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混合型脂質異常症へのRNA干渉薬zodasiran、TGを有意に低下/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/07

 

 肝臓におけるアンジオポエチン様3(ANGPTL3)の合成と分泌を阻害する低分子干渉(si)RNA薬のzodasiranは、混合型脂質異常症患者において、プラセボと比較し24週時のトリグリセライド(TG)値を有意に低下させたことが示された。米国・Mount Sinai Fuster Heart HospitalのRobert S. Rosenson氏らARCHES-2 Trial Teamが、4ヵ国25施設で実施した第IIb相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験「ARCHES-2試験」の結果を報告した。ANGPTL3は、リポ蛋白および血管内皮リパーゼを阻害することで、TGに富むレムナントリポ蛋白の肝臓への取り込みを阻害する。ANGPTL3遺伝子の機能喪失型変異保有者は非保有者と比較し、TG、LDLコレステロール、HDLコレステロール、non-HDLコレステロールの値が低く、アテローム動脈硬化性心血管疾患のリスクが低いことが知られていた。NEJM誌オンライン版2024年5月29日号掲載の報告。

第IIb相無作為化プラセボ対照比較試験で有効性と安全性を評価

 研究グループは、2021年6月28日~2022年8月31日に、混合型脂質異常症(空腹時TG値150~499mg/dL、かつLDLコレステロール値70mg/dL以上またはnon-HDLコレステロール値100mg/dL以上)の成人患者を、zodasiran群(50mg、100mg、200mgの各用量群)またはプラセボ群に3対1の割合で無作為に割り付け、1日目および12週目に皮下投与して36週目まで追跡した。

 主要エンドポイントは24週時における空腹時血漿中TG値のベースラインからの変化率で、各zodasiran群とプラセボ群の平均値の差を、反復測定共分散分析(ANCOVA)を用いて比較した。副次エンドポイントは、空腹時血漿中TG値の36週時までの変化率、空腹時non-HDLコレステロール、アポリポ蛋白B(APOB)、LDLコレステロール、ANGPTL3、HDLコレステロールの各値のベースラインから24週時および36週時までの変化率であった。

TG値が有意に減少、non-HDL-C、APOB、LDL-Cも改善

 計204例が無作為化され、191例(94%)が二重盲検投与期を完遂した。204例の患者背景は、平均年齢61歳、平均BMIは33、喫煙者が20%、慢性腎臓病を有している患者が8%、冠動脈疾患10年リスク>20%の患者が14%であった。

 24週時において、プラセボ群と比較しzodasiran群で用量依存的な空腹時血漿中TG値の低下が認められた。ベースラインからの変化率のzodasiran群とプラセボ群の最小二乗平均差(%ポイントで評価)は、50mg群で-51%ポイント、100mg群で-57%ポイント、200mg群で-63%ポイント(すべての比較でp<0.001)であった。この差は36週時も維持されており、ベースラインからの変化率のプラセボ群との差はそれぞれ-34%ポイント、-38%ポイント、-51%ポイントであった。

 また、24週時にANGPTL3値の用量依存的な低下も観察され(ベースラインからの変化率のプラセボ群との差:50mg群-54%ポイント、100mg群-70%ポイント、200mg群-74%ポイント)、これはTG値と強い相関が認められた(ピアソン相関係数0.69)。

 その他の副次エンドポイントの24週時におけるベースラインからの変化率のプラセボ群との差は、non-HDLコレステロール値が50mg群-29%ポイント、100mg群-29%ポイント、200mg群-36%ポイント、APOB値がそれぞれ-19%ポイント、-15%ポイント、-22%ポイント、LDLコレステロール値がそれぞれ-16%ポイント、-14%ポイント、-20%ポイントであった。

 全有害事象、ならびに治験担当医師が試験薬と関連があると判定した有害事象の発現率はzodasiran群とプラセボ群で類似していた(それぞれ65~81% vs.67%、18~26% vs.18%)。zodasiran 200mg群では、糖尿病既往歴のある患者において糖化ヘモグロビン値の一時的な上昇が認められた。

(医学ライター 吉尾 幸恵)