これまで、わが国での受動喫煙と肺がんとの関連についてはシステマティックに評価されていなかった。今回、国立がん研究センターの堀 芽久美氏らが実施した、非喫煙者の受動喫煙と肺がんとの関係についてのシステマティックレビューとメタ解析で、成人期における家庭内受動喫煙で肺がんリスクが有意に増加することが示唆された。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年8月10日号に掲載。
著者らは、MEDLINEおよび医中誌Webデータベースから、検索用語とMeSHによって関連する研究を収集した。適格な研究を特定後、統合リスク推定値の計算のために相対リスクまたはオッズ比を抽出した。これらの手順は少なくとも2名の著者が独立して行った。研究デザイン、出版年、潜在的交絡変数を考慮した層別解析を行った。出版バイアスの存在はファンネルプロットで評価した。
主な結果は以下のとおり。
・4件のコホート研究と5件の症例対照研究を特定した。量的な統合は成人期における家庭での受動喫煙に対してのみ行った。
・メタ解析に含まれる12集団のうち、11集団で受動喫煙と肺がんの間に正相関が認められ、残りの1集団で逆相関がみられた。
・受動喫煙に関連する肺がんの統合相対リスクは1.28(95%信頼区間:1.10~1.48)であった。
・出版バイアスの存在は認められず、トリムアンドフィル法で同定された、潜在的に不足している研究を含めた場合においても有意な関連がみられた(併合相対リスク:1.26、95%信頼区間:1.09~1.46)。
・この結果は、研究デザインや出版年、交絡変数の調整によるさまざまなサブグループでも一定していた。
(ケアネット 金沢 浩子)