自発呼吸トライアルに失敗し人工換気を必要とする患者において、早期に抜管して行う非侵襲的換気は、人工換気から離脱するまでの期間を短縮しないことが示された。英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らによる無作為化試験「Breathe試験」の結果で、JAMA誌2018年11月13日号で発表された。先行研究で、侵襲的人工換気からのウィーニングが難しい成人患者において、非侵襲的換気が早期離脱を容易とする可能性が示唆されていたが、その効果について、ICU入室患者集団では確認されていなかった。
標準法と比較し、離脱成功までのトータル日数を評価
Breathe試験は、ウィーニング困難な患者において、早期に抜管し非侵襲的換気を行うウィーニング法(非侵襲群)と、標準的ウィーニング法(侵襲群)について、換気から離脱するまでの時間に対する効果を比較した検討で、英国国民保健サービス(NHS)傘下のICU 41ヵ所で、2013年3月~2016年10月にかけて行われた(フォローアップは2017年4月まで)。
侵襲的人工換気を48時間超受けた、自発呼吸トライアルに失敗した成人患者を登録し、無作為に非侵襲群と侵襲群(自発呼吸トライアルに成功するまで侵襲的換気を継続、その後に抜管する)に割り付け追跡した。
主要評価項目は、生存被験者における、無作為化からあらゆる型式の人工換気からの離脱に成功するまでの時間で、日数で評価した。臨床的に重要な意味を持つ最小日数差は1日とした。
副次評価項目は、侵襲的換気期間およびトータルの換気期間(いずれも日数)、再挿管率または気管切開率、生存期間であった。
トータルの換気期間は変わらず、再挿管、気管切開、生存も有意差なし
364例(平均年齢63.1歳[SD 14.8]、男性50.5%)が無作為化を受けた(非侵襲群182例、侵襲群182例)。そのうち319例が主要評価項目について評価できた(41例が離脱前に死亡、2例が中断、2例は人工換気継続のまま退院)。
離脱までの期間中央値は、非侵襲群4.3日、侵襲群4.5日であった(補正後ハザード比[HR]:1.1、95%信頼区間[CI]:0.89~1.40)。死亡に関する競合リスク解析では、同等という結果だった(補正後HR:1.1、95%CI:0.86~1.34)。
非侵襲群は、侵襲的換気を受ける期間が短縮したが(中央値1 vs.4日、発生率比:0.6、95%CI:0.47~0.87)、トータルの換気期間はわずかに短いだけであった(中央値3 vs.4日、発生率比:0.8、95%CI:0.62~1.0)。再挿管率、気管切開率、生存期間にも有意な差はみられなかった。
有害事象の発生は、非侵襲群45例(24.7%)、侵襲群47例(25.8%)であった。
(ケアネット)