マジックマッシュルーム成分の抗うつ効果は?~メタ解析/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/15

 

 数種類のキノコに含まれるセロトニン作動性の幻覚成分であるpsilocybinの抗うつ治療効果を検証するため、英国・オックスフォード大学のAthina-Marina Metaxa氏らは、これまで発表された研究論文についてシステマティック・レビューとメタ解析を行った。うつ症状の測定に自己報告尺度を用いており、以前に幻覚剤を使用したことがある二次性うつ病患者において、psilocybinの治療効果は有意に大きかったという。結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、抗うつ薬としてのpsilocybinの治療可能性を最大化する因子を明らかにする必要がある」と述べている。近年、うつ病治療の研究は、古典的な抗うつ薬の欠点がなく強力な抗うつ作用を示す幻覚剤に焦点が当てられており、psilocybinもその1つに含まれる。直近の10年間に、複数の臨床試験、メタ解析、システマティック・レビューが行われ、そのほとんどにおいてpsilocybinに抗うつ効果がある可能性が示されたが、うつ病のタイプ、幻覚剤の使用歴、投与量、アウトカム尺度、出版バイアスなど、psilocybinの効果に作用する可能性がある因子については調査されていなかった。BMJ誌2024年5月1日号掲載の報告。

メタ解析で、psilocybinの有効性をプラセボまたは非向精神薬と比較

 研究グループは、psilocybinの抗うつ薬としての有効性をプラセボまたは非向精神薬と比較し明らかにするため、システマティック・レビューとメタ解析で検証した。

 5つの出版文献データベース(Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase、Science Citation Index、Conference Proceedings Citation Index、PsycInfo)、4つの非出版・国際的文献データベース(ClinicalTrials.gov、WHO International Clinical Trials Registry Platform、ProQuest Dissertations and Theses Global、PsycEXTRA)、手動検索による参考文献リスト、カンファレンス議事録および要約をデータソースとした。

 適格としたのは、臨床的に重大なうつ症状を有する成人に対し単独治療としてpsilocybinが投与され、症状の変化を臨床医による検証済み評価尺度または患者の自己報告尺度を用いて評価した無作為化試験。指示的心理療法を有する試験は、介入条件と対照条件の両方に心理療法の要素が認められた場合に包含した。参加者は、併存疾患(がんなど)に関係なく、うつ病を有する場合に適格とした。

 治療効果に作用する可能性のある因子として、うつ病のタイプ(原発性または二次性)、幻覚剤の使用歴、psilocybin投与量、アウトカム尺度のタイプ(臨床医による評価または患者の自己報告)、個人の特性(年齢、性別など)を抽出。データはランダム効果メタ解析モデルを用いて統合し、観察された不均一性および共変量の効果をサブグループ分析とメタ回帰法で調べた。小さなサンプル効果、包含した試験間のサンプルサイズの実質的な差を示すため、Hedges' gを用いて治療効果サイズを評価した。

psilocybinに有意な有益性あり、エビデンスの確実性は低い

 包含した9試験のうち7試験の被験者436例(女性228例、平均年齢36~60歳)を対象としたメタ解析で、対照治療群と比較したうつ病スコアの変化において、psilocybinの有益性が有意であることが示された(Hedges' g=1.64、95%信頼区間[CI]:0.55~2.73、p<0.001)。

 サブグループ解析およびメタ回帰法により、二次性うつ病であること(Hedges' g=3.25、95%CI:0.97~5.53)、Beck depression inventoryのような自己報告うつ病スケールで評価されていること(3.25、0.97~5.53)、高齢で幻覚剤使用歴があること(それぞれのメタ回帰係数:0.16[95%CI:0.08~0.24]、4.2[1.5~6.9])が、症状の大幅な改善と関連していた。

 すべての試験は、バイアスリスクが低かったが、ベースライン測定値からの変化は高い不均一性と小規模試験のバイアスリスクと統計学的に有意に関連しており、エビデンスの確実性は低かった。

(ケアネット)