重症三尖弁逆流症患者に対する三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(TEER)は安全で、重症度を改善し、生活の質(QOL)改善にも関連することが示された。米国・Abbott Northwestern HospitalのPaul Sorajja氏らが、350例の患者を対象に行った前向き無作為化比較試験の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2023年3月4日号で発表した(6日にアップデート)。
欧米65ヵ所で被験者を募り無作為化試験、薬物療法と比較
研究グループは、米国、カナダ、欧州の65ヵ所の医療機関で重症の症候性三尖弁逆流症患者350例を登録し、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはTEERを(175例)、もう一方には薬物療法(対照)を行った(175例)。
主要エンドポイントは、階層的複合アウトカムで、追跡1年時点の全死因死亡または三尖弁置換術、心不全による入院、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)スコア(範囲0~100、高スコアほどQOL良好を示す)で示されるQOL改善(スコアが15ポイント以上増加と定義)などだった。
三尖弁逆流症の重症度と安全性についても評価した。
Finkelstein-Schoenfeld法でTEER群のWin比は1.48
被験者350例は、平均年齢78歳、女性54.9%だった。
主要エンドポイントは、TEER群がより良好であることを示すもので、Finkelstein-Schoenfeld法によるWin比は1.48だった(95%信頼区間[CI]:1.06~2.13、p=0.02)。死亡または三尖弁置換術、心不全による入院の発生率はいずれも、両群で差があるようにはみられなかった。
KCCQ・QOLスコアの平均変化幅は、対照群0.6±1.8ポイントに対し、TEER群では12.3±1.8ポイントで有意差が認められた(p<0.001)。
30日時点で、三尖弁逆流症の中等度以上の症状が認められなかった患者の割合は、対照群では4.8%だったのに対し、TEER群では87.0%だった(p<0.001)。
30日時点で重大有害事象が報告されなかったTEER群の患者の割合は98.3%であり、TEERは安全であることが認められた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)