人工呼吸器で24時間以上管理された患者に対し、抜管のために自発呼吸トライアル(SBT)を行う際、圧制御換気SBTを30分実施するほうが、Tピース換気SBTの2時間実施に比べ、抜管成功率が有意に高いことが示された。スペイン・マンレザ大学のCarles Subira氏らが、1,153例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2019年6月11日号で発表した。人工呼吸器の離脱の適切性を見極めるには、SBTが最も良い方法だと考えられているが、その際の換気モードや実施時間については明確にはなっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「より短時間で負荷の少ない換気戦略をSBTに用いることを支持する所見が示された」とまとめている。
初回SBT 72時間後の人工呼吸器からの離脱を比較
研究グループは2016年1月~2017年4月にかけて、スペインにある18ヵ所のICUで24時間以上の人工呼吸器管理を受けた患者1,153例を対象に試験を開始し、2017年7月まで追跡した。
被験者を無作為に2群に分け、一方にはTピース換気SBTを2時間(578例)、もう一方には圧制御(8cm・H2O)換気SBTを30分(557例)行った。
主要アウトカムは抜管成功で、初回SBTから72時間後の人工呼吸器からの離脱と定義した。副次アウトカムは、SBT後に抜管した患者のうち再挿管した患者の割合、ICU入室日数・入院日数、入院・90日死亡率だった。
抜管成功率、圧制御換気群が約82%、Tピース換気群が74%
被験者の平均年齢は62.2歳(SD 15.7)、女性は428例(37.1%)で、試験を完遂したのは1,018例(88.3%)だった。
人工呼吸器からの離脱と定義された抜管成功率は、圧制御換気群が82.3%(473例)、Tピース換気群が74.0%(428例)だった(群間差:8.2%、95%信頼区間[CI]:3.4~13.0、p=0.001)。
副次アウトカムについては、再挿管率は圧制御換気群11.1% vs.Tピース換気群11.9%(群間差:-0.8%、95%CI:-4.8~3.1、p=0.63)、ICU入室日数の中央値は9日vs.10日(平均差:-0.3日、95%CI:-1.7~1.1、p=0.69)、入院日数の中央値はともに24日(平均差:1.3日、95%CI:-2.2~4.9、p=0.45)で、いずれも有意差はなかった。
一方で入院死亡率は、圧制御換気群10.4% vs.Tピース換気群14.9%であり(群間差:-4.4%、95%CI:-8.3~-0.6、p=0.02)、90日死亡率は13.2% vs.17.3%(群間差:-4.1%、95%CI:-8.2~0.01、p=0.04、ハザード比:0.74[95%CI:0.55~0.99])だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)