腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

高リスク前立腺がんへの周術期アパルタミド+ADT、主要評価項目達成(PROTEUS)/ASCO2026

 高リスクの限局性または局所進行前立腺がん患者では、根治的前立腺全摘除術(RP)後に約50%の患者で再発が認められる。RPの術前および術後に実施するアパルタミド+ADT併用療法は、プラセボ+ADTとの比較において、RPの治癒成功率を高め、無転移生存期間(MFS)を有意に改善した。日本も参加して行われた第III相PROTEUS試験の最終解析結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMary-Ellen Taplin氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、本解析結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載されている1)。

RET融合遺伝子陽性NSCLC、セルペルカチニブによるアジュバント療法でEFS改善(LIBRETTO-432)/ASCO2026

 RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、選択的RET阻害薬セルペルカチニブは進行・転移例で有効性が示されている。一方で、早期・局所進行NSCLCに対するアジュバント療法としての有効性と安全性は明らかになっていない。そこで、StageIB~IIIAのRET融合遺伝子陽性NSCLC患者を対象に、アジュバント療法としてのセルペルカチニブの有用性を検証する国際共同第III相試験「LIBRETTO-432試験」が実施された。その結果、セルペルカチニブはプラセボと比較して無イベント生存期間(EFS)を有意に改善することが示された。Jonathan W. Goldman氏(米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。なお、本研究結果はNEJM誌オンライン版2026年5月31日号に同時掲載された1)。

高リスクER+/HER2-早期乳がん、Prosignaで化学療法省略を判断できるか/ASCO2026

 エストロゲン受容体陽性/HER2陰性(ER+/HER2-)でリンパ節転移陽性例を中心とした早期乳がんに対し、Prosigna(PAM50)による再発リスク(Risk of Recurrence:ROR)スコアを用いることで化学療法の必要性を判断できるかどうかを検討した第III相OPTIMA試験の結果を、英国・NIHR University College London Hospitals Biomedical Research CentreのRobert C. Stein氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2026 ASCO Annual Meeting)で発表した。本試験により、RORスコアが低い患者では化学療法を安全に省略できる可能性が示された。

日本のがん死亡率低下も、大腸がん・膵がん・子宮頸がんは依然高水準

 日本では全がんの年齢調整死亡率(ASR)が着実に低下している一方で、大腸がん、膵がん、子宮頸がんなど一部のがん種では依然として国際的に高い死亡率が続いていることが明らかになった。胃がんと肝がんでは大幅な改善が認められたものの、予防や検診による死亡率低下が期待されるがん種において十分な成果が得られていない実態が浮き彫りとなった。国立がん研究センターの片野田 耕太氏らによる本研究の結果はJapanese Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年3月5日号に掲載された。

高齢者における大腸ポリープ切除後サーベイランスの検査間隔は?(解説:上村直実氏)

大腸内視鏡検査(CS)は全大腸を観察して、大腸がん(CRC)の早期発見とポリープの発見・切除によるCRC予防を主たる目的としているが、検査や鎮静に伴うリスクが増加する高齢者に対する有用性に関しては不明な部分もあり、臨床現場で検査の実施に迷うこともある。今回、米国の65~74歳でCSを受けたことのある75歳以上の高齢退役軍人を対象として10年間の後ろ向きコホート研究を行ったところ『過去のCSで腺腫が認められた75歳以上の成人は、腺腫のなかった成人と比較して、その後のCRC発症率、CRCによる死亡率が有意に高いものの両群の差はわずか0.1%(累積死亡率0.4%vs.0.5%)であり、CRC以外の原因による死亡リスク50%弱のほうがはるかに高率であったことから、患者個々の健康状態を重視した対応が必要』との結果が2026年4月のJAMAに報告された。

HR+/HER2+早期乳がん、de-escalation術前療法でも良好な長期予後(WSG TP-II)/JCO

 HR+/HER2+の早期乳がんにおいて、術前療法としてトラスツズマブ+ペルツズマブにパクリタキセルまたは内分泌療法(ET)を併用した第II相WSG TP-II試験の結果、ET併用群でも良好な長期生存アウトカムが得られたことが、ドイツ・Evangelisches Krankenhaus Bethesda KlinikのOleg Gluz氏らにより示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年5月18日号掲載の報告。  本試験は、手術可能なHR+/HER2+乳がん患者を対象に、トラスツズマブ+ペルツズマブの術前療法(12週間)に加え、パクリタキセル(週1回)またはETの併用が、病理学的完全奏効(pCR)や全生存期間(OS)などに及ぼす影響を評価した第II相多施設共同無作為化非盲検試験。

ピロリ菌検査・除菌、普及の成果と残された課題/日本消化器病学会

 2013年にHelicobacter pylori(H. pylori)感染胃炎への除菌治療が保険適用となってから10年以上が経過し、感染検査と除菌治療は一般化した。H. pylori感染者は急速に減少傾向にあるが、新たな課題も生じているという。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、「ヘリコバクター・ピロリ診療の課題と将来展望」と題したパネルディスカッションが行われ、2024年刊行の「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン(改訂版ガイドライン)」作成委員会委員長の下山 克氏(青森県総合健診センター所長)が基調講演を行った。

1回の大腸内視鏡検査により大腸がんの死亡率は減少するか?(解説:上村直実氏)

世界で毎年200万件の新規症例が発生する大腸がんは3番目に多いがんであり、世界中で早期発見のための検診が盛んに行われている。日本における2024年の大腸がん死亡者数は、男性約2万8,800例、女性約2万5,600例、合計約5万4,400例で、全がん死亡者数の約14%を占めているが、重要なのは検診および大腸内視鏡検査(CS)による早期発見で予防可能な疾患という点である。検診方法は、主に直接CSを行う米国に対して、日本・欧州・オーストラリアなどでは最初に免疫学的便潜血検査(FIT)を用いる検診が主流である。いずれの方法においても、大腸がん死亡率の減少には検診の受診率が最も重要であることが明らかとなっている。ちなみに、最近大腸がん死亡者数の低下を認めている米国の受診率は70%で、日本の40%を大きく上回っている。

胃がん診療、周術期を中心とした個別化治療の時代へ/AZ

 アストラゼネカは5月13日、「胃がん疾患啓発セミナー」を開催した。セミナーでは国立がん研究センター東病院 胃外科科長の木下 敬弘氏が「胃がん治療の現在地と今後の課題」と題した講演を行った。 ――日本における胃がんの疫学では、がん種別にみた罹患数では全体3位、死亡数では4位を占め、依然として主要ながん種である。世界的にも東アジアで発生頻度が高く、日本、中国、韓国が罹患の多い地域に含まれる。近年の治療の発達に伴い、胃がんの5年相対生存率は約65~67%まで伸びており、「不治の病」ではなくなりつつある。しかし、StageIVの5年相対生存率は6.6%にとどまり、早期発見・早期治療の重要性が裏付けられている。