健康な米国人女性の高感度C反応性蛋白(CRP)値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値の単回組み合わせ測定が、その後30年間の心血管イベントの発症を予測したことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のPaul M. Ridker氏らによる検討で示された。高感度CRP値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値は、5年・10年の心血管リスクの予測に寄与し、薬理学的介入法を明確にすることが知られている。より若い時期での介入はリスク軽減にとって重要となるため、女性の長期にわたる心血管リスクを予測するこれらのバイオマーカーの有用性について、さらなる情報が必要とされていた。NEJM誌オンライン版2024年8月31日号掲載の報告。
健康な米国人女性2.8万人を対象に追跡評価
研究グループは、健康な米国人女性2万7,939人を対象に、ベースラインで高感度CRP値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値を測定し、その後30年間追跡した。
主要エンドポイントは、初発の主要有害心血管イベント(心筋梗塞、冠動脈血行再建、脳卒中または心血管死の複合)。各バイオマーカー五分位値の補正後ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し、年齢および競合リスクを補正した30年間累積発生率曲線を描出し評価した。
リスクへの影響、単独よりも3つを組み合わせた場合に最も大きい
ベースラインの被験者の平均年齢は54.7歳。追跡した30年間に3,662件の初回主要心血管イベントが発生した。
高感度CRP値、LDLコレステロール値、リポ蛋白(a)値の、ベースラインでの五分位値の高値はすべて、30年間のリスクを予測した。上位五分位値と下位五分位値を比較した主要エンドポイントの共変量補正後HRは、高感度CRP値については1.70(95%CI:1.52~1.90)、LDLコレステロール値は1.36(95%CI:1.23~1.52)、リポ蛋白(a)値は1.33(95%CI:1.21~1.47)であった。
冠動脈性心疾患と脳卒中に関する結果は、主要エンドポイントに関する結果に一致していた。
各バイオマーカーは、全体リスクに対して独立した寄与を示した。3つのバイオマーカーすべてを組み込んだモデルで、最も大きなリスクの差異が認められた。
著者は、「これらのデータは、アテローム性動脈硬化イベントの1次予防戦略について、従来の10年推定リスクよりも先を見据えて取り組む必要性を強く支持するものである」と述べている。
(ケアネット)