急性冠動脈症候群後患者へのrivaroxaban:第2相試験

提供元:ケアネット

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公開日:2009/07/16

 



新たな経口第Xa因子阻害薬rivaroxabanは、人工股関節あるいは膝関節置換術後の、静脈血栓塞栓症の予防に有効であったことは既報されている(ジャーナル四天王2009/05/28号、No.J000768。2008/07/17号、No.J000433)。Lancet誌2009年7月4日号(オンライン版2009年6月17日号)では、同剤の急性冠症候群後の患者への有効性と安全性を検討した第2相試験「ATLAS ACS TIMI 46 study」の結果が掲載された。ブリガム&ウィメンズ病院(米国、ボストン)のJ L Mega, E Braunwald氏らスタディグループは、「本試験で、rivaroxabanの用量依存による出血頻度が確認され、重大な出血を減らす可能性が確認できた。引き続き低用量での第3相試験を行う」と報告している。

27ヵ国297施設から3,491例が参加、試験は至適用量を決めることを目的に設計




ATLAS ACS TIMI 46 studyは、至適用量を決めることを目的に設計された、無作為化二重盲検プラセボ対照投与量決定試験。27ヵ国297施設から、急性冠症候群後、症状が安定した3,491例が参加し行われた。

被験者は、担当医の決定に基づき、アスピリンだけを使用する群(stratum1:761例)と、アスピリン+チエノピリジン群(stratum2:2,730例)に層別化され、それぞれ群内で、プラセボと各rivaroxaban用量[stratum1は3種類(5mg、10mg、20mg)、stratum2は4種類(5mg、10mg、15mg、20mg)]が投与された。投与は、各種1日1回投与群と、半量ずつ1日2回投与群が設定された。

主要な安全性のエンドポイントは、臨床的に意味のある出血。主要な有効性のエンドポイントは、6ヵ月間の死亡・心筋梗塞・脳卒中・血行再建術を必要とする重度の虚血の再発だった。安全性は、試験薬を服用した全患者を対象に(stratum1では3例、stratum2では26例が試験薬を服用しなかった)、有効性は、intention to treat解析で行われた。

有効性、安全性ともに確認




臨床的に意味のある出血リスクは、用量依存的な服用で増加することが確認された。対プラセボで、5mg群2.21倍(95%信頼区間:1.25~3.91)、10mg群3.35倍(2.31~4.87)、15mg群3.60倍(2.32~5.58)、20mg群5.06倍(3.45~7.42)だった(p<0.0001)。

有効性のエンドポイントは、rivaroxaban群のほうがプラセボ群と比べて少なく、0.79倍(95%信頼区間:0.60~1.05、p=0.10)だった[rivaroxaban群5.6%(126/2,331例)、プラセボ群7.0%(79/1,160例)]。有効性の副次エンドポイント(死亡・心筋梗塞・脳卒中)は、0.69倍(0.50~0.96、p=0.0270)だった。
 両群に最も共通して見られた有害事象は、胸痛だった(10.7%対10.2%)。