StageIII/IVの未治療ホジキンリンパ腫に対する、初回治療としてのブレンツキシマブ ベドチン+ドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(A+AVD)療法は、ドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABVD)療法に比べ、無増悪生存(PFS)および全生存(OS)のいずれをも延長し、生存に関する優位性が示されたことが、6年の長期追跡により確認された。米国・メイヨー・クリニックのStephen M. Ansell氏らが、1,300例超の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。ブレンツキシマブ ベドチンは、CD-30作用型抗体-薬物複合体である。本検討については、5年追跡期間の試験でPFSの延長効果がすでに報告されていたが、今回新たにOSと、中央値6年の追跡期間によるPFSの結果が発表された。NEJM誌オンライン版2022年7月13日号掲載の報告。
A+AVD療法、ABVD療法ともに最大6サイクル実施
本試験では、StageIII/IVのホジキンリンパ腫患者を無作為に2群に分け、一方の群にはA+AVD療法を(664例)、もう一方の群にはABVD療法を(670例)、それぞれ最大6サイクル実施した。
主要評価項目は、PFS期間(以前の報告を修正)。主な副次評価項目は、ITT集団におけるOSで、安全性と共に今回新たに報告した。
6年OS率、A+AVD療法群93.9%、ABVD療法群89.4%
追跡期間中央値73.0ヵ月で、A-AVD療法群の39例、ABVD療法群の64例が死亡した(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.40~0.88、p=0.009)。推定6年OS率は、A+AVD療法群93.9%(95%CI:91.6~95.5)、ABVD療法群89.4%(86.6~91.7)だった。
推定PFS期間についても、A+AVD療法群がABVD療法群より延長した(増悪または死亡に関するHR:0.68、95%CI:0.53~0.86)。
臓器移植を含む2次治療を要した患者は、A+AVD療法群がABVD療法群より少なく、2次がん発生者もABVD療法群32例に対しA+AVD療法群23例と少数だった。
A+AVD療法群で発熱性好中球減少症の発症率が増加したため、顆粒球コロニー刺激因子の予防投与が行われた。末梢神経炎はA+AVD療法群でABVD療法群より多く認められたが、その大半が最終追跡までに寛解または改善していた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)