小児・青少年の運動促進に有効手段は確立しているのか

提供元:ケアネット

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公開日:2007/10/19

 

小児や青少年の肥満が問題になりつつあるが、身体活動改善に有効な手段は示唆こそされているものの、確立されているとは言えないようだ。Addenbrooke's Hospital(英国)のEsther M F van Sluijs氏らは対照試験の体系的レビューの結果をBMJ誌で報告した(オンライン版9月20日付、本誌10月6日号)。

57の対照試験を体系的にレビュー




van Sluijs氏らは、小児あるいは青少年を対象に何らかの介入が身体活動に及ぼす影響を検討した、57の対照試験を体系的にレビューした。小児(12歳未満)対象が33試験、青少年(12歳以上18歳未満)が24試験だった。

その結果、「健康教育」だけでは、小児・青少年とも身体活動は増加しないと考えられた。また「運動教育プログラムの改善」(授業の増加、専門教師による教育、設備増設など)は、小児に対しては一定の効果があるが青少年への有効性は不明だった。一方、上記に限らず様々な形で介入する「多面的介入」は少なくとも青少年に対しては有効だと考えられた。

次に、青少年では「学校+地域、家庭」において介入することが「学校」や「地域」、「家庭」のみで介入するよりも有効だが、小児に対する有効性は確認できなかった。

また社会経済状態別介入の有効性が小児を対象とした検討では有効性が一部確認されているが、青少年では結論できず、人種別介入は小児・青少年とも無効だった。また小児では無効だった男女別介入が青少年では有効である可能性も示されている。

van Sluijs氏らはこの領域に関するデータの蓄積が重要だと主張している。

(宇津貴史:医学レポーター)