呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:125

医療機関でのブレークスルー感染事例の共通点は/感染研

 国立感染症研究所は、12月16日に同研究所のホームページで「ブレイクスルー感染者を含む医療機関、福祉施設などでのクラスター調査から得られた知見(簡略版)」を公開した。オミクロン株の拡大が懸念されている現在、クラスター抑止の観点からも参考にしていただきたい。  今回公開された知見は、2021年8月以降、医療施設や福祉施設などにおいて、ワクチン接種後一定の期間を経過した者のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患する、いわゆるブレークスルー感染者を多数含むクラスターが報告されるようになったことに鑑み、「ブレークスルー感染者を多数含む複数の国内各地で発生したクラスターの各調査結果(計11事例)から得られた、共通すると思われる代表的な所見、および共通する対策に関する提案について、迅速性に重きを置いた形で簡略に紹介する」としている。

重症COVID-19患者への高流量酸素療法、気管挿管を低減/JAMA

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、鼻カニューレを用いた高流量酸素療法は従来型の低流量酸素療法と比較して、侵襲的機械換気の必要性を低減し、臨床的回復までの期間を短縮することが、コロンビア・Fundacion Valle del LiliのGustavo A. Ospina-Tascon氏らが実施した「HiFLo-Covid試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年12月7日号に掲載された。  本研究は、コロンビアの3つの病院の緊急治療室と集中治療室が参加した非盲検無作為化試験であり、2020年8月13日~2021年1月12日の期間に参加者の無作為化が行われ、2021年2月10日に最終的な追跡調査を終了した(Centro de Investigaciones Clinicas, Fundacion Valle del Liliの助成を受けた)。

モデルナ製ワクチン、追加接種でオミクロン株への中和抗体が37倍に増強

 米国・モデルナ社は12月20日付のプレスリリースで、新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果について、予備的試験データを公表した。それによると、同社ワクチンの初回接種(1、2回目)ではオミクロン株への中和抗体価が従来の変異株より低下していたが、3回目接種を受けた後では中和抗体価が約37倍まで増強されたという。  今回発表されたのは、疑似ウイルスを用いた中和抗体価測定試験のデータ。モデルナ製ワクチンを2回接種した20例について、3回目接種を受けた後ではオミクロン株に対する中和抗体価が大幅に上昇し、被験者のGMT(幾何平均値)は、50μg(日本の追加接種に承認された用量の0.25mLに相当)接種により、ブースター接種前の約37倍となった。

デュピルマブ、中等症~重症喘息児の急性増悪を抑制/NEJM

 コントロール不良の中等症~重症喘息児の治療において、標準治療にデュピルマブ(インターロイキン-4受容体のαサブユニットを遮断する完全ヒトモノクローナル抗体)を追加すると、標準治療単独と比較して、急性増悪の発生が減少し、肺機能や喘息コントロールが改善することが、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのLeonard B. Bacharier氏らが行った「Liberty Asthma VOYAGE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2021年12月9日号で報告された。  研究グループは、コントロール不良の中等症~重症喘息の小児の治療におけるデュピルマブの有効性と安全性の評価を目的に、国際的な二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験を実施した(SanofiとRegeneron Pharmaceuticalsの助成による)。

有害事象を追記、COVID-19ワクチンに関する提言(第4版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、12月16日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言」の第4版を公開した。  今回の提言では、昨今のオミクロン株拡大の懸念を踏まえ「COVID-19ワクチンついて、その有効性と安全性に関する科学的な情報を解説し、接種を判断する際の参考にしていただくために作成いたしました。第3版のあとに明らかになったことや今後の課題について追記し、第4版として公開いたします。COVID-19の終息に向かって、COVID-19ワクチンが正しく理解され、安全性についても慎重に検証しながら、接種がさらに進んでゆくことを願っています」と今後のさらなるCOVID-19の予防に期待を寄せている。

未診断のCOPDを放置しないで!早期診断・治療に質問票の活用も

 先日、アストラゼネカが「世界COPDデー(11月17日)」にセミナーを開催した。室 繁郎氏(奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座 教授)が、要介護の前段階“フレイル”の予防という視点から、COPDの早期診断・治療の重要性についての講演を行った。つづいて、山村 吉由氏(奈良県広陵町町長)が自治体として2014年度から取り組んでいるCOPD対策事業について講演した。また、セミナーの後半では、3年前にTV番組でCOPDの診断を受けた経験のある松嶋 尚美氏をゲストとして、トークセッションが設けられた。

ファイザーブースター接種、年齢層別の効果は/NEJM

 イスラエルで新型コロナワクチンBNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の3回目接種(ブースター接種)を受けた16歳以上について調べた結果、全年齢でCOVID-19感染および重症の発生率についてブースター接種者のほうが非接種者よりも大幅に低かったことが、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らにより報告された。イスラエルでは先行して実施された60歳以上へのBNT162b2ブースター接種の結果が有望であったことを受け、2回目接種から5ヵ月以上経つ若い年齢層にもブースターを接種するキャンペーンが拡大されていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ+レンバチニブによるNSCLC1次治療の成績(LEAP-007)/ESMO-IO 2021

 転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブとレンバチニブの併用は、Study111 / KEYNOTE-146試験で、抗腫瘍活性を示している。欧州免疫腫瘍学会(ESMO-IO 2021)では、未治療のNSCLC患者に対するペムブロリズマブ+レンバチニブの有用性を評価する第III相LEAP-007試験の結果が報告された。 ・対象:未治療のNSCLC(PD-L1≥1%、ECOG PS 0/1) ・試験群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+レンバチニブ20mg/日 連日(ペムブロリズマブ+レンバチニブ群) ・対照群:ペムブロリズマブ200mg/日 3週ごと+プラセボ(ペムブロリズマブ群)  毒性発現または最大35サイクルまで投与 ・評価項目:[主要エンドポイント]BICRによる無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)

ファイザー製ワクチン、ブースター接種で死亡リスク9割減/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)mRNAワクチンのBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)の、2回接種から少なくとも5ヵ月後にブースター接種を受けた人は、ブースター接種を受けていない人と比較して、COVID-19による死亡リスクが90%低下した。イスラエル・Clalit Health ServicesのRonen Arbel氏らが、同国半数超の国民が加入する健康保険データを基に解析を行い報告した。SARS-CoV-2のデルタ(B.1.617.2)変異株の出現と、BNT162b2ワクチンの経時的な有効性の低下により、早期にワクチンを接種した集団においてCOVID-19の再流行が発生したことから、イスラエルの保健省は2021年7月30日にBNT162b2ワクチンの3回目接種(ブースター接種)を承認したが、ブースター接種でCOVID-19による死亡率が低下するかどうかのエビデンスが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2021年12月8日号掲載の報告。

COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチン同時接種における安全性と免疫原性(解説:小金丸博氏)

 COVID-19ワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種における安全性や免疫原性を検討した研究がLancet誌オンライン版(2021年11月11日号)に報告された。英国で行われた多施設共同ランダム化比較第IV相試験であり、2種類のCOVID-19ワクチン(アストラゼネカ社製とファイザー社製)と3種類の季節性インフルエンザワクチンによる6通りの組み合わせで検討された。その結果、同時接種によって接種後7日間以内の全身反応(発熱、悪寒、関節痛、筋肉痛、疲労、頭痛、倦怠感、嘔気など)の有意な増加はなく、両ワクチンに対する抗体反応も維持されることが示された。2通りのワクチンの組み合わせで95%信頼区間の上限があらかじめ規定された非劣性マージンをわずかに超える全身反応を認めたものの、許容できる範囲と考察されている。