CLEAR!ジャーナル四天王|page:87

DESは生命予後改善効果を持つ!?従来の説に一石(解説:野間 重孝 氏)-226

 安定型冠動脈疾患に対する冠動脈再建術の最も重要な目的は生命予後の改善であり、その目的のために心筋梗塞や不安定狭心症の発生を予防することにある。同時に、狭心症状の改善による生活の質(QOL)の向上もまた重要であることはいうまでもないが、両者は必ずしも両立するとは限らない。

EBMがもたらした、究極の“心血管イベント抑制”薬ポリピルは、実現するか(解説:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(224)より-

Lawらは、2009年BMJ誌に、冠動脈疾患、脳卒中の発症の予防に対する異なるクラスの降圧薬の効果を定量的に決定するとともに、降圧薬治療の適切な対象を検討する目的で、5種類の主要降圧薬群(チアジド系薬剤、β遮断薬、ACE阻害薬、ARB、Ca拮抗薬)を対象にした、1966年~2007年の間の臨床試験、全147試験のメタ解析を行った結果を報告した1)。

「心筋梗塞治療」を追いかける「虚血性脳卒中治療」(解説:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(223)より-

歴史は繰り返す。1980年代に、急性心筋梗塞に対するt-PA治療が米国を中心に広く普及した。当初、「発症後6時間以内の心筋梗塞」が適応とされていたが、「発症後24時間以内」でも有効とされ適応が広まった。医療機関へのアクセスが遠い米国では、心筋梗塞症例を救急搬送するときに救急車内での投与も施行された。血栓溶解により虚血を改善すれば、臓器機能の改善の著しい症例が一部ある。

脳卒中対応救急車はt-PAの治療開始時間を短縮し、実施率を高めた。(解説:内山 真一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(221)より-

CT、簡易迅速血液検査、電子画像転送システムを装備した脳卒中対応救急車(STEMO)の効果を検討するPHANTOM-S研究がドイツのベルリン地区で行われ、発症からt-PA治療開始までの時間の有意な短縮効果とt-PA治療実施率の有意な改善効果が示された。

HIV感染患者に対するイソニアジドの予防投与は有効か?(解説:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(220)より-

結核は依然としてHIV感染患者における重要な日和見疾患である。今までにsystematic reviewや後ろ向き観察研究などで、イソニアジド単独、あるいはイソニアジド+抗HIV療法によって結核発病のリスクを低減できることが示されてきた。WHOが途上国に向けて発信したガイドラインでは、HIV感染患者全例にイソニアジドの予防投与を行うことを推奨している。

新規経口薬、移植後サイトメガロウイルス感染症の予防効果を確認(解説:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(217)より-

サイトメガロウイルス(CMV)感染症の治療薬には、これまでガンシクロビル(GCV)やバルガンシクロビル、ホスカルネット、シドホビルが用いられてきたが、血球減少や腎障害、電解質異常といった副作用が高率に生じるうえ、しばしば耐性ウイルスが出現し、治療上困難に直面することが多かった。

PCSK9阻害薬は新たなコレステロール治療薬となりうるのか?(解説:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(216)より-

LDLコレステロール(LDL-C)が心血管イベントの重要なリスクファクターであること、そしてスタチンによるLDL-C値の低下に伴いイベントの発生率が減少したことで、ASCVD(Atherosclerotic Cardiovascular Disease)においてLDL-C値をより低くコントロールすることが目標とされた。

未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の長期アウトカム、保存療法が良好(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(214)より-

未破裂脳動静脈奇形(bAVMs)の治療については、ARUBA試験〔死亡または脳卒中リスクに関して、保存療法と介入療法とを比較することを目的とした多施設共同非盲検無作為化試験:Lancet誌オンライン版2013年11月19日号掲載〕により、短期的には保存療法のほうが介入療法よりも優れていることが明らかにされたが、保存療法の優位性は長期の比較データがなかったために不明であった。スコットランド・エディンバラ大学のRustam Al-Shahi Salman氏らが、204例について行った住民ベースの発端コホート試験の結果、保存療法の長期アウトカムは介入療法よりも良好であることが明らかにされた(JAMA誌4月23・30日号掲載の報告より)。

C型慢性肝炎に対するIFN-freeの治療法に関する検討 ―レディパスビル・ソホスブビル療法の期間短縮は可能か―(コメンテーター:中村 郁夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(211)より-

C型慢性肝炎のうち、1型高ウイルス量の患者に対する現在の標準治療はペグインターフェロン(PEG-IFN)・リバビリン・シメプレビル(第2世代Protease阻害薬)の3剤併用療法(24週)である。治療効果の向上、患者の負担軽減を目指した治療法として、IFN freeの経口薬併用療法の開発が進められている。HCVを減らす経口薬として、(1)NS3 Protease阻害薬、(2)NS5B Polymerase阻害薬(核酸型・非核酸型)、(3)NS5A阻害薬が挙げられる。このうち、核酸型のNS5B Polymerase阻害薬に属するソホスブビルは、耐性ウイルスの出現率が低いことが知られ、さらに、ソホスブビルとNS5A阻害薬であるレディパスビルの12週間の内服併用治療は、有効性が高く、副作用が低いことが報告されている。

アセチルシステインは特発性肺線維症に“効く”のか?(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(209)より-

特発性肺線維症に対する治療薬としてピルフェニドンが登場するまで、ステロイド、免疫抑制剤、アセチルシステイン(N-アセチルシステイン:NAC)は世界的に広く用いられていた(現在も汎用されているが)。ただ、これらの薬剤もその効果は限定的であり、現時点で特発性肺線維症に対する使用を強く推奨しているガイドラインは存在しない。ただ、それでもなお「これらの薬剤が少なくとも悪影響は与えることはないだろう」という思いが臨床医の胸の内にあった。ステロイドや免疫抑制剤による日和見感染などの合併症があったとしても、炎症・線維化を抑制する効果はそれを上回るベネフィットがあると考える研究者も少なくなかった。

ニンテダニブは福音となりうるか?(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(208)より-

ご存じのとおり特発性肺線維症は予後不良の進行性疾患であり、年単位、早い患者であれば、月単位で肺の線維化が進行する。これに対してこれまで数々の治療が試みられてきたが、実臨床でその効果を実感できるほどの治療薬が21世紀に入ってもまだ登場していないのが現状である。

徴候と症状と心不全の入院歴でHFpEFは定義できない―ナトリウム利尿ペプチド上昇で定義したHFpEFにはスピロノラクトンが有効である可能性(コメンテーター:原田 和昌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(207)より-

左室駆出率が保持された症候性心不全(HFpEF)の有効な治療薬はまだない。抗アルドステロン薬のスピロノラクトンは、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の予後を改善することからガイドラインで推奨されている。