シェーグレン症候群、抗CD40抗体iscalimabが有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/08/14

 

 シェーグレン症候群の治療において、プラセボと比較して抗CD40モノクローナル抗体iscalimabは、疾患活動性に関して有意な用量反応関係を示し、忍容性も良好であることが、英国・University Hospitals Birmingham NHS Foundation TrustのBenjamin A. Fisher氏らが実施した「TWINSS試験」で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2024年8月10日号で報告された。

2つのコホートの無作為化プラセボ対照第IIb相試験

 TWINSS試験は、23ヵ国71施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2019年10月~2022年2月に参加者のスクリーニングを行った(Novartis Pharmaの助成を受けた)。

 年齢18歳以上で、米国リウマチ学会(ACR)/欧州リウマチ学会(EULAR)の2016年のシェーグレン症候群診断基準を満たす患者273例を登録した。

 このうち用量設定を行うコホート1には、ESSDAI(EULAR Sjogren's Syndrome Disease Activity Index)スコアが5点以上、ESSPRI(EULAR Sjogren's Syndrome Patient Reported Index)スコアが5点以上の患者173例を登録し、iscalimab 150mgを皮下投与する群に44例、同300mg群に43例、同600mg群に43例、プラセボ群に43例を無作為に割り付けた。各群の年齢中央値の範囲は52.0~56.0歳、女性の割合の範囲は93~95%であった。

 また、概念実証を行うコホート2には、ESSDAIスコアが5点未満、ESSPRI(乾燥症状または疲労)スコアが5点以上で、日常生活へのドライアイの影響スコアが30点以上の患者100例を登録し、iscalimab 600mgまたはプラセボを皮下投与する群に50例ずつ割り付けた。各群の年齢中央値の範囲は49.0~55.5歳、女性の割合の範囲は96~100%だった。

 主要エンドポイントは、コホート1がベースラインから24週目までのESSDAIの変化に基づきiscalimabの用量反応関係を示すこと、コホート2が24週目のESSPRIの変化に関してiscalimab 600mgの効果を評価することであった。

150mg群と600mg群で、ESSDAIスコアが有意に改善

 コホート1では、4つのモデルのうち1つ(Linlogモデル)においてプラセボで補正したESSDAIのベースラインからの変化が、多重比較法(MCP)で有意な用量反応関係を示した(片側p=0.0041)。

 また、ESSDAIスコアはiscalimabの3つの用量群ともベースラインから24週目まで経時的に低下し、150mg群と600mg群では有意な改善を認めた。プラセボで補正した最小二乗平均差は、150mg群-3.0(95%信頼区間[CI]:-4.9~-1.1、p=0.0025)、600mg群-2.9(-4.9~-1.0、p=0.0037)であった。

ESSPRIの総スコアも改善傾向

 コホート2では、ESSPRIの総スコアがiscalimab 600mg群で改善する傾向がみられた(プラセボで補正した最小二乗平均のベースラインからの変化:-0.57点、95%CI:-1.30~0.15、p=0.12)。ESSPRIの下位尺度の解析では、iscalimab 600mgによるESSPRI改善の主な因子は、乾燥症状(最小二乗平均差:-1.0点、95%CI:-1.8~-0.2、p=0.016)および疲労(-0.8点、-1.7~0.1、p=0.067)であった。

 重篤な有害事象は、コホート1で9例(プラセボ群1例[2%]、iscalimab 150mg群1例[2%]、同300mg群3例[7%]、同600mg群4例[9%])、コホート2で4例(各群2例[4%]ずつ)発現した。有害事象による投与中止は、コホート1で8例(プラセボ群1例[2%]、iscalimab 150mg群1例[2%]、同300mg群1例[2%]、同600mg群5例[11%])、コホート2で4例(プラセボ群 3例[6%]、iscalimab 600mg群1例[2%])でみられた。

 著者は、「抗CD40標的療法は、シェーグレン症候群の主な症状(乾燥、疲労)および全身症状の治療に有効である可能性が示唆される」としている。

(医学ライター 菅野 守)