侵襲的人工呼吸器を24時間以上装着した重症成人患者において、自発呼吸トライアル(SBT)のスクリーニングの頻度(1日1回vs.より頻回)および手法(pressure support[PS]SBT vs.TピースSBT)は、抜管成功までの期間に影響を及ぼさないことが示された。一方で、プロトコール化された頻回なスクリーニング+PS SBTは、初回の抜管成功までの期間を延長するという予期せぬ統計学的に有意な交互作用が確認されたという。カナダ・トロント大学のKaren E. A. Burns氏らCanadian Critical Care Trials Groupが無作為化試験の結果を報告した。人工呼吸器から離脱するためのSBTの最適なスクリーニング頻度と手法は、明らかになっていなかった。JAMA誌オンライン版2024年10月9日号掲載の報告。
スクリーニングの頻度と手法の違いによる抜管成功までの期間への影響を評価
研究グループは、SBTのスクリーニングの頻度(1日1回vs.より頻回)と手法(PS SBT[PS:>0~8cm H
2O、PEEP:>0~5cm H
2O]vs.TピースSBT)の抜管成功までの期間への影響を比較する2×2要因デザイン無作為化試験を行った。
被験者は、侵襲的人工呼吸器を24時間以上装着した、自発呼吸開始や人工呼吸器作動が可能な、吸入酸素濃度(FiO
2)≦70%またはPEEP≦12cm H
2Oの重症成人患者で、2018年1月~2022年2月に北米23ヵ所の集中治療室(ICU)で登録が行われた。最終追跡日は2022年10月18日。プロトコール化されたスクリーニング(1日1回vs.より頻回)を受け、持続的な30~120分のPS SBTまたはTピースSBTを受ける基準を満たした患者を早期に特定するため、被験者は早期に登録された。
主要アウトカムは、抜管成功(自発呼吸を開始し、抜管後48時間以上持続)とした。
頻度や手法による統計学的な有意差は認められず
797例が無作為化された(1日1回のスクリーニング+PS SBT群198例、1日1回のスクリーニング+TピースSBT群204例、頻回なスクリーニング+PS SBT群195例、頻回なスクリーニング+TピースSBT群200例)。平均年齢は62.4(SD 18.4)歳、男性472例(59.2%)だった。
スクリーニングの頻度(ハザード比[HR]:0.88[95%信頼区間[CI]:0.76~1.03]、p=0.12)あるいはSBT手法(1.06[0.91~1.23]、p=0.45)によって、抜管成功に統計学的な有意差は認められなかった。
抜管成功までの期間中央値は、1日1回のスクリーニング+PS SBT群2.0日(95%CI:1.7~2.7)、1日1回のスクリーニング+TピースSBT群3.1日(2.7~4.8)、頻回なスクリーニング+PS SBT群3.9日(2.9~4.7)、頻回なスクリーニング+TピースSBT群2.9日(2.0~3.1)であった。
スクリーニング頻度とSBT法の間には予期せぬ交互作用が認められ、ペアワイズ比較によって、頻回なスクリーニング(vs. 1日1回のスクリーニング)+PS SBTは抜管成功までの期間を延長することが明らかになった(HR:0.70[95%CI:0.50~0.96]、p=0.02)。しかし、1日1回のスクリーニング+PS SBT(vs.TピースSBT)は、抜管成功までの期間を短縮しなかった(1.30[0.98~1.70]、p=0.08)。
(ケアネット)