重症三尖弁逆流症患者において、至適薬物療法(OMT)に加えた三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(T-TEER)の施行はOMT単独と比較して、三尖弁逆流症の重症度、および患者報告に基づく複合アウトカム(NYHA心機能分類クラス、患者全般評価[PGA])の改善が認められたことが、フランス・レンヌ大学のErwan Donal氏らTri-Fr Investigatorsによる無作為化試験「Tri.Fr試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年11月27日号掲載の報告。
1年時点の複合臨床アウトカムを評価
Tri.Fr試験は、重症の症候性三尖弁逆流症患者におけるT-TEER+OMTとOMT単独の有効性を評価した研究者主導の前向き無作為化試験で、2021年3月18日~2023年3月13日に、フランスおよびベルギーの24施設で行われた。最終フォローアップは2024年4月。
心不全に対するOMTが30日以上行われているにもかかわらず、重症の症候性三尖弁逆流症を呈し、介入を要する他の心血管症状がないすべての患者が適格と見なされ、T-TEER+OMT群またはOMT単独群に1対1の割合で無作為化された。
主要アウトカムは、1年時点の複合臨床アウトカムで、NYHA心機能分類クラスの変化、PGAの変化、または主要心血管イベントの発生で構成された。副次アウトカムは、閉検定手順を用いて階層的に検定された。1つ目は三尖弁逆流の重症度で、独立した心エコーラボで評価が行われた。その他の副次アウトカムは、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)スコアで評価したQOL、PGA、無作為化後12ヵ月時点の階層的複合アウトカム(全死因死亡、三尖弁手術、KCCQスコアの改善、または心不全による入院までの時間)などであった。
複合臨床アウトカムの改善、T-TEER+OMT群74.1%、OMT単独群40.6%
患者計300例(平均年齢78[SD 6]歳、女性63.7%)が登録され、152例がT-TEER+OMT群に、148例がOMT単独群に無作為化された。
1年時点で複合臨床アウトカムが改善したのは、T-TEER+OMT群109例(74.1%)、OMT単独群58例(40.6%)であった。
三尖弁逆流症の重症度がmassive(4+)またはtorrential(5+)の患者の割合は、T-TEER+OMT群6.8%に対して、OMT単独群は53.5%であった(p<0.001)。
1年後の平均KCCQ臨床サマリースコアは、T-TEER+OMT群69.9(SD 25.5)、OMT単独群55.4(28.8)であった(p<0.001)。無作為化後12ヵ月時点の階層的複合アウトカムのwin ratioは、2.06(95%信頼区間:1.38~3.08)であった(p<0.001)。
(ケアネット)