腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

肝細胞がん、周術期の併用補助療法で無イベント生存改善/Lancet

 再発リスクが中等度または高度の切除可能な肝細胞がん患者において、手術+周術期camrelizumab(抗PD-1抗体)+rivoceranib(VEGFR2チロシンキナーゼ阻害薬)併用療法は手術単独と比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に改善し、安全性プロファイルは管理可能と考えられることが、中国・Liver Cancer Institute and Key Laboratory of Carcinogenesis and Cancer InvasionのZheng Wang氏らによる「CARES-009試験」の結果で示された。本研究の成果は、Lancet誌2025年11月1日号に掲載された。

HR+/HER2-乳がんの局所領域再発、術後化学療法でiDFS改善/ESMO Open

 ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)乳がんの局所領域再発(LRR)に対して、根治的手術後の術後化学療法が無浸潤疾患生存期間(iDFS)を改善することが、JCOGの多施設共同後ろ向きコホート研究で示唆された。とくに、非温存乳房内再発(IBTR)例、原発腫瘍に対する術後内分泌療法中の再発例や周術期化学療法未施行例において、iDFS改善と関連していた。がん研究会有明病院の尾崎 由記範氏らがESMO Open誌2025年11月7日号に報告。

乳房切除後の胸壁照射、10年OSを改善せず/NEJM

 乳房切除術+現在推奨される補助全身療法を受けた中間リスクの早期乳がん患者において、胸壁照射は胸壁照射を行わない場合と比較し全生存期間(OS)を改善しないことが、第III相多施設共同無作為化試験「Selective Use of Postoperative Radiotherapy after Mastectomy:SUPREMO試験」で示された。英国・エディンバラ大学のIan H. Kunkler氏らが報告した。腋窩リンパ節転移が1~3個のpN1、あるいは病理学的リンパ節陰性のpN0に分類され、かつその他のリスク因子を有する乳がん患者に対する乳房切除術後の胸壁照射がOSに及ぼす影響は、現在推奨される周術期薬物療法下では不明であった。NEJM誌2025年11月6日号掲載の報告。

未治療CLL、オビヌツズマブとベネトクラクスの併用が可能に/中外・日本新薬

 中外製薬および日本新薬は2025年11月20日、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体オビヌツズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ガザイバ)において、電子添文改訂により、未治療の「CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」に対してBCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)との併用療法が可能になったことを発表した。  今回の電子添文改訂は、未治療の「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を対象に、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用投与による有効性および安全性を評価した、国内第II相試験(M20-353、アッヴィ合同会社実施)、海外第III相試験(CLL14/BO25323、ロシュ社/アッヴィ社/ケルン大学実施)などの結果に基づいている。

NTRK陽性固形がんへのレポトレクチニブ承認/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2025年11月20日、レポトレクチニブ(商品名:オータイロ)について「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」に対する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本承認は、成人患者を対象とした国際共同第I/II相試験(TRIDENT-1試験)および小児・若年成人患者を対象とした海外第I/II相試験(CARE試験)の参加者のうち、NTRK融合遺伝子陽性固形がん患者から得られた結果に基づくものである。両試験のNTRK融合遺伝子陽性固形がん患者の結果は欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告されており、主な結果は以下のとおりであった。

ダラツムマブ、「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」に承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は 2025年11月20日、ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)が「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」に承認を取得したと発表した。この適応ではわが国で初めての承認で、多発性骨髄腫への進展前や臓器障害発現前における新たな治療選択肢となる。

女性のがん、39ヵ国の診断時期・治療を比較/Lancet

 英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のClaudia Allemani氏らVENUSCANCER Working Groupは、女性に多い3種類のがん(乳がん、子宮頸がん、卵巣がん)の治療提供状況について初めて世界規模で評価した「VENUSCANCERプロジェクト」の解析結果を報告した。低・中所得国では、早期がんと診断された女性がガイドラインに準拠した治療を受けやすくなってはいたが、早期診断される女性の割合は依然として非常に低いままであることを示した。著者は、「解析で得られた知見は、WHOの世界乳がんイニシアチブや子宮頸がん撲滅イニシアチブといった、がん対策への国際的な取り組みの実施とモニタリングを支援する重要なリアルワールドエビデンスである」としている。Lancet誌2025年11月15日号掲載の報告。

75歳以上のNSCLC、術前ICI+化学療法は安全に実施可能?(CReGYT-04 Neo-Venus副次解析)/日本肺癌学会

 StageII~IIIの切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ニボルマブ+化学療法による術前補助療法が2023年3月より使用可能となった。そこで、実臨床におけるニボルマブ+プラチナ併用化学療法による術前補助療法の安全性・有効性を検討する多施設共同後ろ向き観察研究「CReGYT-04 Neo-Venus」が実施された。本研究では、第III相試験「CheckMate-816試験」と一貫した安全性が示され、実行可能であることが報告された。  ただし、実臨床における肺がん手術例の約半数は75歳以上の高齢者である。また、高齢者を対象に、免疫チェックポイント阻害薬+化学療法による術前補助療法の安全性・有効性を検討した報告はない。そこでCReGYT-04 Neo-Venusの副次解析として、75歳以上の高齢者における安全性・有効性に関する解析が実施された。本解析結果を松原 太一氏(九州大学病院 呼吸器外科)が、第66回日本肺癌学会学術集会で発表した。

dMMR/MSI-H腫瘍へのニボルマブ+イピリムマブ、大腸がん以外で初の有効性を報告

 ミスマッチ修復欠損(dMMR)/マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)がんは、免疫原性が高く、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)への高い反応性が知られている。抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法は、CheckMate 8HW 試験により大腸がんにおいて有効性が示されている。一方で、大腸がん以外のがんにおけるdMMR/MSI-H腫瘍を対象としたICI併用の前向き試験はこれまでなかった。  MOST-CIRCUIT試験は、進行dMMR/MSI-H 非大腸がん に対する抗PD-1/CTLA-4併用の有効性を初めて検証した前向き多施設共同第II相バスケット試験である。Blacktown and Westmead Hospitals(オーストラリア)のMatteo S Carlinoによる報告が、JAMA Oncology誌オンライン版2025年11月13日号に掲載された。

移植後再発抑止のための新規治療開発/日本血液学会

 2025年10月10~12日に第87回日本血液学会学術集会が兵庫県にて開催された。10月11日、内田 直之氏(虎の門病院 血液内科)、Konstanze Dohner氏(ドイツ・University Hospital of Ulm)を座長に、JSH-EHA Jointシンポジウム「移植後再発抑止のための新規治療開発」が行われた。登壇者は、Luca Vago氏(イタリア・San Raffaele Scientific Institute)、河本 宏氏(京都大学医生物学研究所 再生免疫学分野)、中前 博久氏(大阪公立大学大学院医学系研究科 血液腫瘍制御学)、名島 悠峰氏(がん・感染症センター都立駒込病院 血液内科)。