免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の治療歴を有する進行腎細胞がん患者の2次または3次治療において、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3選択的な経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるtivozanibにニボルマブを併用しても、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の改善は示されなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のToni K. Choueiri氏らが、オーストラリア、欧州、北米、南米の16ヵ国190施設で実施した無作為化非盲検第III相試験「TiNivo-2試験」の結果を報告した。ICIおよびVEGFR-TKIは進行腎細胞がんに対する1次治療の基本となっているが、進行後の最適な治療順序は不明であった。著者は、「今回の結果は、進行腎細胞がん患者では、ICIの再投与を控えるべきであることを裏付けるものであった。さらには、ICI投与後はtivozanib単独療法が有効であることを示唆するものである」とまとめている。Lancet誌2024年10月5日掲載の報告。
tivozanib+ニボルマブvs.tivozanib単独で、PFSを評価
TiNivo-2試験の対象は、ICIを含む1~2ラインの治療歴があり、治療中または治療後に増悪した18歳以上、ECOG PSが0または1の進行腎細胞がん患者である。研究グループは適格患者を、1サイクルを28日として、tivozanib 0.89mgを1日1回21日間経口投与+ニボルマブ480mgを1日目に静脈内投与する群(tivozanib+ニボルマブ群)、またはtivozanib 1.34mgを1日1回21日間経口投与する群(tivozanib単独群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。
層別因子は、直近の治療(ICI、非ICI)およびIMDCリスク分類(低、中、高)であった。
主要評価項目はPFSで、無作為化後、独立画像判定によるRECIST 1.1に基づく客観的な病勢進行または全死亡のいずれか早い記録までの期間と定義した。重要な副次評価項目は全生存期間(OS)、その他の副次評価項目は治験責任医師評価によるPFSなどで、有効性の評価はITT解析にて行われた。安全性は、治験薬を1回以上投与された患者を対象に評価した。
追跡期間中央値12.0ヵ月時点の評価で、PFSの改善認められず
2021年11月4日~2023年6月16日に、343例が無作為に割り付けられた(tivozanib+ニボルマブ群171例、tivozanib単独群172例)。追跡期間中央値は12.0ヵ月であった。
独立画像判定によるPFS中央値は、tivozanib+ニボルマブ群5.7ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.0~7.4)、tivozanib単独群7.4ヵ月(5.6~9.2)、ハザード比は1.10(95%CI:0.84~1.43、p=0.49)であった。
事前に規定された直近の治療別のサブグループ解析におけるPFS中央値は、直近の治療がICIの患者集団(244例)でtivozanib+ニボルマブ群7.4ヵ月(95%CI:5.6~9.6)、tivozanib単独群9.2ヵ月(7.4~10.0)であり、非ICIの患者集団(99例)ではそれぞれ3.7ヵ月(2.7~5.4)、3.7ヵ月(1.9~7.2)であり、いずれも両群間に差は認められなかった。
OSは、データが未成熟であったが、データカットオフ時点の中央値はtivozanib+ニボルマブ群17.7ヵ月(95%CI:15.1~NR)、tivozanib単独群22.1ヵ月(15.2~NR)であった。
安全性解析対象集団(339例)において、重篤な有害事象はtivozanib+ニボルマブ群で168例中54例(32%)、tivozanib単独群で171例中64例(37%)に認められた。死亡に至った有害事象はそれぞれ7例および5例が報告され、うちtivozanib単独群の1例は治療に関連すると判断された。
(ケアネット)