腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

EGFR exon20挿入変異陽性進行NSCLCの初回治療、経口sunvozertinibが有効(WU-KONG28)/NEJM

 EGFR exon20挿入変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療として、sunvozertinibはプラチナベースの化学療法よりも有効性に優れることが示された。中国・Shanghai East HospitalのCaicun Zhou氏らWU-KONG28 Investigatorsが、15ヵ国154施設で被験者を募り実施した海外第III相無作為化試験の結果を報告した。sunvozertinibは、WU-KONG1B試験およびWU-KONG6試験の結果に基づき、米国および中国で、既治療のEGFR exon20挿入変異陽性の進行NSCLC患者に対する治療薬として迅速承認された経口薬。早期相の試験において、初回治療の選択薬としてもベネフィットをもたらす可能性が示唆され、有効性および安全性の検証が求められていた。NEJM誌オンライン版2026年5月29日号掲載の報告。

Mim8―次世代FVIII mimetic開発競争(解説:長尾梓氏)

2026年4月、NEJM誌にMim8(denecimig)の第III相試験(FRONTIER2)が掲載された。血友病A診療において、エミシズマブに続く新たなFactor VIII mimeticとして注目される報告である。しかし、本試験の意義は単に「新薬が有効だった」という点にとどまらない。むしろ、「Factor VIII mimetic」という薬剤クラスが、エミシズマブ一強時代から次のステージへ進み始めたことを示している点にある。血友病Aでは第VIII因子(FVIII)が欠乏するため、FIXaとFXを橋渡しできず、十分なトロンビン産生が得られない。エミシズマブは、この問題を「FVIIIそのものを補充する」のではなく、「FVIIIaの機能を模倣する二重特異性抗体を作る」という発想で解決し、血友病治療に革命をもたらした。

アジアにおける新薬早期開発/日本臨床腫瘍学会

 アジアが、がん新薬開発の“最初の一歩”を担う時代が到来するかもしれない。第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(2026年3月26~28日)では、「アジアにおける新薬早期開発」をテーマとしたシンポジウムが開催され、第I相試験やトランスレーショナルリサーチの潮流が、従来の米国中心からアジア太平洋地域へと急速に移行している現状が示された。  初めに、勝屋 友幾氏(国立がん研究センター中央病院 先端医療科)は、アジア視点から早期がん薬剤開発の現状と進展について解説した。第I相試験は従来、安全性の評価や最大耐用量の決定を主な目的としており、奏効率(ORR)は10%程度にとどまっていた。しかし近年では、バイオマーカーに基づく患者選択や多様なモダリティの導入により、ORRは18%まで向上しているという。

新規診断AML、経口decitabine-cedazuridine+ベネトクラクスが有用/NEJM

 新たに診断された75歳以上または強力な寛解導入療法非適応の急性骨髄性白血病(AML)患者において、経口decitabine-cedazuridineとベネトクラクスの併用療法により、骨髄抑制作用が認められたものの、薬物相互作用を起こすことなく約半数の患者で完全寛解が認められた。米国・New York Presbyterian HospitalのGail J. Roboz氏らが、第I/II相多施設共同非盲検非無作為化臨床試験「ASCERTAIN-V(ASTX727-07)試験」の結果を報告した。75歳以上または強力な寛解導入療法非適応のAML患者に対しては、アザシチジンまたはdecitabineとベネトクラクスの併用療法が標準治療であるが、非経口投与は患者と医療従事者の双方に負担となっている。

病理像とゲノムをつなぐ空間統合解析の最前線/日本臨床腫瘍学会

 がんの病態は、腫瘍細胞そのものの遺伝子異常だけでなく、それを取り巻く微小環境や、組織内で細胞がどう配置されているかといった“空間情報”にも大きく左右される。こうした背景から、複雑な組織情報をこれまで以上に精緻かつ統合的に捉えることの重要性が高まっている。  2026年3月26~28日に開催された第23回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「がん組織の空間情報の抽出と基盤AIモデル」において、中岡 博史氏(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先端治療科学専攻 医療情報解析学講座 データサイエンス分野)により、がんや関連病変の多様性を空間的視点から読み解く最新研究が紹介された。

がん診療初心者でも学べる!楽しめる!第16回亀田総合病院腫瘍内科セミナー【ご案内】

 2026年7月19日(日)に、第16回亀田総合病院腫瘍内科セミナーが御茶ノ水での現地開催とWeb上のLIVE配信のハイブリッド形式で開催される。白井 敬祐氏(ダートマス大学腫瘍内科)、池田 貞勝氏(東京科学大学病院がんゲノム診療科)、小山 隆文氏(国立がん研究センター中央病院先端医療科)を講師として迎え、がん診療総論、がん患者の救急対応、チーム医療のTipsやコミュニケーション方法、そしてゲノム診療など幅広い領域を扱う。また、亀田総合病院腫瘍内科スタッフによる「実臨床における思考過程」を解説する講座も用意されているほか、同科の日常診療を体験できるワークショップも企画されている。

高リスクDLBCLの初回治療、タファシタマブ+レナリドミド+R-CHOPでPFS延長/Lancet

 未治療の高リスクびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者の約40%は、初回治療のR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、prednisoneまたはプレドニゾロン)で再発・進行に至る。ドイツ・University Hospital MunsterのGeorg Lenz氏らMIND Study Investigatorsは、DLBCLを含む高リスクB細胞リンパ腫を対象とした検討(frontMIND試験)で、R-CHOP+タファシタマブ(Fc領域を改変した抗CD19モノクローナル抗体)+レナリドミド(tafa-len-R-CHOP)療法がR-CHOP療法と比較し、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことを示した。ただし、追加併用により、治療中に発現し死亡に至った有害事象(TEAE)を含む有害事象の増加が認められた。

EGFR遺伝子変異陽性肺がんの耐性機序と新規治療から見た今後の展望/日本臨床腫瘍学会

 EGFR遺伝子変異陽性肺がんの治療は、分子標的薬の登場によって大きく進歩してきた。一方で、治療経過で生じる薬剤耐性、EGFRエクソン20挿入変異やHER2変異をはじめとする uncommon 変異への対応、さらに治療シークエンスや併用療法に伴う有害事象の管理など、なお多くの課題が残されている。  2026年3月26〜28日に開催された第23回日本臨床腫瘍学会学術集会のシンポジウム「EGFR遺伝子変異陽性肺癌の治療課題と新規治療の展望」では、EGFR変異陽性肺がん診療が直面する近年の課題を踏まえ、その解決に向けた最新のエビデンスや治療戦略について幅広い議論が交わされた。

転移APMS前立腺がん、タラゾパリブ追加でPFS改善(TALAPRO-3)/NEJM

 相同組み換え修復遺伝子に変異を有する転移のあるアンドロゲン経路修飾感受性(APMS)前立腺がんの治療において、タラゾパリブ(PARP阻害薬)+エンザルタミドはプラセボ+エンザルタミドと比較して、画像評価に基づく3年無増悪生存率(PFS)が有意に優れ、その一方で重篤な有害事象が多く発現することが、米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏らが実施した「TALAPRO-3試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年5月30日号で発表された。  TALAPRO-3試験は、日本を含む27ヵ国266施設で進行中の第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Pfizerの助成を受けた)。

HER2+およびTN早期乳がん、腫瘍径とリンパ節転移の関連

 2021年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)ガイドラインでは、リンパ節転移陽性またはT1c以上のHER2陽性(HER2+)およびトリプルネガティブ(TN)早期乳がんに対して術前全身療法を推奨しているが、臨床的にはリンパ節転移陰性のT1c腫瘍の管理に関しては議論が続いている。今回、カナダ・トロント大学のYerin R. Lee氏らは、T1-T2のHER2+およびTN乳がんにおける腫瘍径とリンパ節転移の関連を評価し、T1c腫瘍におけるリンパ節転移陽性の予測因子を検討した。その結果、HER2+およびTN乳がんにおいて、T1a/bであってもリンパ節転移率は高く、T1cではホルモン受容体陰性(HR-)/HER2+および50歳以下がリンパ節転移リスクの独立した予測因子であることが示唆された。Annals of Surgical Oncology誌2026年7月号に掲載。