2型糖尿病患者に対し、低グリセミック指数(GI)食療法を行うことで、高シリアル線維食療法に比べ、グリコヘモグロビン(HbA1c)値は減少し、高比重リポ蛋白(HDL)値は上昇することがわかった。これは、カナダSt Michael’s Hospital(トロント)のDavid J. A. Jenkins氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2008年12月17日号で発表した。
2型糖尿病患者210人について6ヵ月追跡
Jenkins氏らは、210人の2型糖尿病患者を無作為に2群に分け、一方には低グリセミック指数の食事療法を指導、もう一方には高シリアル線維の食事療法を指導し、6ヵ月後にHbA1c値などを比較した。試験は、2004~2007年にかけて行われた。
グリセミック指数の減少はHbA1c値減少と正相関、HDL値上昇と負相関
その結果、HbA1c値の減少率は高シリアル線維食群で-0.18%(95%信頼区間:-0.29~-0.07%)だったのに対し、低グリセミック指数食群では-0.50(-0.61~-0.39%)と、有意に減少幅が大きかった(p<0.001)。
また、低グリセミック指数食群ではHDL値について、1.7mg/dL(95%信頼区間:0.8~2.6 mg/dL)の上昇が見られた一方で、高シリアル線維食群では、HDL値が-0.2mg/dL(同:-0.9~0.5mg/dL)減少した(p=0.005)。
さらにグリセミック指数の減少は、HbA1c値の減少と正の相関関係があった(相関係数=0.35、p<0.001)。またHDL値上昇とは負の相関関係があった(相関係数=-0.19、p=0.009)。
ところで、薬によるHbA1c値のコントロールによって心血管疾患リスクを減少させるのは難しいのが現状だ。だがJenkins氏らは、低グリセミック指数食療法によるHbA1c値の減少は、減少幅はわずかではあるが、冠動脈性心疾患の予防にとっては重要な意味があるのではないかと推測している。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)