12歳未満の重症血友病A、エフアネソクトコグ アルファの有用性~XTEND-Kids試験/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/29

 

 重症血友病Aの小児において、エフアネソクトコグ アルファによる週1回の定期補充療法は、投与後3日間ならびに約7日間にわたり高い第VIII因子活性を維持して効果的な出血予防効果をもたらし、有害事象はほとんどが非重篤であったことが示された。米国・ウィスコンシン医科大学のLynn Malec氏らXTEND-Kids Trial Groupが、第III相非盲検試験「XTEND-Kids試験」の結果を報告した。エフアネソクトコグ アルファは、12歳以上の重症血友病A患者において、週1回投与で前治療の第VIII因子製剤と比較し持続的な高い第VIII因子活性と優れた出血予防効果が認められていた。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。

12歳未満の既治療重症血友病A患者74例が対象

 研究グループは、治療歴のある12歳未満の重症血友病A患者(内因性第VIII因子活性が1 IU/dL未満[1%未満]または重症血友病Aを引き起こすことが知られている遺伝子型の診断を有する患者)に、定期補充療法として週1回エフアネソクトコグ アルファ50 IU/kgを週1回、最大52週間静脈内投与した。

 定期補充療法中に出血エピソードがみられた場合は、エフアネソクトコグ アルファ50 IU/kgを単回投与し、エピソードが消失しない場合は2~3日ごとに30 IU/kgまたは50 IU/kgを追加投与し、問題がなければ定期的な投与を再開した。

 試験期間中に大手術を受ける患者は、術前にエフアネソクトコグ アルファ50 IU/kgの負荷投与を行い、必要に応じて2~3日ごとに30 IU/kgまたは50 IU/kgを追加投与した。

 主要エンドポイントは、第VIII因子に対するインヒビター(中和抗体)の発現(0.6 BU/mL以上)、副次評価項目は年間出血率(治療を要する出血エピソードの年間発生率)、出血エピソードの治療ために投与したエフアネソクトコグ アルファの投与回数および投与量、安全性、薬物動態であった。

 合計74例の男児が登録された(6歳未満38例、6~12歳未満36例)。

定期補充療法でインヒビターの発現はなく、年間出血率はゼロ

 第VIII因子に対するインヒビターの発現は認められなかった。

 有害事象は74例中62例84%に発現し、このうち3例(4%)は治験担当医師がエフアネソクトコグ アルファと関連ありと判定した。重篤な有害事象は9例(12%)に認められたが、いずれも関連なしと判定された。

 年間出血率は、中央値で0.00(四分位範囲[IQR]:0.00~1.02)、負の二項回帰モデルを用いて推定した平均値で0.61(95%信頼区間[CI]:0.42~0.90)であった。47例(64%)で治療を要する出血エピソードの発生は認められなかった。同様に、65例(88%)は自然出血のエピソード、61例(82%)は関節出血のエピソードの発生がなかった。

 治療を要した出血エピソード43件のうち、41件(95%)がエフアネソクトコグ アルファの1回の投与で消失した。

 エフアネソクトコグ アルファの薬物動態評価を受けた患者は37例で、平均第VIII因子活性は投与後3日間が40 IU/dL超、約7日間が10 IU/dL超であった。終末相半減期の幾何平均値は40.0時間であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 長尾 梓( ながお あずさ ) 氏

医療法人財団 荻窪病院 血液凝固科