局所進行頭頸部扁平上皮がんの維持療法、アテゾリズマブvs.プラセボ/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/03/31

 

 高リスクの局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA SCCHN)で集学的な根治的治療により病勢進行が認められない患者において、維持療法としてのアテゾリズマブはプラセボと比較して予後を改善しなかった。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のRobert Haddad氏らが、23ヵ国128施設で実施された第III相無作為化二重盲検比較試験「IMvoke010試験」の結果を報告した。LA SCCHNに対しては、手術、放射線療法、化学療法のいずれかを組み合わせた治療後、局所再発または遠隔転移のモニタリングが行われるが、予後不良であることから治療の改善に対する臨床的ニーズは依然として高かった。JAMA誌オンライン版2025年3月13日号掲載の報告。

主要評価項目は医師評価による無イベント生存期間

 研究グループは、複数種類の根治的治療後に病勢進行のないLA SCCHN(IVa/IVb期の口腔、喉頭、下咽頭を含む頭頸部扁平上皮がんまたはHPV陰性中咽頭がん、III期のHPV陽性中咽頭がん[AJCC Cancer Staging Manual第8版])で、18歳以上、ECOG PSが0~1の患者を、アテゾリズマブ群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、1,200mgを3週間ごとに最長1年間、または再発、病勢進行、許容できない毒性の発現または同意撤回が認められるまで投与した。

 主要評価項目は治験責任医師評価による無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)と安全性であった。

無イベント生存期間中央値59.5ヵ月vs.52.7ヵ月で差はなし

 2018年4月3日~2020年2月14日に計406例が無作為化された(アテゾリズマブ群203例、プラセボ群203例)。ベースラインの患者背景は両群で類似しており、アテゾリズマブ群vs.プラセボ群でそれぞれ65歳未満が142例(70.0%)vs.155例(76.4%)、男性168例(82.8%)vs.174例(85.7%)、アジア人68例(35.6%)vs.61例(31.0%)、黒人1例(0.5%)vs.1例(0.5%)、白人121例(63.4%)vs.135例(68.5%)であった。

 最終解析のクリニカルカットオフ日2023年9月27日(追跡期間中央値46.5ヵ月)において、治験責任医師評価によるEFS中央値は、アテゾリズマブ群59.5ヵ月(95%信頼区間[CI]:46.8~推定不能)、プラセボ群52.7ヵ月(41.4~推定不能)であり、両群で差はなかった(ハザード比:0.94、95%CI:0.70~1.26、p=0.68)。

 OSも両群で差はなく、24ヵ月OS率はアテゾリズマブ群82.0%、プラセボ群79.2%であった。

 安全性については、新たな事象または予期せぬ事象は認められなかった。

(ケアネット)