多枝病変ACSへの完全血行再建術、即時vs.段階的/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/24

 

 急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者において、即時完全血行再建術は、責任病変のみに行う段階的完全血行再建術に対して、主要複合アウトカムに関して非劣性であり、心筋梗塞および予定外の虚血による血行再建術の施行を低減したことが示された。オランダ・エラスムス大学医療センターのRoberto Diletti氏らが、前向き非盲検非劣性無作為課試験「BIOVASC試験」の結果を報告した。急性冠症候群および多枝冠動脈疾患を有する患者では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による完全血行再建術施行が臨床アウトカム改善と関連することが示されている。研究グループは、非責任病変へのPCIをindex手術中に行うべきか、段階を踏んで行うべきかを調べる目的で本検討を行った。Lancet誌2023年4月8日号掲載の報告。

非責任病変をindex手術中に施術vs.6週後に施術、1年後の複合アウトカム評価

 BIOVASC試験は、ベルギー、イタリア、オランダ、スペインの29病院で、ST上昇型心筋梗塞または非ST上昇型急性冠症候群を呈し、多枝冠動脈に明らかな責任病変(冠動脈2枝以上に視覚的推定で直径2.5mm以上かつ70%以上の狭窄、または冠動脈生理学的検査陽性)が認められる18~85歳の患者を対象に行われた。

 ウェブベースの無作為化モジュール法により、試験実施施設で層別化した4~8のブロックサイズを用いて、患者を即時完全血行再建術群(即時群)と段階的完全血行再建術群(段階的群)に1対1で割り付けた。即時群では、PCIのindex手術中、責任病変の施術を最初に、続いて術者によって臨床的に重要と見なされた他の非責任病変の施術が行われた。段階的群では、PCIのindex手術中に責任病変のみ施術が行われ、その後6週間以内に術者によって臨床的に重要と見なされた他の非責任病変の施術が行われた。

 主要アウトカムは、index手術後1年時点で評価した全死因死亡、心筋梗塞、あらゆる予定外の虚血による血行再建術、または脳血管イベントの複合であった。副次アウトカムは、index手術後1年の全死因死亡、心筋梗塞、あらゆる予定外の虚血による血行再建術などであった。主要および副次アウトカムは、無作為化された全患者を対象にintention to treat(ITT)解析にて評価された。即時完全血行再建術の段階的完全血行再建術に対する非劣性は、主要アウトカムのハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)上限値が1.39以下の場合と定義した。

即時完全血行再建術の非劣性を確認

 2018年6月26日~2021年10月21日に、764例(年齢中央値65.7歳[四分位範囲[IQR]:57.2~72.9]、男性598例[78.3%])が即時群に、761例(65.3歳[58.6~72.9]、589例[77.4%])が段階的群に無作為に割り付けられ、全例がITT集団に組み込まれた。

 index手術後1年時点の主要アウトカムの発生は、即時群57/764例(7.6%)、段階的群71/761例(9.4%)であった(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11、非劣性のp=0.0011)。

 両群間で全死因死亡の発生に有意差はなかった(14例[1.9%]vs.9例[1.2%]、HR:1.56[95%CI:0.68~3.61]、p=0.30)。心筋梗塞には有意差があった(14例[1.9%]vs.34例[4.5%]、0.41[0.22~0.76]、p=0.0045)。予定外の虚血による血行再建術の施行は、段階的群のほうが多かった(31例[4.2%]vs.50例[6.7%]、0.61[0.39~0.95]、p=0.030)。

(ケアネット)