診療所を売買する「医業承継」。売る側は後継者と譲渡金が手に入り、買う側は集患の手間なく初期費用も減って…、といいことづくしのようですが、実はあちこちに落とし穴が!最低限の知識をマンガで解説。
43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。
ひつじ先生
43歳。専門は消化器内科で大阪の100床規模の病院で勤務中。父親も医師で地方で開業している。そろそろ自分も独立して開業しようかなーと思いつつ、思い切れず、妻に尻を叩かれている。私立中学に通う1人息子がいる。
72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。
ヤギ先生
72歳。専門は整形外科で地方都市でクリニックを開業して30年を迎えた。患者やスタッフから慕われ、経営は順調だが、そろそろ体力が厳しく、引退を考えるように。子供たちは医師だが承継の意志はなく、設備と患者を誰かに引き継いでもらえないかと考え中。
第13回 「手伝うよ」、開業時の家族サポートにありがちなワナ
漫画・イラスト:かたぎりもとこ
医院開業に当たって、家族・親族のサポートを受けることは非常に重要です。とくに開業直後は、家族が診療以外の間接業務を支援してくれることで、スムーズな立ち上がりにつながることも多いようです。家族のサポートを受けるためにも、家族の意見をうまく開業に組み込むことが必要でしょう。
その際には、一点、注意が必要です。
今回にも当てはまることですが、家族が理想とする住環境や子供の教育環境を重視するあまり、診療所の経営といったビジネス観点ではない意見や主張をして、当事者もそれに基づいた物件選定を行ってしまう、というケースです。
実際に、私たちが担当した案件でも、下記のようなケースがありました。
- 家族が「どうしても東京の世田谷区に住みたい」と主張。診療圏で見ると診療所の数が飽和しているにもかかわらず、無理に物件を見つけて開業してしまい、集患に苦労する
- 内装を設計する際に、患者視点でのデザイン(安心・落ち着く)ではなく、家族が主張するデザイン(スタイリッシュ・非日常)を選択し、スタッフや患者から不評
- 医師の親がアドバイスし、開業当初から高額な什器や備品をそろえた結果、その後の資金繰りに苦しむ
もちろん、ビジネス観点からの合理的な判断であれば、家族のサポートやアドバイスを受け入れることに問題はありません。
ビジネス観点とは、具体的には下記のような項目となるでしょう。
- 収支が見合うか
- 競合医院との差別化につながるか
- 患者にとってメリットがあるか
- スタッフの採用しやすさや、離職防止策につながるか
上記のようなケースに気を付けながら、家族・親族をうまく巻き込み、開業することをお勧めします。
医業承継とは?
医業承継とは、診療所を開業するとき、既存の診療所の事業を引き継いで開業することです。
買い手からすると、施設や医療機器がそろっているため、開業に当たっての初期費用を数千万円単位で節約することができ、既存の患者さんの来院も見込めるため、経営が安定します。
売り手からすると、自院の施設や設備を無駄にすることなく、譲渡金を得ることができ、かつ患者さんを引き継げる安心感があります。
医業承継の大まかな流れは以下のとおりです。
医業承継の基本の流れと要する期間
ケアネット医業承継チーム
ケアネットでは2020年に医業承継チームが発足しました。業界経験の長い2人の女性メンバーと男性メンバー1人で構成。3人で合計100件超の成約実績があります。
ケアネットの医業承継事業の特長
ケアネットの会員医師23万人(2024年5月現在)の中から最適な候補者を紹介します。
これから開業したい医師や、すでに開業している理事長、いずれとの接点も豊富にあるため、希望の条件に沿った相手探しが可能です。
医業承継という業界の歴史は浅く、未経験のアドバイザーも多い業界ですが、ケアネットには業界経験5年以上のスタッフが複数在籍しています(全メンバーで計100件超の成約実績あり)。
事業者の中には、着手金や相談料が発生する場合もありますが、ケアネットの医業承継事業は成功報酬型で医業承継を支援します。
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