CD19を標的としたキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞(CAR19)療法後に疾患進行が認められた大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者において、CD22が免疫療法の標的として特定され、このCD22を標的としたCAR-T細胞(CAR22)療法により持続する臨床的有効性が認められたことが、米国・スタンフォード大学のMatthew J. Frank氏らCARdinal-22 Investigator groupが行った第I相の用量設定試験で示された。CD22はほぼ普遍的に発現しているB細胞表面抗原であるが、LBCLにおけるCAR22療法の有効性は不明であった。今回の結果について著者は、「有望ではあるが、第I相用量設定試験であることを認識することが重要である」とし、「さらなる検討を行い、長期有効性を確立するとともに、CAR22療法によって最も利益を受けられる患者サブグループを特定する必要がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2024年7月9日号掲載の報告。
第I相試験で製造可能性、安全性、最大耐用量を検討
今回の単施設非盲検用量漸増第I相試験では、CAR19療法後に再発またはCD19陰性の大細胞型B細胞リンパ腫の成人(18歳以上)患者に対して、CAR22を2つの用量レベル(CAR22陽性T細胞として100万個または300万個/kg体重)で静脈内投与した。
主要評価項目は、CAR22の製造可能性、有害事象および用量制限毒性の発現頻度と重症度によって測定した安全性、および最大耐用量(すなわち、第II相の推奨用量)の特定であった。
用量制限毒性、Grade3以上のサイトカイン放出群などの発現なし
2019年10月17日~2022年10月19日に計41例が適格性の評価を受けた。うち1例は治療を中止した。40例がアフェレーシスを受け、38例(95%)がCAR22の製造に成功し投与された。
38例は年齢中央値65歳(範囲:25~84)、女性が17例(45%)。32例(84%)は治療前の乳酸脱水素酵素(LDH)が上昇しており、11例(29%)はすべての前治療に不応であった。前治療ライン数は中央値4(範囲:3~8)。38例のうち37例(97%)が、前治療のCAR19療法後に再発していた。
確認された最大耐用量はCAR-T細胞100万個/kg体重であった。29例が最大耐用量を投与されたが、用量制限毒性またはGrade3以上のサイトカイン放出群、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(immune effector cell-associated neurotoxicity syndrome:ICANS)、免疫エフェクター細胞関連血球貪食性リンパ組織球症様症候群(immune effector cell-associated haemophagocytic lymphohistiocytosis-like syndrome)を発現した患者はいなかった。
(ケアネット)