CLEAR!ジャーナル四天王|page:75

電極リードも不要、ジェネレーター用の皮下ポケットも不要。近未来のリードレスペースメーカ(解説:矢崎 義直 氏)-498

ペースメーカが、初めて人体に植込まれてから50年以上もの月日が経つ。現在に至るまで、安全性に関してさまざまな改良がなされてきたが、電極リードを経静脈的に挿入する従来のペースメーカにおける合併症の発生率は、10%前後といまだ高い。そのほとんどが、電極リードやジェネレーター用の皮下ポケットに関連するものである。

CREST試験:頸動脈狭窄症における頸動脈剥離術と頸動脈ステントの両治療群における長期追跡(解説:山本 康正 氏)-497

症候性および無症候性頸動脈狭窄症例2,502例を、頸動脈ステントと頸動脈剥離術との2種類の治療に振り分け、4年間追跡したCREST(Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial)試験では、脳卒中、心筋梗塞、周術期の死亡、そして、病側の脳卒中発症を含めた1次複合エンドポイントについて差は認められなかった。そこで今回は、さらに10年に及ぶ追跡の結果を調べた。

結局、喘息に対するICS/LABAは安全なのか?(解説:倉原 優 氏)-496

現在、喘息に保険適用のあるLABA(長時間作用性β2刺激薬)の吸入薬は、サルメテロール(商品名:セレベント)1剤のみである。ほかのLABAはCOPDに対して用いられる。いずれのLABAについても、喘息に対して単独で使用することは勧められない。これは、LABAの使用によって喘息の死亡リスクが上昇したとするメタアナリシスと、FDAのアラートに基づく。そのため、「喘息にLABAはダメなんだ」と、世界中の呼吸器内科医にインプリンティングされてしまった。

また新たに創薬のターゲットにされる脂質異常症関連遺伝子(解説:興梠 貴英 氏)-495

2013年11月に発表されたAHA(米国心臓協会)の脂質異常症治療に関するガイドラインでは、動脈硬化性心血管疾患の発症リスクを有意に減少させるのはスタチンのみである、と結論付けている。その後、IMPROVE-IT試験でエゼチミブのスタチンへの上乗せ効果が認められたこともあり、臨床現場でも脂質異常症治療として、まずLDL-C低下が治療の第1選択肢となっている。

過敏性腸症候群に新たな光が(解説:内藤 正規 氏)-493

過敏性腸症候群は、日本人の約10~15%に認められる頻度の高い疾患であり、消化器症状により受診する人の約3割を占めるといわれている。内視鏡検査や血液検査で明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感を伴う便秘や下痢が長く続き、多くの人々を悩ませている。そのような人々に光を差す可能性がある、下痢型の過敏性腸症候群に対しての新たな治療薬である混合型オピオイド作用を有する製剤eluxadolineの有効性を示す第III相試験の結果が、Anthony J Lembo氏らのグループにより報告された。

妊娠とメトホルミン-本当に「禁忌」なのか?-(解説:住谷 哲 氏)-492

肥満人口の増加とともに、耐糖能異常を合併した妊婦の数も増加している。耐糖能異常合併妊娠は、妊娠前糖尿病、妊娠糖尿病に分類されるが、その管理目標は母児の周産期合併症を予防することにある。妊娠中の血糖管理の基礎は食事療法であるが、血糖降下薬を必要とする場合は少なくない。

試みない後悔よりも、試みる勇気を持て、高齢者へのPCI(解説:中川 義久 氏)-490

「後悔」とは、「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と後から物事を悔いることで、皆ができれば避けたいと思っている感情の1つである。恋愛でも、仕事でも、対人関係でもそういう機会は多い。「あの時、勇気を出して告白すれば彼女の気持ちは変わったんじゃないか?」など、ギクシャクしたりした後で後悔の念は強まるものだ。“後悔先に立たず”というが、後悔しても取り戻せないとわかっていても執着心が勝ってしまうのが人間である。これはPCI施行医においても同様である。

電子カルテ時代に抗菌薬不適切使用を減らす手法はあるか?(解説:倉原 優 氏)-484

当然ながら、上気道感染症のほとんどに抗菌薬の処方は不要とされている。しかしながら、多くの病院やクリニックでは、安易に抗菌薬が処方されている。これは、患者からの希望、クリニックの評判、何か処方しないと満足度が得られない、抗菌薬が不要であることのインフォームドコンセントの時間が十分取れない、など医学的な側面以外の問題が影響しているかもしれない。当院でも、上気道症状を有する患者の多くは、すでに近医でフルオロキノロンを処方された状態で来院してくる。

標準対強化禁煙薬物治療の初ガチンコ。非盲検比較試験結果によると禁煙率は同等!(解説:島田 俊夫 氏)-482

深刻な喫煙による健康被害のために、薬物治療を徹底的に比較評価することは禁煙率改善上重要である。2016年1月26日発行のJAMA誌に掲載された米国・ウイスコンシン大学公衆衛生学部門のTimothy B. Baker氏らは、禁煙治療に関心を持つ成人に対して、ニコチンパッチ、バレニクリン、併用ニコチン代替治療(C-NRT:ニコチンパッチ+ニコチントローチ)を使って12週間薬物治療後、26週、52週後の禁煙率を生化学的検査により裏付けた結果から評価し、3群間に有意差は認めなかったと報告した。