青年後期で、太りすぎ(過体重)や肥満症になると、喫煙の有無や程度にかかわらず死亡リスクを増大することが、Karolinska大学病院(スウェーデン)臨床疫学部門のMartin Neovius氏らによって報告された。スウェーデン人男性を対象とした本調査の結果は、BMJ誌2009年3月14日号(オンライン版2009年2月24日号)で発表されている。徴兵制を敷くスウェーデンでは、男子は概ね16~20歳の間に徴兵テストを受ける。本調査は、1969~1970年に徴兵テストを受け登録された4万5,920人(平均18.7歳、SD:0.5)の体重と身長、自己申告による喫煙状況のデータをベースに活用し、38年間追跡した。
死亡リスクはBMI標準群に対し、過体重群1.33倍、肥満症群2.14倍
主要評価項目は、BMI(低体重:<18.5、標準体重:18.5~24.9、過体重:25~29.9、肥満症:≧30)、筋力、1969~1970年の徴兵テスト時の自己申告喫煙状況[非喫煙者、軽度喫煙者(1~10本/日)、ヘビースモーカー(>10本/日)]、全原因死亡率。
38年、170万人・年のうち、死亡は2,897人だった。
そのうちBMI標準体重群(17人/10,000人・年、95%信頼区間:16~18)と比べて、過体重群の死亡率は1.33倍、肥満症群の死亡率は2.14倍だった。一方、低体重群は0.97倍と死亡リスクの増大は見られなかったが、さらに階層化したBMIが17未満の群では、1.33倍と増大していた。
喫煙因子に注目した同類項比較の解析では、喫煙者間では標準体重群1に対して過体重群1.35倍、肥満症群2.23倍、非喫煙者間では同1.37倍、2.16倍、軽度喫煙者間では同1.44倍、1.88倍、ヘビースモーカー間では同1.23倍、2.27倍だった。
青年期の肥満と喫煙は、世界規模での公衆衛生ターゲット
また、BMIと喫煙との相互作用によるリスク増加を検証したところ、「肥満症でヘビースモーカー」で死亡率が1.5倍とリスクの増大が見られたが、それ以外はわずかで有意な結果は見いだされなかった。
非喫煙者との比較で見た場合の、軽度喫煙者の死亡リスクは1.54倍、ヘビースモーカーの場合は2.11倍だった。
これらからNeovius氏は、青年後期での太りすぎ(過体重)や肥満症は、喫煙の有無や程度にかかわらず死亡リスクを増大すると述べ、太りすぎや肥満症であることのリスクは、喫煙における、非喫煙者に対する軽度、ヘビーと同じようなリスクレベルを呈するとし、また両要因の相互作用は確認されなかったものの、「世界的な青年期の肥満傾向と喫煙嗜好は、引き続き公衆衛生の重要なターゲットである」と結論している。