GLP-1薬エキセナチド、パーキンソン病進行を抑制せず/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/17

 

 パーキンソン病患者に対して、GLP-1受容体作動薬エキセナチドの安全性および忍容性は確認されたが、疾患修飾薬として支持するエビデンスは示されなかった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのNirosen Vijiaratnam氏らが、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験の結果を報告した。GLP-1受容体作動薬は、in vitroおよびin vivoのパーキンソン病モデルにおいて神経栄養特性を有することが示され、疫学研究や小規模無作為化試験でパーキンソン病のリスクおよび進行を抑制する可能性が示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「パーキンソン病ヘのGLP-1受容体作動薬使用を支持するエビデンスの確立には、より優れた標的結合を示す薬剤を用いた試験や、特定のサブグループを対象とした研究が必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年2月4日号掲載の報告。

対プラセボ試験、96週時点のMDS-UPDRS III-ドーパミン作動薬中止スコアを評価

 研究グループは、英国の6つの研究病院で、GLP-1受容体作動薬エキセナチドのパーキンソン病に対する進行抑制効果を明らかにする目的で試験を行った。

 パーキンソン病と診断され、ドーパミン治療を受けている時点でホーン・ヤール重症度分類が2.5以下であり、登録前に少なくとも4週間ドーパミン治療を受けていた25~80歳の患者を対象とした。被験者は、ホーン・ヤール重症度分類と研究施設で最小化されたウェブベースシステムにより、徐放性エキセナチド2mgを皮下ペン注射にて週1回96週間投与、視覚的に同一のプラセボ投与のいずれかを受けるよう、1対1の割合で無作為に割り付けられた。全患者、全研究施設の研究チームメンバーが、無作為割り付けを盲検化された。

 主要アウトカムは運動障害疾患学会・パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)Part IIIスコアとし、96週時点でドーパミン作動薬を中止した患者にて、線形混合モデリング法を用いてITT集団を対象に解析した。

エキセナチド群5.7ポイント、プラセボ群4.5ポイント、スコアが悪化

 2020年1月23日~2022年4月23日に215例が適格性のスクリーニングを受け、194例がエキセナチド群(97例)またはプラセボ群(97例)に無作為化された。56例(29%)が女性で、138例(71%)が男性であった。

 エキセナチド群92例およびプラセボ群96例が、少なくとも1回のフォローアップを受け解析に含まれた。

 96週時点で、MDS-UPDRS III-ドーパミン作動薬中止スコアは、エキセナチド群で平均5.7ポイント(SD 11.2)、プラセボ群では同4.5ポイント(11.4)上昇(悪化)し、エキセナチドの効果に関する補正後係数は0.92(95%信頼区間:-1.56~3.39、p=0.47)であった。

 少なくとも1件以上の重篤な有害事象を発現したのは、エキセナチド群9例(9%)に対しプラセボ群は11例(11%)であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 内山 真一郎( うちやま しんいちろう ) 氏

国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授

赤坂山王メディカルセンター脳神経内科部長

J-CLEAR評議員