「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第13回

印刷ボタン

公開日:2021/03/08

医業承継

診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。

登場人物紹介

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ひつじ先生

ひつじ先生

43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

ヤギ先生

ヤギ先生

72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。

第13回 「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ

漫画・イラスト:かたぎりもとこ

医院開業に当たって、家族・親族のサポートを受けることは非常に重要です。とくに開業直後は、家族が診療以外の間接業務を支援してくれることで、スムーズな立ち上がりにつながることも多いようです。家族のサポートを受けるためにも、家族の意見をうまく開業に組み込むことが必要でしょう。

その際には、一点、注意が必要です。

今回にも当てはまることですが、家族が理想とする住環境や子供の教育環境を重視するあまり、診療所の経営といったビジネス観点ではない意見や主張をして、当事者もそれに基づいた物件選定を行ってしまう、というケースです。

実際に、私たちが担当した案件でも、下記のようなケースがありました。

  • 家族が「どうしても東京の世田谷区に住みたい」と主張。診療圏で見ると診療所の数が飽和しているにもかかわらず、無理に物件を見つけて開業してしまい、集患に苦労する
  • 内装を設計する際に、患者視点でのデザイン(安心・落ち着く)ではなく、家族が主張するデザイン(スタイリッシュ・非日常)を選択し、スタッフや患者から不評
  • 医師の親がアドバイスし、開業当初から高額な什器や備品をそろえた結果、その後の資金繰りに苦しむ

もちろん、ビジネス観点からの合理的な判断であれば、家族のサポートやアドバイスを受け入れることに問題はありません。

ビジネス観点とは、具体的には下記のような項目となるでしょう。

  • 収支が見合うか
  • 競合医院との差別化につながるか
  • 患者にとってメリットがあるか
  • スタッフの採用しやすさや、離職防止策につながるか

上記のようなケースに気を付けながら、家族・親族をうまく巻き込み、開業することをお勧めします。

医業承継とは?

医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。

買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。

売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。

医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。

医業承継の基本の流れと要する期間

ケアネット医業承継チーム

ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。

ケアネットの医業承継事業の特長

ケアネットの会員医師23万人(2024年5月現在)の中から最適な候補者を紹介します。

これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。

医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。

事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。

サイトはこちら

バックナンバー
売り手