抗狭心症薬非服用の安定狭心症、PCIは有効か?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/27

 

 抗狭心症薬による治療をほぼ受けていない、またはまったく受けていない、客観的虚血を認める安定狭心症の患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はプラセボ処置と比較して、狭心症症状スコアを有意に改善し、狭心症関連の健康状態を良好とすることが示された。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのChristopher A. Rajkumar氏らが、301例を対象に行った二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。PCIは、安定狭心症の症状軽減を目的に施行される頻度が高いが、抗狭心症薬治療を受けていない患者への有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

施行後12週間追跡し、対プラセボの狭心症症状スコアを比較

 試験は、研究者主導にて英国の14施設で行われた。被験者はすべての抗狭心症薬の服用を中止し、無作為化前の2週間は症状評価期間とされた。その後、被験者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはPCIを、もう一方にはプラセボ処置を施行し、12週間追跡した。

 主要エンドポイントは狭心症症状スコアで、特定の日に発生した狭心症エピソードの回数、その日に処方された抗狭心症薬の数、臨床イベント(許容できない狭心症のための非盲検化や急性冠症候群の発生もしくは死亡)を基に算出された。スコア範囲は0~79点で、高いほど狭心症関連の健康状態の悪化を示した。

狭心症症状の平均スコア、PCI群2.9、プラセボ群5.6で有意差

 2018年11月12日~2023年6月17日に、最終的に301例が無作為化された(PCI群151例、プラセボ群150例)。平均年齢(±SD)は64±9歳で、男性は79%だった。

 虚血を認めたのは、1ヵ所が242例(80%)、2ヵ所が52例(17%)、3ヵ所が7例(2%)だった。

 標的血管において、血流予備量比(FFR)の中央値は0.63(四分位範囲[IQR]:0.49~0.75)、瞬時拡張期冠内圧比(iFR)の中央値は0.78(IQR:0.55~0.87)だった。

 追跡期間12週時の狭心症症状の平均スコアは、PCI群2.9、プラセボ群5.6だった(オッズ比:2.21、95%信頼区間:1.41~3.47、p<0.001)。

 プラセボ群の1例が、許容できない狭心症のため非盲検化となった。急性冠症候群は、PCI群4例、プラセボ群6例で発生した。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 野間 重孝( のま しげたか ) 氏

栃木県済生会宇都宮病院 院長

J-CLEAR評議員

原著論文はこちら

Rajkumar CA, et al. N Engl J Med. 2023 Nov 11. [Epub ahead of print]