腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

SCLCの頭蓋内管理、MRIサーベイランス単独かPCI併用か(SWOG S1827/MAVERICK)/WCLC2026

 初回治療後に脳転移を認めない小細胞肺がん(SCLC)患者において、MRIによる脳サーベイランス単独と、MRIサーベイランスおよび予防的全脳照射(PCI)の併用を比較した第III相試験の結果、認知機能低下または死亡までの期間(CFFS)はMRI単独群で有意に良好であった。  米国・コロラド大学のChad G. Rusthoven氏が、世界肺がん学会(WCLC2026)で発表した第III相無作為化比較試験SWOG S1827/MAVERICKの結果である。  SCLCは脳転移の頻度が高く、予防的治療を行わない場合、約40~60%が脳転移を発症するとされる。PCIは頭蓋内病勢進行を約50%低下させる一方で、認知機能やQOLへの障害を引き起こす。

イサツキシマブ皮下注が多発性骨髄腫の治療とSDMにもたらすもの/サノフィ

 抗CD38抗体薬を含む4剤併用療法の導入により、多発性骨髄腫(MM)の1次治療は進化を遂げている。そのような中、従来の静注製剤に加え、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)に皮下注製剤が登場した。サノフィが開催したメディアセミナーでは、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏、湘南鎌倉総合病院の佐藤 淑氏が登壇。イサツキシマブによる治療の進展と、皮下注製剤の登場がShared Decision Making(SDM)にもたらす影響を紹介した。  近年、MMの治療成績は向上し、標準リスク患者の約6割が10年生存する時代となっている。

ピロリ除菌の保険適用拡大後、日本の胃がん死亡・罹患はどう推移したか

日本では、2013年2月にHelicobacter pylori(H. pylori)陽性の内視鏡診断慢性胃炎に対する除菌療法が保険適用となり、胃がん予防に関わる診療環境が大きく変化した。一方、この保険適用拡大後の胃がん死亡・罹患数の全国的な推移については、人口高齢化や内視鏡検査の普及などを踏まえた解釈が求められる。そこで、札幌・カレス記念病院の浅香 正博氏らは、2013年の保険適用拡大前後における日本の胃がん死亡および罹患の推移を検討した。その結果、2013年以降、日本の胃がん死亡数は減少し、とくに80歳未満で死亡数の減少が顕著であった。罹患数もその後のピークを経て減少した。本研究結果は、Helicobacter誌2026年9・10月号に掲載された。

男性乳がんに術前化学療法は有効か~SEERデータでの検討

 術前化学療法(NAC)は女性の乳がんで広く行われているが、男性の乳がんにおけるNACの有効性は十分に明らかになっていない。今回、中国・Zhejiang University School of MedicineのLiwei Pang氏らは、SEERデータベースを用いて、男性乳がんに対するNAC後の病理学的完全奏効(pCR)率および全生存期間(OS)をサブタイプ別に検討した。その結果、男性乳がん患者では女性乳がん患者と比較してpCR率が有意に低く、とくにホルモン受容体(HR)+/HER2-およびHR+/HER2+ではNACへの抵抗性がより高かった。また、男性乳がんにおいてpCRはOSの予後因子ではないことが示唆された。Breast Journal誌2026年9月12日号に掲載。

再発卵巣がんに対するmirvetuximab soravtansine(MIRV)の実臨床における有用性

 再発卵巣がんを対象に、抗体薬物複合体(ADC)であるMIRVの実臨床での有効性と安全性を評価した後方視的コホート研究を行った。その結果、MIRVは臨床的に意義のある生存期間の延長を示した一方で、その治療成績は患者の全身状態(PS)に影響を受けることが明らかになった。  本研究は米国・ワシントン大学のAnna V. Jones氏らによるもので、Gynecologic Oncology Reports誌オンライン版2026年9月1日号に掲載された。

HER2変異NSCLCの1次治療、T-DXdでPFS改善(DESTINY-Lung04)/WCLC2026

 HER2遺伝子変異陽性の切除不能局所進行または転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では、免疫療法+プラチナ製剤併用化学療法が標準治療とされるが、十分な治療効果が得られない患者も少なくない。そこで、Julia Rotow氏(米国・ダナ・ファーバーがん研究所)らは、HER2遺伝子変異陽性NSCLCの1次治療として、HER2を標的とする抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単剤療法と、ペムブロリズマブ+プラチナ製剤+ペメトレキセド併用療法を比較する国際共同第III相試験「DESTINY-Lung04試験」を実施した。その結果、T-DXd単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。本結果は、2026年9月12~15日に開催された世界肺がん学会(WCLC2026)で発表された。

日本の胃がん検診、内視鏡vs.胃部X線の感度・特異度は

本邦では、50歳以上を対象とする住民ベースの胃がん検診における検査法として、胃内視鏡検査と胃部X線検査が推奨されている。しかし、両検査法の限局性胃がん検出能に関する、近年のリアルワールドでのエビデンスは限られている。神奈川県立がんセンターのChoy-Lye Chei氏らは、リアルワールドにおける集団検診の環境下で、胃がんおよび各臨床病期について胃内視鏡検査および胃部X線検査の検出性能を推定した。Gastric Cancer誌オンライン版2026年9月9日号掲載の報告より。

化学療法を使わない新たな治療法が一部の転移のある乳がん患者に有望

 ホルモン受容体(HR)陽性HER2陽性の転移のある乳がんに対する新たな治療法によって、一部の患者では、少なくとも初回治療として化学療法を回避できる可能性が、第1・2相臨床試験で示された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学乳腺腫瘍内科臨床部長のAmy Tiersten氏らによるこの試験の詳細は、7月30日付で「Journal of the National Cancer Institute」に掲載された。  Tiersten氏は、「これらの知見は、より大規模なランダム化臨床試験で確認する必要があるが、一部の患者では将来的に、この治療法が初回治療として化学療法に代わる有効な選択肢となる可能性がある」と述べている。

乳がん術後放射線療法、左側と右側で虚血性心疾患リスクに差

 乳がん術後放射線療法の部位(左側vs.右側)と虚血性心疾患リスクとの関連を調査した後ろ向きコホート研究の結果、ベースライン時の心血管リスクが高い患者では、左側乳房への放射線療法(左側RT)は、右側乳房への放射線療法(右側RT)と比較して虚血性心疾患リスクの上昇と関連したことを、韓国・Ajou University School of MedicineのChung Seung Yeun氏らが示した。JAMA Network Open誌2026年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、韓国国民健康保険公団のデータベースを用いて、全国規模の後ろ向きコホート研究を実施した。

B7-H3標的ADC risvutatug rezetecanが再発小細胞肺がんのOS延長(ARTEMIS-008)/WCLC2026

 プラチナ製剤を含む1次治療歴を有する再発小細胞肺がん(SCLC)に対し、B7-H3標的抗体薬物複合体(ADC)のrisvutatug rezetecan(Ris-Rez)が、標準治療の1つであるトポテカンと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示した。  第III相ARTEMIS-008試験の事前規定中間解析の結果が、Jie Wang氏(中国・National Cancer Center/National Clinical Research Center for Cancer/Cancer Hospital, Chinese Academy of Medical Sciences Peking Union Medical College)により、世界肺がん学会(WCLC2026)で発表された。