腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:378

カルシウムとビタミンDの摂取と大腸腺腫予防(解説:上村 直実 氏)-448

数多くの疫学的検討の結果、ビタミンDやカルシウム(Ca)の摂取量ないしは血中濃度が高いほど大腸腺腫や大腸がんのリスクが低く、両者併用による大腸腫瘍予防効果の可能性も指摘されていた。しかし、今回、実際にビタミンDおよびCa投与を用いた介入試験の結果、両者いずれの投与によっても統計学的に有意な腫瘍抑制効果は認められなかった。

DNA修復遺伝子異常の前立腺がん、olaparibで高い奏効率/NEJM

 DNA修復遺伝子に異常が認められる転移性去勢抵抗性前立腺がんの患者には、ポリ(アデノシン二リン酸・リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害作用のあるolaparibが、9割近くの奏効率を示す可能性があることが示された。英国・Institute of Cancer ResearchのJ. Mateo氏らが50例を対象とした第II相非盲検単群2段階多施設試験の結果、報告した。前立腺がんは多様性があるが、現在の治療は遺伝子ベースに層別化したものはなかった。NEJM誌2015年10月29日号掲載の報告。

緑茶やコーヒーで胆道がんリスクは減少するか

 緑茶やコーヒーの摂取が、数種類のがんリスクを減少させる可能性があるが、胆道がんについてはよくわかっていない。大阪大学の牧内 武氏らは、緑茶(緑茶全体、煎茶、番茶/玄米茶)およびコーヒーの摂取と、胆道がんおよびそのサブタイプのリスクとの関連を、日本における集団ベースの前向きコホート研究で検討した。その結果、緑茶摂取量が多いと胆道がんリスクが減少する可能性が示唆され、その効果は煎茶に起因する可能性があるという。また、コーヒー摂取とは関連がなかった。Cancer science誌オンライン版2015年11月4日号に掲載。

腫瘍の病期が与える影響をどう解釈するか(解説:矢形 寛 氏)-445

非常に精力的な研究であり、かつ読み応えのある論文である。治療の発達した現代においても、腫瘍径やリンパ節転移で示される病期が死亡率と関連するというデータはリーズナブルであり、それゆえ病期を正確に把握することは重要である。著者らは、そのことをもって早期発見が重要であるという結論に結び付けている。

原発労働者のがんリスク、被爆者と同等/BMJ

 原子力発電所の労働者について、電離放射線の低線量被曝でも累積線量の増加に比例して固形がんリスクは増加することが明らかになった。また、同リスク増加量は、日本の原爆被害者を対象にした試験結果と比較して高線量被曝の場合と同等であることも示された。米国・ノースカロライナ大学のDavid B Richardson氏らが、フランス、英国、米国の原子力産業労働者を対象にした後ろ向きコホート試験「INWORKS」のデータを基に検証し明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年10月20日号掲載の報告。