イギリスで育ち、イギリスのメディカルスクールを卒業し医師になった人は、短期的に見ても長期的に見ても常に8割以上が国営のNHSで働いていることが明らかにされた。男女差はほとんどなかった。一方、海外留学生の場合は、卒後2年は75%がイギリスにとどまるが、20年後には半分がイギリスを後にしていた。本調査は、オックスフォード大学公衆衛生部門UK Medical Careers Research GroupのMichael J Goldacre氏らが、NHSで働いているイギリスのメディカルスクール卒業生の割合を調べることを目的に行ったもので、BMJ誌2009年6月13日号(オンライン版2009年6月3日号)で発表された。
1974~2002年の医学部卒業生3万超の現就職先を調査
調査は郵送アンケートと就職雇用データを用いて行われた。対象は、1974~2002年の間にイギリス全国でメディカルスクールを卒業した3万2,430人。入学時、イギリス居住組だったか、海外からの留学組だったかに分け、卒業後2~27年の間のNHS就職状況が調べられた。
イギリスで育ち医師になった人の8割は20年以上NHS下で働いている
イギリス居住組だった医師でNHSで働いている人の割合は、卒後何年を経てもあまり大きく減ってはいなかった。卒後2年では、男女とも88%(男:6,807/7,754人、女:7,909/8,985人)、5年後は87%(7,483/8,646人)と86%(7,364/8,594人)、10年後は同率の86%(男:6,803/7,872人、女:5,407/6,321人)、15年後は85%(5,404/6,331人)と84%(3,206/3,820人)、20年後は82%(2,534/3,089人)と81%(1,132/1,395人)だった。
一方、留学組は、2年後76%(776/1,020)、5年後72%(700/972)、10年後63%(448/717)、20年後は52%(128/248)だった。