急性脳梗塞、単純CT診断下で血管内血栓除去術vs.薬物治療単独/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/23

 

 患者を選定する画像診断に、造影剤を用いない単純CTを用いる環境下では、主幹動脈閉塞の大梗塞が認められた急性虚血性脳卒中患者において、血管内血栓除去術は機能的アウトカムの改善および死亡率低下と関連することが、ドイツ・ハイデルベルク大学病院のMartin Bendszus氏らによる、前向き多施設共同非盲検無作為化試験の結果で示された。最近のエビデンスとして、急性脳梗塞では血管内血栓除去術の有益な効果が示されている。しかしながら、それらの試験はマルチモーダル脳画像に依拠しており、臨床現場で使用されているのは主に単純CTであることから本検討が行われた。Lancet誌オンライン版2023年10月11日号掲載の報告。

血管内血栓除去術+薬物治療vs.薬物治療単独を評価

 試験は欧州の40病院とカナダの1施設で行われた。被験者は、ASPECTSスコア3~5の脳主幹動脈閉塞および大梗塞が認められた急性虚血性脳卒中の患者で、中央のWebベースシステムを用いて無作為に1対1の割合で、脳卒中発症から12時間以内に、血管内血栓除去術+薬物治療または薬物治療単独(たとえば標準的なケア)を受ける群に割り付けられた。

 主要アウトカムは90日時点の機能的アウトカムで、治療割り付けをマスクされた研究者により修正Rankinスケールの全範囲スコアを用いて評価された(ITT集団で解析)。安全性のエンドポイントには、死亡率、症候性頭蓋内出血率などが含まれた(受けた治療に基づき全患者を含めた安全性集団で解析)。

90日時点の機能的アウトカム改善および死亡率低下と関連

 2018年7月17日~2023年2月21日に253例が無作為化された(血管内血栓除去群125例、薬物治療単独群128例)。両群の人口統計学的特徴および臨床特性は類似しており、両群合わせた被験者の年齢中央値は74歳(四分位範囲[IQR]:65~80)、女性が123/253例(49%)であった。ベースラインのNIHSSスコア中央値は、血管内血栓除去群19(IQR:16~22)、薬物治療単独群18(15~22)、単純CTベースでベースラインASPECTS評価が行われたのは、それぞれ104/125例(83%)、104/128例(81%)であった。登録時にCT画像診断が用いられたのは208/253例(82%)。

 試験は、事前に計画された最初の中間解析で有効性が確認され、早期に終了された。

 90日時点で、血管内血栓除去群は、修正Rankinスケールのスコア分布がより良好なアウトカムへとシフトしており(補正後共通オッズ比[OR]:2.58、95%信頼区間[CI]:1.60~4.15、p=0.0001)、死亡率の低下とも関連していた(ハザード比[HR]:0.67、95%CI:0.46~0.98、p=0.038)。

 症候性頭蓋内出血は、血管内血栓除去群で7例(6%)、薬物治療単独群で6例(5%)報告された。

(ケアネット)