BRAF V600E/K遺伝子変異陽性StageIII悪性黒色腫に対する、BRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブの併用術後補助療法は、プラセボと比較して再発リスクが有意に低く、新たな毒性もみられなかった。オーストラリア・シドニー大学のGeorgina V. Long氏らが、二重盲検プラセボ対照第III相試験「COMBI-AD試験」の結果を報告した。これまで、COMBI-d試験およびCOMBI-v試験において、ダブラフェニブ+トラメチニブの併用療法は、ダブラフェニブ単剤療法またはベムラフェニブ単剤療法と比較し、BRAF V600E/K遺伝子変異陽性の進行性または転移性悪性黒色腫患者の生存期間を延長することが示されていた。NEJM誌2017年11月9日号掲載の報告。
870例で、1年間投与し無再発生存を評価
COMBI-AD試験は、2013年1月~2014年12月に、26ヵ国の169施設において実施された。対象は、外科的完全切除後の
BRAF V600E/K遺伝子変異陽性StageIII悪性黒色腫患者870例で、ダブラフェニブ(150mg、1日2回)+トラメチニブ(2mg、1日1回)の併用療法群(438例)と、それぞれのプラセボを投与するプラセボ群(432例)に無作為に割り付けられ、12ヵ月間の投与が行われた。
主要エンドポイントは無再発生存、副次エンドポイントは全生存、無遠隔転移生存、無再発、安全性などであった。有効性は割り付けされた全例(intention-to-treat解析)、安全性は治験薬の投与を1回以上受けた患者を解析対象集団とした。
併用療法により悪性黒色腫再発または死亡リスクは53%減少
追跡期間中央値2.8年時点で、3年無再発生存率は併用療法群が58%であったのに対し、プラセボ群は39%であった(再発または死亡のハザード比[HR]:0.47、95%信頼区間[CI]:0.39~0.58、p<0.001)。
3年全生存率は、併用療法群86%、プラセボ群77%であったが(死亡HR:0.57、95%CI:0.42~0.79、p=0.0006)、この差は事前に規定された中間解析における有意差の閾値p=0.000019を超えなかった。無遠隔転移生存率および無再発率も、プラセボ群より併用療法群が高値であった。
ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の安全性プロファイルは、転移性悪性黒色腫患者における併用療法で観察されたプロファイルと一致していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)