有害事象(インフュージョンリアクション、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、大腸炎、肺臓炎など)は、dMMRコホートではペムブロリズマブ群38.5%、プラセボ群26.4%、pMMRコホートではそれぞれ33.3%、19.7%で発現し、Grade3以上はdMMRコホートではペムブロリズマブ群8.3%、プラセボ群5.7%、pMMRコホートではそれぞれ3.6%、2.6%でみられた。
著者は、「これらのデータは、進行・再発子宮体がん患者の1次治療への免疫療法の導入が、MMRの状態や組織学的所見にかかわらず、腫瘍学的アウトカムの改善につながることを示唆するものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)