小児がん患者の多くは、非常に苦痛な症状を経験する。カナダ・Hospital for Sick ChildrenのL. Lee Dupuis氏らは、症状のフィードバックと症状管理のケアパスウェイを結び付けた定期的な症状スクリーニングの有効性をクラスター無作為化試験により評価し、症状スコアの改善と症状に特異的な介入の増加が得られたことを報告した。JAMA誌オンライン版2024年11月13日号掲載の報告。
介入群vs.通常ケア群で、8週時の全SSPediスコアを評価
研究グループは、通常ケアと比較して、症状のフィードバックと症状管理のケアパスウェイを結び付ける週3回の定期的な症状スクリーニングが、小児がん患者のSymptom Screening in Pediatrics Tool(SSPedi)で測定した自己報告症状の全スコアを改善可能か調べた。
2021年7月~2023年8月に米国の小児がんセンター20施設で被験者を登録。新たにがんと診断され、あらゆる治療を受ける8~18歳を対象とした。20施設を、症状スクリーニングを受ける群(介入群、10施設)または通常ケアを受ける群(対照群、10施設)に無作為化した。介入群に221例、対照群に224例が登録された。最終追跡評価日は2023年10月18日。
介入群には、週3回の症状スクリーニングプロンプトの提供、医療ケアチームへのEメールによるアラート、施設に合わせて調整された症状管理ケアパスウェイの提供が行われた。
主要アウトカムは、8週時点の自己報告による全SSPediスコア。副次アウトカムは、Patient-Reported Outcomes Measurement Information System Fatigueスコア(平均[SD]スコアが50[10]、高スコアほど倦怠感が強い)、Pediatric Quality of Life 3.0 Acute Cancer Moduleスコア(範囲:0~100、高スコアほど健康状態が良好であることを示す)、8週時点の症状の記録と介入、および予定外の受診とした。
スコアが有意に改善、苦痛な症状が減少
平均(SD)8週時SSPediスコアは、介入群7.9(7.2)、対照群11.4(8.7)であった。
症状スクリーニングは、8週時の合計SSPediスコアの有意な改善(補正後平均群間差:-3.8、95%信頼区間[CI]:-6.4~-1.2)、および個々の苦痛な症状の減少(15症状のうち12症状が統計学的に有意に減少)と関連していた。
倦怠感やQOLに差異はなかった。救急外来受診の平均(SD)回数は、介入群0.77回(1.12)、対照群0.45回(0.81)で、介入群で救急外来受診が有意に多かった(率比:1.72、95%CI:1.03~2.87)。
結果を踏まえて著者は、「今後の検討では、症状スクリーニングをルーチンケアに統合すべきである」と述べている。
(ケアネット)