超早産児の動脈管開存症、イブプロフェンによる早期治療は無益/NEJM

超早産児の動脈管開存症(PDA)の治療において、早期のイブプロフェン投与はプラセボと比較し、最終月経後年齢36週時における死亡または中等度~重度気管支肺異形成症のリスクを低下させないことが示された。英国・ダラム大学のSamir Gupta氏らが、英国の新生児集中治療室(NICU)32施設で実施した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるイブプロフェンは、早産児のPDA治療に使用できるが、大きなPDAへの選択的早期治療が、短期アウトカムを改善するかどうかは不明であった。NEJM誌2024年1月25日号掲載の報告。
大きなPDAを有する生後72時間以内の超早産児でイブプロフェンvs.プラセボ
研究グループは、在胎23週0日~28週6日で出生し、心エコー検査によりPDA(直径1.5mm以上、左右シャント)が確認された生後72時間以内の新生児を、イブプロフェン群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。イブプロフェン群には10mg/kgを負荷用量として投与した後、5mg/kgを24時間以上の間隔を空けて2回投与した。主要アウトカムは、最終月経後年齢36週時の死亡または中等度~重度の気管支肺異形成症の複合、退院時までの副次アウトカムは主要アウトカムの個々のイベント、気管支肺異形成症の重症度などであった。
2015年7月~2020年12月に、計653例がイブプロフェン群(326例)とプラセボ群(327例)に無作為に割り付けられた。このうち、割り付けられた治療を受けたのは、それぞれ318例(97.5%)および315例(96.3%)であった。
死亡または中等度~重度気管支肺異形成症の発生、69.2% vs.63.5%
主要アウトカムのイベントは、イブプロフェン群で318例中220例(69.2%)、プラセボ群で318例中202例(63.5%)に発生し、補正後リスク比は1.09(95%信頼区間[CI]:0.98~1.20、p=0.10)であった。イブプロフェン群で323例中44例(13.6%)、プラセボ群で321例中33例(10.3%)が死亡した(補正後リスク比:1.32、95%CI:0.92~1.90)。
最終月経後年齢36週時までの生存児において、中等度~重度の気管支肺異形成症は、イブプロフェン群で274例中176例(64.2%)、プラセボ群で285例中169例(59.3%)に発生した(補正後リスク比:1.09、95%CI:0.96~1.23)。
イブプロフェンに関連する可能性があると評価された予測できない重篤な有害事象が2件発生し、このうち1件は予測できない重篤な副作用に分類された。
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

統合失調症に対するアリピプラゾール併用による糖脂質代謝への影響〜メタ解析(2025/02/24)

イサツキシマブ、未治療の多発性骨髄腫に適応追加/サノフィ(2025/02/24)

フロスの使用に脳梗塞の予防効果?(2025/02/24)

重度の感染症による入院歴は心不全リスクを高める(2025/02/24)

冷水浸漬はある程度の効果をもたらす可能性あり(2025/02/24)

アスピリンはPI3K経路に変異のある大腸がんの再発リスクを低下させる/ASCO-GI(2025/02/24)

日本人の食事関連温室効果ガス排出量と死亡リスクにU字型の関連(2025/02/24)
[ あわせて読みたい ]
Dr.大塚の人生相談(2024/02/26)
IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01)
旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)
エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)
医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)
診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)
今考える肺がん治療(2022/08/24)
あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09)