骨髄線維症、移植後30日目の変異消失が予後に関連/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/01/30

 

 骨髄線維症患者において、移植後30日目におけるドライバー遺伝子変異の消失は、その種類に関係なく再発および生存に良好な影響を及ぼすことを、ドイツ・ハンブルグ・ エッペンドルフ大学医療センターのNico Gagelmann氏らが明らかにした。同種造血幹細胞移植は骨髄線維症に対する唯一の治癒的治療法である。この疾患の病態生理学的特徴はドライバー遺伝子変異であるが、移植後の変異の消失の影響は不明であった。NEJM誌2025年1月9日号掲載の報告。

ドライバー遺伝子変異をモニタリング、予後との関連を評価

 研究グループは、2000~23年にハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターにて初回移植を受けた原発性骨髄線維症または二次性骨髄線維症(真性多血症または本態性血小板血症に続発)の患者324例を対象に、移植前および移植後30日目、100日目、180日目にドライバー遺伝子変異をモニタリングし、変異の消失と再発および生存に及ぼす影響を検討した。

 全例、移植の前処置には低強度ブスルファン+フルダラビンを用い、移植片対宿主病の予防は移植前に抗Tリンパ球グロブリン、移植後にカルシニューリン阻害薬(シクロスポリンAまたはタクロリムス)とミコフェノール酸モフェチルまたはメトトレキサートの併用投与を行った。

 主要エンドポイントは、再発および無病生存期間(DFS)の2つとした。副次エンドポイントは全生存期間(OS)であった。

移植後30日目の変異消失が予後に関連

 患者背景は、年齢中央値が60歳、62%が原発性骨髄線維症であった。また、ドライバー遺伝子変異は、JAK2変異238例(73%)、CALR変異73例(23%)、MPL変異13例(4%)に認められ、58%の患者が移植前にJAK阻害薬による治療を受けていた。

 移植後30日目には、JAK2変異の42%(101/238例)、CALR変異の73%(53/73例)、MPL変異の54%(7/13例)が遺伝子変異の消失を認めた。移植後100日目の変異消失はそれぞれ63%(117/185例)、82%(60/73例)、100%(13/13例)であり、移植後180日目はJAK2変異が79%(134/169例)、CALR変異が90%(62/69例)であった。

 再発の1年累積発生率は、移植後30日目に変異が消失した患者で6%(95%信頼区間[CI]:2~10)、消失しなかった患者で21%(15~27)であった。

 6年DFS率および6年OS率は、移植後30日目に変異が消失した患者でそれぞれ61%および74%、消失しなかった患者で41%および60%であった。

 移植後30日目の変異消失は従来のドナーキメリズムよりも奏効の指標として優れ、再発や進行のリスク低下と独立して関連していることが示唆された(ハザード比:0.36、95%CI:0.21~0.61)。多変量解析の結果、移植後30日目の変異消失の影響は、ドライバー遺伝子変異の種類(JAK2CALRMPL)よりも大きいことが示唆された。

(ケアネット)