モノクローナル抗体ianalumab、中等~重症の原発性シェーグレン症候群に有効/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/13

 

 原発性シェーグレン症候群(眼球や口腔の乾燥、全身症状、生活の質[QOL]の低下を特徴とする自己免疫疾患)の治療において、B細胞活性化因子(BAFF)受容体を阻害するモノクローナル抗体製剤ianalumab(VAY736)はプラセボと比較して、24週時の疾患活動性が用量依存的に低下し、忍容性や安全性も良好で感染症の増加は認められないことが、英国・バーミンガム大学病院のSimon J. Bowman氏らが実施した「VAY736A2201試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年11月30日号で報告された。

19ヵ国の4群を比較する第IIb相用量設定試験

 本研究は、中等度~重度の原発性シェーグレン症候群患者におけるianalumabの安全性と有効性の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(第IIb相用量設定試験)であり、2017年6月~2018年12月の期間に、19ヵ国56施設で患者登録が行われた(Novartis社の助成を受けた)。

 対象は、年齢18~75歳で、疾患活動性が中等度~重度(欧州リウマチ学会[EULAR]のシェーグレン症候群疾患活動性指標[ESSDAI]スコア≧6点)、症状の重症度が患者の許容範囲を超える(EULARシェーグレン症候群患者報告指数[ESSPRI]スコア≧5点)などの基準を満たす患者であった。

 被験者は、3つの用量のianalumab(5mg、50mg、300mg)またはプラセボを4週ごとに24週間皮下投与する群に無作為に割り付けられた。患者と試験関係者には治療割り付け情報が知らされなかった。

 主要アウトカムは、24週の時点での無作為化の対象となった全患者におけるベースラインから24週までのESSDAIスコアの変化量とされ、モデル化分析を用いた多重比較法で評価された。安全性の評価は、試験薬の投与を少なくとも1回受けたすべての患者で行われた。

今後の臨床試験で、300mgが使用可能

 190例が登録され、ianalumab 5mg群に47例、同50mg群に47例、同300mg群に47例、プラセボ群に49例が割り付けられた。各群の平均年齢の幅は47.9~52.5歳で、女性が各群の平均で87~98%を占めた。

 検討された5つの用量反応モデルのうち4つで、全体的な疾患活動性(ESSDAIスコア)に関して統計学的に有意な用量反応関係が認められた(4つのモデルはいずれもp<0.025、1つのモデルはp=0.060)。

 ESSDAIスコアは、3つの用量のianalumab群のすべてで、ベースラインから経時的に低下したが、用量が高いほど効果が大きく、24週時の効果は300mg群で最も優れた。ESSDAIスコアは、300mg群ではベースラインの13.1点から24週時には4.9点に、プラセボ群では13.0点から7.0点に低下した。300mg群における24週時のベースラインからのESSDAIスコアの変化量の、プラセボ群で補正した最小二乗平均は、-1.92点(95%信頼区間[CI]:-4.15~0.32、p=0.092)だった。

 有害事象は、ianalumab 300mg群(94%)が、他の用量群(5mg群85%、50mg群83%)やプラセボ群(84%)よりもわずかに多かった。感染症は、ianalumab群(5mg群53%、50mg群47%、300mg群49%)がプラセボ群(57%)よりも少なかった。治療関連の重篤な有害事象は3例で4件認められた(プラセボ群の1例で肺炎、同群の1例で胃腸炎、50mg群の1例で虫垂炎と卵管卵巣膿瘍)。

 著者は、「われわれが知る限り、この研究は主要エンドポイントを達成した初めての原発性シェーグレン症候群の大規模無作為化対照比較試験であり、これらの結果は、本症のメカニズムを探る研究が今後も続けられる可能性があることを意味する」と指摘し、「ianalumab 300mgは、今後の臨床試験で安全かつ有効な用量として使用できる」としている。

(医学ライター 菅野 守)