新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する2価mRNAワクチンについて、小児・思春期(5~17歳)へのSARS-CoV-2感染および症候性COVID-19に対する保護効果が認められることが示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のLeora R. Feldstein氏らが、3つの前向きコホート試験に参加した約3,000例のデータを解析し報告した。米国では12歳以上については2022年9月1日から、5~11歳児については同年10月12日から、COVID-19に対する2価mRNAワクチンの接種を推奨しているが、その有効性を示す試験結果は限られていた。著者は、「今回示されたデータは、小児・思春期へのCOVID-19ワクチンの有益性を示すものである。対象となるすべての小児・思春期は、推奨される最新のCOVID-19ワクチン接種状況を維持する必要がある」と述べている。JAMA誌2024年2月6日号掲載の報告。
米国計6ヵ所で集めたデータを統合し解析
研究グループは、米国で行った3つの前向きコホート試験(計6ヵ所で実施)の2022年9月4日~2023年1月31日のデータを統合し、5~17歳の小児・思春期におけるCOVID-19に対する2価mRNAワクチンの有効性を推定した。被験者総数は2,959例で、定期的サーベイ(人口統計学的・世帯特性、慢性疾患、COVID-19症状を調査)を行った。サーベイでは、症状の有無にかかわらず自己採取した鼻腔ぬぐい液スワブを毎週提出してもらい、また症状がある場合には追加の同スワブを提出してもらった。
ワクチン接種の状況は定期的サーベイで集め、州の予防接種情報システムや電子カルテで補完した。
採取したスワブを用いてRT-PCR検査でSARS-CoV-2ウイルスの有無を調べ、症状の有無にかかわらず陽性はSARS-CoV-2感染と定義した。検体採取から7日以内に2つ以上のCOVID-19症状がある検査陽性例を、症候性COVID-19と定義した。
COVID-19 2価mRNAワクチン接種者と、非接種者または単価ワクチンのみ接種者について、Cox比例ハザードモデルを用いてSARS-CoV-2感染や症候性COVID-19のハザード比を算出。年齢や性別、人種、民族、健康状態、SARS-CoV-2感染歴、試験地別の流行型の割合、地域ウイルス感染率などで補正を行い評価した。
感染率は2価ワクチン群0.84/1,000人日、非2価ワクチン群1.38/1,000人日
被験者2,959例のうち、女子は47.8%、年齢中央値は10.6歳(四分位範囲[IQR]:8.0~13.2)、非ヒスパニック系白人は64.6%だった。COVID-19 2価mRNAワクチンを1回以上接種したのは、25.4%だった。
試験期間中、SARS-CoV-2感染が確認されたのは426例(14.4%)だった。このうち184例(43.2%)が症候性COVID-19を有した。426例の感染者のうち、383例(89.9%)はワクチン未接種または単価ワクチンのみ接種者で(SARS-CoV-2感染率1.38/1,000人日)、43例(10.1%)が2価mRNAワクチン接種者だった(同感染率0.84/1,000人日)。
SARS-CoV-2感染に対する2価mRNAワクチンの有効性は、54.0%(95%信頼区間:36.6~69.1)で、症候性COVID-19に対する同有効性は49.4%(22.2~70.7)だった。
ワクチン接種後の観察期間中央値は、単価ワクチンのみ接種者は276日(IQR:142~350)だったのに対し、2価mRNAワクチン接種者は50日(27~74)であった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)