起立性低血圧ありの高血圧患者、厳格治療のベネフィットは?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/26

 

 ベースラインで起立性低血圧が認められる場合でも、厳格降圧治療が標準降圧治療と比べて心血管疾患(CVD)または全死因死亡リスクを低減し、また立位性低血圧の有無による治療効果の差はないことが、米国・ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのStephen P. Juraschek氏らによる検討で示された。起立性低血圧または立位性低血圧を有する成人において、厳格vs.標準降圧の有益性については懸念が続いていた。JAMA誌2023年10月17日号掲載の報告。

CVDまたは全死因死亡リスクを比較

 研究グループは、ベースラインで起立性低血圧または立位性低血圧を有する被験者におけるCVDまたは全死因死亡への降圧治療の影響を調べるため、血圧目標値がより低値の治療または積極的な治療と、血圧目標値が標準の治療またはプラセボによる治療を比較した。

 2022年5月13日までのMEDLINE、EMBASE、CENTRALのデータベースを基に、起立性低血圧の評価を行い、薬物による厳格降圧治療(血圧目標値が厳格または積極的治療薬)を評価した無作為化試験を特定。PRISMAガイドラインに沿って被験者個人のデータを対象にメタ解析を行った。治療効果は、Cox比例ハザードモデルのシングルステージ・アプローチで評価した。

 主要アウトカムは、CVDまたは全死因死亡。起立性低血圧は、座位から立位で収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が10mmHg以上、いずれも低下する状態と定義した。立位性低血圧は、立位時の収縮期血圧110mmHg以下または拡張期血圧60mmHg以下と定義した。

起立性低血圧有無にかかわらず、厳格降圧がCVDまたは全死因死亡リスクを低減

 9試験(被験者総数2万9,235例)が解析に含まれ、追跡期間中央値は4年、平均年齢は69.0歳(SD 10.9)、女性は48%だった。ベースラインで起立性低血圧が認められたのは9%、立位性低血圧は5%だった。

 厳格降圧治療は、ベースラインでの起立性低血圧の有無にかかわらず、CVDまたは全死因死亡リスクを同様に低下した(それぞれ、ハザード比[HR]:0.81[95%信頼区間[CI]:0.76~0.86]、0.83[0.70~1.00]、ベースライン起立性低血圧と治療の相互作用に関するp=0.68)。

 立位性低血圧については、ベースラインで認められなかった被験者ではCVDまたは全死因死亡リスクの低下がみられたが(HR:0.80[95%CI:0.75~0.85])、認められた被験者では有意な低下はみられなかった(0.94[0.75~1.18])。ベースラインの立位性低血圧の有無による治療効果の差はみられなかった(ベースライン立位性低血圧と治療の相互作用に関するp=0.16)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 石川 讓治( いしかわ じょうじ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 循環器内科 部長

J-CLEAR推薦コメンテーター