植込型除細動器使用は女性で低い

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2007/10/16

 

JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性差に着目した、複数年にわたる患者追跡調査を踏まえた研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のLesley H. Curtis氏らによる。

一次あるいは二次予防目的使用群ごと複数年にわたって検証




Curtis氏らは、心突然死の一次予防もしくは二次予防を目的にICD使用が適用された患者群を追い検証した。

連邦機関の一つであるCMMS(Centers for Medicare & Medicaid Services:旧保健医療財政局)から得られた1991年~2005年の間の調査定義可能な5%相当の全国サンプルを解析。

メディケアに該当する65歳以上患者で、急性心筋梗塞、心機能不全あるいは心筋症と診断された(心停止、心室頻拍は除く)男性65,917例、女性70,504例を一次予防コホート群として、心停止または心室頻拍と診断された男性52,252例、女性47,411例を二次予防コホート群として解析が行われた。

主要評価項目は、1999年から2005年までの1年ごとのICD治療の受療状況と全死亡率。

ICD治療群と未治療群との死亡率の有意差が少ないのは性差のせい?




2005年時の一次予防コホート群で、コホートエントリー1年以内でICD治療を受けていたのは男性が32.3/1,000例、女性は8.6/1,000例。多変量解析によって、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強かった(ハザード比3.15、95%信頼区間2.86-3.47)。

またコホートエントリー180日時点で存命のICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率に有意差はなかった(ハザード比1.01、95%信頼区間0.82-1.23)。

一方、2005年時の二次予防コホート群は、男性102.2/1,000例、女性38.4/1,000例がICD治療を受けていた。人口統計学的変数および共存症の有無で調整後、男性のほうが女性よりもICD治療を受けている傾向が強いことが明らかとなった(ハザード比2.44、95%信頼区間2.30-2.59)。

またコホートエントリー30日時点で存命だったICD未治療群とICD治療群との、1年以内の死亡率は、治療群のほうが有意に低かった(ハザード比0.65、95%信頼区間0.60-0.71)。

Curtis氏らは、メディケア集団においては、一次予防もしくは二次予防目的いずれでも、女性のほうがICD治療を男性よりも受けていないという性差が見いだされたと報告。これまでの報告ではギャップは少ないとされていたが、性差があると認識することが死亡率改善のためにも必要だと述べている。

(武藤まき:医療ライター)