腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

高リスク頭頸部がん、術後化学放射線療法へのニボルマブ追加でDFS改善/Lancet

 切除後の再発高リスク局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-SCCHN)に対し、術後シスプラチン+放射線療法にニボルマブを追加することにより、中等度の毒性が増加するものの無病生存期間(DFS)が有意に改善された。スイス・ローザンヌ大学のJean Bourhis氏らが、欧州6ヵ国82施設で実施された、フランスの頭頸部がん放射線治療グループ(GORTEC)主導の無作為化非盲検第III相試験「GORTEC 2018-01 NIVOPOST-OP試験」の結果を報告した。シスプラチン+放射線療法は、高リスクLA-SCCHNに対する術後補助療法の標準治療であるが、ニボルマブ追加の有効性と安全性は不明であった。著者は、「ニボルマブ+シスプラチン+放射線療法は、新たな標準治療として提案可能である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年12月22日号掲載報告。

再発・難治性多発性骨髄腫へのiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾンの第II相試験(ICON)/Lancet Haematol

 2~4ラインの治療歴のある再発・難治性多発性骨髄腫に対するiberdomide+低用量シクロホスファミド+デキサメタゾン(IberCd)の現在進行中の前向き単群第II相非盲検試験(ICON試験)において、追跡期間25.4ヵ月で無増悪生存期間(PFS)中央値が17.6ヵ月と良好であったことを、オランダ・アムステルダム自由大学のCharlotte L. B. M. Korst氏らが報告した。Lancet Haematology誌2026年1月号に掲載。  iberdomideは、経口セレブロンE3リガーゼモジュレーターであり、レナリドミドやポマリドミドとは薬理学的に異なりセレブロンとの親和性が高いため、直接的な抗腫瘍効果と免疫刺激効果をもたらすことが示されている。

日本人末期がん患者のせん妄、その発生率と薬理学的介入の現状

 末期がん患者では、疼痛やせん妄の発生が少なくない。しかし、疼痛管理のために投与されるオピオイドは、患者のせん妄を悪化させる可能性がある。名古屋市立大学病院の長谷川 貴昭氏らは、がん性疼痛とせん妄を有する末期がん患者において、実際の症状経過とオピオイドおよび抗精神病薬を含む薬理学的介入との関連を調査するため、多施設共同プロスペクティブ観察研究の2次解析を実施した。Palliative Medicine Reports誌2025年10月24日号の報告。 対象は、日本のホスピスまたは緩和ケア病棟に入院している成人患者のうち、Palliative Performance Scale(PPS)が20点以下に低下した時点(1日目、死亡直前)で、がん性疼痛(Integrated Palliative care Outcome Scale[IPOS]の疼痛スコア2以上)およびせん妄を有していた患者。薬理学的治療戦略、疼痛レベル(IPOSに基づく)、せん妄症状(Memorial Delirium Assessment Scale[MDAS]の9項目に基づく)を測定した。

高リスク早期TN乳がん、術後EC+PTXにCBDCA追加で3年DFS・OS改善/BMJ

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者に対する術後補助療法として、エピルビシン+シクロホスファミド(EC療法)後の週1回パクリタキセル(PTX)投与にカルボプラチン(CBDCA)を追加することで、新たな安全性の懸念なく早期再発リスクが低下し、生存アウトカムが有意に改善したことが示された。中国・復旦大学上海がんセンターのYin Liu氏らが、第III相の無作為化非盲検試験「CITRINE試験」の結果を報告した。高リスクの早期TNBCの予後は不良であり、術後補助療法の強化戦略の最適化が依然として必要とされていたが、TNBCに対する術後補助療法としてのアントラサイクリン/タキサン系化学療法へのカルボプラチン追加の有益性については、意見が分かれていた。BMJ誌2025年12月23日号掲載の報告。

再発・難治性濾胞性リンパ腫、タファシタマブ追加でPFS改善(inMIND)/Lancet

 濾胞性リンパ腫は長期生存率が高いが、一般的に根治が困難で、寛解と再発を繰り返すことから複数の治療ラインが求められている。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLaurie H. Sehn氏らによる「inMIND試験」において、再発・難治性濾胞性リンパ腫の治療では、レナリドミド+リツキシマブへの追加薬剤として、プラセボと比較しFc改変型抗CD19抗体タファシタマブは、統計学的に有意で臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善をもたらし、全奏効割合や奏効期間も良好で、安全性プロファイルは許容可能であることが示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年12月5日号で報告された。

薬剤抵抗性の髄外病変を有する多発性骨髄腫、トアルクエタマブ+テクリスタマブが有望/NEJM

 薬剤抵抗性の真性髄外性骨髄腫の治療において、トアルクエタマブ(抗G蛋白質共役型受容体ファミリーC グループ5 メンバーD[GPRC5D]/CD3二重特異性抗体)+テクリスタマブ(抗B細胞成熟抗原[BCMA]/CD3二重特異性抗体)併用療法は、79%という高い奏効割合を達成し、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)も良好で、約4分の3の患者がGrade3/4の有害事象を経験したが、これは各薬剤単独の既知の安全性プロファイルと一致することが、米国・Mayo Clinic RochesterのShaji Kumar氏らRedirecTT-1 Investigators Study Groupが実施した「RedirecTT-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年12月7日号に掲載された。

PD-L1陰性転移トリプルネガティブ乳がん1次治療におけるサシツズマブ ゴビテカン(解説:下村昭彦氏)

PD-L1陰性転移トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の初回治療としては、長らくタキサンを中心とした化学療法が実施されてきた。2次治療以降ではTROP2 ADCやHER2低発現に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が用いられるようになり、TNBCの治療は大きく変化している。これらADCの1次治療における有効性が期待されてきた。ASCENT-03試験はPD-1/PD-L1阻害薬の対象とならない転移TNBCを対象として、サシツズマブ ゴビテカン(SG)と化学療法を比較した第III相試験である(Cortes J, et al. N Engl J Med. 2025;393:1912-1925.)。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値において9.7ヵ月vs.6.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間:0.50~0.77、p<0.0001)と統計学的有意にSG群で良好であった。一方、全生存期間(OS)中央値は21.5ヵ月vs.20.2ヵ月(HR:0.98)とSGの優越性は示されなかった。そもそもTNBCのOS中央値は15ヵ月程度であり(Deluche E, et al. Eur J Cancer. 2020;129:60-70.)対照群のOSそのものも、かつてよりかなり良くなっている。これは、2次治療以降でOSを延長することが示された複数の薬剤(SGやT-DXd)が使用可能になったためであると考えられる(Bardia A, et al. N Engl J Med. 2021;384:1529-1541.、Modi S, et al. N Engl J Med. 2022;387:9-20.)。

ROS1陽性NSCLCで4剤目、タレトレクチニブの特徴は?/日本化薬

 日本化薬は、タレトレクチニブ(商品名:イブトロジー)を2025年11月12日に発売した。タレトレクチニブは、ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するROS1チロシンキナーゼ阻害薬(ROS1-TKI)として、本邦では4剤目の薬剤となる。本剤の発売を機に2025年11月20日に開催されたメディアセミナーでは、林 秀敏氏(近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門 主任教授)がROS1融合遺伝子陽性NSCLC治療の現状や本剤の特徴を解説した。ROS1融合遺伝子陽性NSCLCの特徴 ROS1融合遺伝子は、ROS1遺伝子が染色体上でパートナー遺伝子(CD74、SLC34A2、EZRなど)と再構成することで生じる。ROS1融合遺伝子から産生されるROS1融合タンパクは、ROS1の下流のシグナル伝達経路(ERK1/2、AKTなど)を恒常的に活性化し、腫瘍の増殖が引き起こされる。

再発・難治性多発性骨髄腫、テクリスタマブ+ダラツムマブでPFS延長(MajesTEC-3)/NEJM

 1~3ラインの前治療歴を有する再発または難治性の多発性骨髄腫患者において、テクリスタマブ+ダラツムマブ併用療法は、ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン併用療法またはダラツムマブ+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法(DPdまたはDVd群)と比較し、無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させることが、米国・アラバマ大学バーミンガム校のLuciano J. Costa 氏らが20ヵ国150施設で実施した非盲検第III相試験「MajesTEC-3試験」の結果で示された。T細胞表面のCD3と骨髄腫細胞表面のB細胞成熟抗原を標的とする二重特異性モノクローナル抗体であるテクリスタマブは、第I/II相試験で再発または難治性の多発性骨髄腫に対する持続的な奏効を示し、抗CD38を標的とするヒト型モノクローナル抗体であるダラツムマブは多発性骨髄腫患者において生存期間の延長が示されていた。NEJM誌オンライン版2025年12月9日掲載の報告。

『がん患者におけるせん妄ガイドライン』改訂、抗精神病薬+ベンゾジアゼピン系薬など現場で多い処方を新規CQに 

 2025年9月、『がん患者におけるせん妄ガイドライン 2025年版』(日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会編、金原出版)が刊行された。2019年の初版から改訂を重ね、今回で第3版となる。日本サイコオンコロジー学会 ガイドライン策定委員会 せん妄小委員会委員長を務めた松田 能宣氏(国立病院機構近畿中央呼吸器センター心療内科/支持・緩和療法チーム)に改訂のポイントを聞いた。 ――「がん患者におけるせん妄」には、その他の臨床状況におけるせん妄とは異なる特徴がある。がん治療にはオピオイド、ステロイドなどの薬剤が多用されるが、それらが直接因子となったせん妄が多くみられる。さらに、近年では免疫チェックポイント阻害薬に代表されるがん免疫療法の普及に伴い、この副作用としてせん妄を発症する患者も増えている。また高カルシウム血症や脳転移など、がんに伴う身体的問題を背景としてせん妄を発症することもある。進行がん患者におけるせん妄は、その原因が複合的であることが多い。さらに、終末期におけるせん妄では身体的要因の改善が困難であり、治療目標をせん妄の回復からせん妄による苦痛の緩和に変更し、それに合わせてケアを組み立てていく必要もある。