経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行する冠動脈疾患(CAD)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行は保存的治療と比較し、追跡期間中央値2年の時点で全死因死亡、心筋梗塞、緊急血行再建の複合リスクが低いことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院RigshospitaletのJacob Lonborg氏らNOTION-3 Study Groupによる国際非盲検無作為化優越性試験「NOTION-3試験」で示された。安定CADで重症大動脈弁狭窄症(AS)を有する患者において、TAVIに加えてPCIを施行するベネフィットは、依然として明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。
PCI施行vs.保存的治療で主要有害心イベントの発生を評価
研究グループは、重症ASで、少なくとも1つの冠動脈狭窄(冠血流予備量比[FFR]0.80以下または径狭窄率90%以上)を有する患者を、TAVIに加えてPCIを施行する群または保存的治療を受ける群に1対1の割合で無作為に割り付け追跡評価した。
主要エンドポイントは主要有害心イベントで、全死因死亡、心筋梗塞または緊急血行再建の複合と定義した。安全性については、出血イベントおよび手術の合併症などを評価した。
追跡期間中央値2年、主要エンドポイントのハザード比は0.71で有意に低下
2017年9月~2022年10月に、12病院で合計455例が無作為化された(PCI群227例、保存的治療群228例)。患者の年齢中央値は82歳(四分位範囲[IQR]:78~85)、STS-PROM(Society of Thoracic Surgeons-Procedural Risk of Mortality)スコア(スケール:0~100%、高スコアほど術後30日以内の死亡リスクが高いことを示す)の中央値は3%(IQR:2~4)であった。
追跡期間中央値2年(IQR:1~4)の時点で、主要有害心イベント(主要エンドポイント)の発生は、PCI群60例(26%)、保存的治療群81例(36%)であった(ハザード比[HR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.51~0.99、p=0.04)。
出血イベントは、PCI群で64例(28%)、保存的治療群で45例(20%)に発現した(HR:1.51、95%CI:1.03~2.22)。PCI群では、PCI施行関連合併症が7例(3%)報告された。
(ケアネット)