StageIII悪性黒色腫への術後ダブラフェニブ+トラメチニブの最終結果/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/07/11

 

 BRAF V600変異陽性StageIII悪性黒色腫の患者に対するダブラフェニブ+トラメチニブの併用による術後補助療法は、約10年の追跡調査時点でプラセボと比較して、無再発生存期間(RFS)および無遠隔転移生存期間(DMFS)は良好であった。全生存期間(OS)については、併用群の死亡リスクがプラセボ群と比較して約20%低かったが、有意差は示されなかった。オーストラリア・シドニー大学のGeorgina V. Long氏らが870例を対象とした第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「COMBI-AD試験」の最終解析結果を報告した。同試験事前規定の中間解析では、3年時のOSが有意差は示されなかったが併用群で延長したことが、また5年時解析ではRFSとDMFSについて併用群での延長が示され、OSを含むより長期の結果が求められていた。NEJM誌オンライン版2024年6月19日号掲載の報告。

8年超のOS、RFS、無遠隔転移生存など最終解析結果を報告

 COMBI-AD試験は、BRAF V600変異陽性StageIII悪性黒色腫患者の術後補助療法として、ダブラフェニブ(150mgを1日2回)+トラメチニブ(2mgを1日1回)併用療法の12ヵ月間の投与(最終投与管理は2015年12月)をプラセボと比較した試験(被験者数870例[併用群438例、プラセボ群432例])。既報の中間解析結果では、再発リスクがプラセボ群と比較して併用群で有意に低下したことなどが報告され(https://www.carenet.com/news/journal/carenet/450271)、多くの国でBRAF V600変異陽性悪性黒色腫患者の術後補助療法として承認された。また、同様の結果はリアルワールド臨床試験でも報告されている。

 本論では最終解析結果として、8年超の長期追跡後のOS、悪性黒色腫の特異的生存期間、RFS、DMFSおよび安全性などが報告された。

BRAF V600E変異陽性悪性黒色腫患者の死亡リスクは25%低下

 試験終了時点(2023年7月31日)で追跡期間中央値は、併用群が8.33年、プラセボ群が6.87年であった。

 死亡は、併用群125例(29%)、プラセボ群136例(31%)であり、8年OS率のKaplan-Meier推定値は、併用群71%、プラセボ群65%であった(死亡ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.62~1.01、層別化log-rank検定のp=0.06)。なお、悪性黒色腫による死亡は併用群99例(23%)、プラセボ群111例(26%)(悪性黒色腫による死亡HR:0.78、95%CI:0.59~1.02)。

 事前規定のサブグループ解析では、併用療法を用いることの生存ベネフィットが一貫してみられ、なかでもBRAF V600E変異を有する患者、原発巣に潰瘍形成を伴う患者、マクロ転移を有する患者が最も大きな有益性を得ていた。BRAF V600E変異を有する患者792例におけるOSは、全試験集団と同等であった(死亡HR:0.75、95%CI:0.58~0.96)。

 RFSはプラセボ群と比較して併用群で優れており(再発または死亡のHR:0.52、95%CI:0.43~0.63)、DMFSも同様であった(遠隔転移または死亡のHR:0.56、95%CI:0.44~0.71)。

 安全性に関する所見は既報試験と同様で、新たな懸念は報告されなかった。

 結果を踏まえて著者は、「BRAF V600E変異陽性悪性黒色腫患者において、併用群では死亡リスクが25%低下したことが示された」とまとめている。

(ケアネット)

参考文献・参考サイトはこちら