進行期古典的ホジキンリンパ腫の1次治療、BrECADDが有効/Lancet

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/07/17

 

 進行期の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する1次治療において、ブレオマイシン+エトポシド+ドキソルビシン+シクロホスファミド+ビンクリスチン+プロカルバジン+prednisone(eBEACOPP)療法と比較して、2サイクル施行後のPET所見に基づくbrentuximab vedotin+エトポシド+シクロホスファミド+ドキソルビシン+ダカルバジン+デキサメタゾン(BrECADD)療法は、忍容性が高く、無増悪生存(PFS)率を有意に改善することが、ドイツ・ケルン大学のPeter Borchmann氏らAustralasian Leukaemia and Lymphoma Groupが実施した「HD21試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月3日号に掲載された。

9ヵ国233施設の無作為化第III相試験

 HD21試験は、欧州7ヵ国とオーストラリア、ニュージーランドの合計9ヵ国233施設で実施した非盲検無作為化第III相試験であり、2016年7月~2020年8月に患者を登録した(Takeda Oncologyの助成を受けた)。

 新規に診断された進行期の古典的ホジキンリンパ腫(Ann Arbor病期分類のStageIII/IV、B症状を呈するStageII、リスク因子として大きな縦隔病変および節外病変のいずれか、または両方を有する)で、60歳以下の成人患者1,482例(ITT集団)を登録し、BrECADD群に742例、eBEACOPP群に740例を無作為に割り付けた。

 両群とも試験薬を21日間隔で投与した。2サイクル(PET-2)および最終サイクルの終了後にPETまたはCTによる奏効の評価を行い、PET-2の所見に基づきその後のサイクル数を決定した。

 主要評価項目は、(1)担当医評価による忍容性(投与開始から終了後30日までの治療関連疾患の発生)、および(2)有効性(PFS)に関するBrECADD群のeBEACOPP群に対する非劣性とし、非劣性マージンを6%に設定した。治療関連疾患は、有害事象共通用語規準(CTCAE)のGrade3/4の急性非血液学的臓器毒性、およびGrade4の急性血液毒性と定義した。

PFSの優越性を確認

 ベースラインの全体の年齢中央値は31歳(四分位範囲[IQR]:24~42)、644例(44%)が女性で、1,352例(91%)が白人であった。

 1つ以上の治療関連疾患が発生した患者は、eBEACOPP群が732例中430例(59%)であったのに対し、BrECADD群では738例中312例(42%)と有意に少なかった(相対リスク:0.72、95%信頼区間[CI]:0.65~0.80、p<0.0001)。

 PFSの中間解析で、BrECADD群の非劣性が確認されたため優越性の検定を行った。追跡期間中央値48ヵ月の時点における4年PFS率は、eBEACOPP群が90.9%(95%CI:88.7~93.1)であったのと比較して、BrECADD群は94.3%(92.6~96.1)と有意に良好だった(ハザード比[HR]:0.66、95%CI:0.45~0.97、p=0.035)。

 また、4年全生存率は、BrECADD群が98.6%(95%CI:97.7~99.5)、eBEACOPP群は98.2%(97.2~99.3)であった。

血液学的治療関連疾患が有意に少ない

 血液学的治療関連疾患は、eBEACOPP群では732例中382例(52%)で発現したのに対し、BrECADD群では738例中231例(31%)と有意に少なかった(p<0.0001)。これは、赤血球輸血(52% vs.24%)および血小板輸血(34% vs.17%)がBrECADD群で少なかったことに反映されている。Grade3以上の感染症の発生(19% vs.20%)は両群で同程度であった。

 ホジキンリンパ腫による死亡は、BrECADD群で3例、eBEACOPP群で1例に認めた。治療関連死はeBEACOPP群で3例にみられた。また、2次がんは、BrECADD群で742例中19例(3%)、eBEACOPP群で740例中13例(2%)に発生した。

 著者は、「この第III相試験の結果に基づき、BrECADDは新規に診断された進行期古典的ホジキンリンパ腫の成人患者に対する標準的な治療選択肢となることが期待される」としている。

(医学ライター 菅野 守)