皮膚筋炎、抗IFNβ抗体dazukibartが有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/27

 

 中等症~重症の皮膚筋炎成人患者において、インターフェロン(IFN)βを標的とする強力かつ選択的なヒト化IgG1モノクローナル抗体dazukibartは、疾患活動性を顕著に低下させ、忍容性は概して良好であることが示された。米国・スタンフォード大学のDavid Fiorentino氏らが、ドイツ、ハンガリー、ポーランド、スペインおよび米国の25施設で実施した第II相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。皮膚筋炎は、特徴的な皮疹と筋力低下を伴う慢性の自己免疫疾患で、病態生理学的にはI型IFNの調節異常によって特徴付けられる。著者は本試験の結果を受け、「IFNβ阻害は成人の皮膚筋炎患者において、非常に有望な治療戦略であることが裏付けられた」とまとめている。Lancet誌2025年1月11日号掲載の報告。

dazukibart 600mg、150mgとプラセボを比較

 研究グループは、18~80歳で、特徴的な皮膚症状を伴う皮膚筋炎患者(疾患活動性[CDASI-A]スコアが14以上、少なくとも1回の標準治療による全身治療が無効)を「ステージ1」「ステージ2」「ステージ2a」に、筋炎症状が主体の多発性筋炎患者(活動性の中等症筋病変を有し、免疫抑制薬または免疫調整薬による2コース以上の治療が無効)を「ステージ3」に登録した。

 適格患者は、「ステージ1」ではdazukibart 600mg群またはプラセボ群に、「ステージ2」ではdazukibart 600mg群、150mg群またはプラセボ群に、「ステージ2a」ではdazukibart 600mg→プラセボ群、dazukibart 150mg→プラセボ群、プラセボ→dazukibart 600mg群、またはプラセボ→dazukibart 150mg群に、「ステージ3」ではdazukibart 600mg→プラセボ群、またはプラセボ→dazukibart 600mg群に、それぞれ無作為に割り付けられた。ステージ2aおよびステージ3の治療の切り替えは12週時に行われた。

 dazukibartおよびプラセボは4週ごと(1日目)静脈内投与とし、全ステージにおけるdazukibart先行開始群は8週時まで、また「ステージ2a」「ステージ3」のプラセボ先行開始群は12週時から20週時までdazukibartを投与した(すなわち、いずれの群でもdazukibartは4週ごとに計3回投与された)。

 「ステージ1」「ステージ2」「ステージ2a」(皮膚筋炎コホート)の主要アウトカムは、ステージ1の最大解析対象集団(FAS)ならびにステージ1、2、2aの統合皮膚FASにおける12週時のCDASI-Aスコアのベースラインからの変化であった。「ステージ3」(多発性筋炎コホート)の主要アウトカムは安全性であった。

皮膚筋炎の疾患活動性が有意に低下

 2018年1月23日~2022年2月23日に125例がスクリーニングを受け、適格基準を満たした75例が無作為に割り付けられ治療を受けた(dazukibart 150mg群15例、dazukibart 600mg群37例、プラセボ群23例)。ほとんどの患者が女性であった(皮膚筋炎コホートでは93%[53/57例]、多発性筋炎コホートでは72%[13/18例])。

 ステージ1のFASにおいて、12週時のCDASI-Aのベースラインからの平均変化量はdazukibart 600mg群-18.8(90%信頼区間[CI]:-21.8~-15.8)、プラセボ群-3.9(-8.5~0.6)で、補正後群間差は-14.8(90%CI:-20.3~-9.4、p<0.0001)であった。

 また、ステージ1、2、2aの統合皮膚FASにおける12週時のCDASI-Aのベースラインからの平均変化量は、dazukibart 600mg群で-19.2(90%CI:-21.5~-16.8、プラセボ群との補正後群間差:-16.3[90%CI:-20.4~-12.1]、p<0.0001)、dazukibart 150mg群で-16.6(-19.8~-13.4、-13.7[90%CI:-18.3~-9.0]、p<0.0001)であった。

 有害事象は、dazukibart 150mg群で80%(12/15例)、dazukibart 600mg群で81%(30/37例)、プラセボ群で78%(18/23例)に発現し、主な事象は感染症および寄生虫症であった(それぞれ2例[13%]vs.12例[32%]vs.7例[30%])。

 重篤な有害事象は、dazukibart 150mg群で4例(11%)、プラセボ群で1例(4%)報告された。ステージ3のdazukibart 600mg→プラセボ投与の1例が、血球貪食性リンパ組織球症およびマクロファージ活性化症候群により追跡期間中に死亡した。

(ケアネット)