救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:45

mRNAワクチン、2回目接種から1週間で新規感染率0.05%/NEJM

 新型コロナワクチンの接種が進む米国において、先行して接種を受けた医療関係者によるワクチンの有効性についてのデータが発表された。NEJM誌オンライン版2021年3月23日号CORRESPONDENCEの報告。  カリフォルニア大学(サンディエゴ校とロサンゼルス校)では、2020年12月16日からPfizerもしくはModernaのmRNAワクチン接種が開始された。両校は12月から有症状者に加え、無症状者に対しても週次の鼻咽頭スワブによるPCR検査を義務付けもしくは選択できるようにしており、これによってワクチン接種後の無症状感染者の検出が増加した。データは両校の従業員健康記録システムから匿名化されて取得された。

ICU入室COVID-19へのエノキサパリン、中等量vs.標準量/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対し、予防的抗凝固療法としてエノキサパリンの中等量(1mg/kg/日、クレアチニン・クリアランス値により調整)の投与は同標準量(40mg/日)の投与と比べ、30日以内静脈または動脈血栓症・体外式膜型人工肺(ECMO)の使用・死亡の複合アウトカムについて、有意差は認められなかった。イラン・Iran University of Medical SciencesのParham Sadeghipour氏ら「INSPIRATION無作為化試験」研究グループが約600例の患者を対象に行った試験結果を報告した。COVID-19重症患者において、血栓性イベントの報告頻度は高い。抗血栓予防療法の強度を高めることに関するデータは限定的であり、今回の検討が行われた。研究グループは、「結果は、ICU入室COVID-19患者に対して非選択的に中等量の予防的抗凝固療法をルーチン投与することを支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2021年3月18日号掲載の報告。

新型コロナ、高齢者は再感染しやすい可能性/Lancet

 デンマークでは2020年2月~12月の期間に、毎週平均で国民の約10%がPCR検査を受けており、全体の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の再感染防御率は80%を超えたものの、65歳以上では50%未満と低く、これら高齢の既感染者へのワクチン接種が重要であることが、同国Statens Serum InstitutのChristian Holm Hansen氏らの調査で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2021年3月17日号に掲載された。SARS-CoV-2への感染が、その後の再感染をどの程度まで防御するかはよくわかっていない。2020年、デンマークでは、大規模な無料PCR検査戦略の一環として、約400万人(人口の69%)が1,060万件の検査を受けたという。

国内の新型コロナ変異株、9割超が英国株/厚労省

 厚生労働省は、3月23日時点で確認された国内の新型コロナウイルスの変異株の累計感染者数は549例で、空港検疫で報告された100例を合わせて649例に上ると発表した。前週から164例の増加となる。緊急事態宣言が全都道府県で解除され、日々の新型コロナ感染者数および重症者数は早くも増加傾向を示している。来月から新年度がスタートし、さらに人の動きが活発化することは必至で、感染動向を注視する必要がある。  厚労省によると、国内で確認された変異株549例は、26都道府県から報告されたもの。このうち最も確認数が多かったのは兵庫県161例(前週比で+67)で、大阪府105例(+33)、埼玉県58例(+1)、新潟県32例(±0)、神奈川県30例(+2)などが続く。

『敗血症診療ガイドライン2020年』の完成版が発刊

 昨年、ダイジェスト版が先行発表されていた日本集中治療医学会・日本救急医学会の合同作成による「日本版敗血症診療ガイドライン2020」の正式版が、3月に発刊された。本ガイドラインは、小児から成人まで敗血症・敗血症性ショック患者およびその疑いのある患者の診療において、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことを目的に作成されている。また、敗血症診療に従事または関与する専門医、一般臨床医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士などのすべての医療従事者への利用を促している。

新型コロナ、4ヵ月後も7割に胸部CT異常/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による長期的な後遺症の詳細は知られていない。フランス・パリ・サクレー大学のLuc Morin氏らCOMEBAC試験の研究グループは、COVID-19で入院した患者の、退院4ヵ月後の健康状態を調査した。その結果、約半数が少なくとも1つの、COVID-19罹患前にはなかった新たな症状(疲労、認知症状、呼吸困難など)を訴え、勧奨を受けて外来を受診した患者の約6割に胸部CTで肺の異常所見(多くはわずかなすりガラス状陰影)が、約2割に線維化病変が認められるなどの実態が明らかとなった。JAMA誌オンライン版2021年3月17日号掲載の報告。

BNT162b2(コミナティ筋注)のReal-World Settingにおける有効性と免疫回避変異ウイルスの発生など今後の課題(解説:山口佳寿博氏)-1367

2021年3月20日現在、Pfizer社のBNT162b2ワクチンは米国FDA、欧州連合(EU)医薬品庁(EU-EMA)の製造承認に加えWHOによる使用正当性の承認(validation)を得ており、スイス、ニュージーランド、バーレーン、サウジアラビア、ブラジルの5ヵ国で完全使用が、英国、米国など37ヵ国(EUを含む)で緊急使用が承認されている(The New York Times 3/20, 2021)。本邦においても、2021年2月14日、厚生労働省は本ワクチンを特例承認し、2月中旬より医療従事者に対する接種が開始されている。BNT162b2の接種は人口923万人の小国イスラエルにおいて最も速く積極的に推し進められ、2020年12月20日から2021年2月6日までの間に60歳以上の高齢者の90%が1回目のワクチン接種を、80%が2回目のワクチン接種を終了した(Rossman H, et al. medRxiv. 2021;2021.02.08.21251325.)。

異種アデノウイルス混在ワクチン(Gam-COVID-Vac, Sputnik V)の特性を読み解く (解説:山口佳寿博氏)-1366

ロシアGamaleya研究所によって開発された遺伝子ワクチンはアデノウイルス(Ad)をベクター(輸送媒体)とし、そのDNAに新型コロナウイルスのS蛋白全長をコードする遺伝子情報を組み込んだ非自己増殖性ワクチン(Ad-vectored vaccine)の一種である。本ワクチンは“Gam-COVID-Vac”と命名されたが別名“Sputnik V”とも呼称される。“Sputnik”は1957年に旧ソ連が世界に先駆け打ち上げに成功した人工衛星の名前であり、ロシアのプーチン大統領は“Sputnik”という名称を用いることによって本ワクチンが新型コロナに対する世界初のワクチンであることを強調した。本ワクチンは2020年8月11日にロシアで承認、2021年3月18日現在、ロシアを含め世界53ヵ国で早期/緊急使用が承認されており、第III相試験を終了したワクチンの中で最も多くの国に導入されている(The New York Times 3/18, 2021)。しかしながら、現時点においてWHOはSputnik V使用に関する正当性(validation)を保証していない。さらに、欧州連合(EU)も製造を承認していない(現在、欧州医薬品庁(EMA)に製造認可を申請中とのこと)。ロシアはSputnik Vの医学的正当性(副反応を含む)の詳細を正式論文として発表する前からワクチン不足が深刻な貧困国、低開発国に対してワクチン外交を積極的に推進してきた。ワクチンの正当性が医学的に担保されていない段階でワクチン配布を政治的な具として利用するロシアの姿勢は医学的側面からは許容できるものではない。ロシアと同様の政治姿勢は中国においても認められるが、少なくとも中国の場合、中国製ワクチンに関する学問的内容を早期に正式論文として発表するという良識を有していた。

COVID-19、英国変異株は死亡リスクが高い/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の英国変異株variant of concern 202012/1(VOC-202012/1)は、感染により死亡リスクが増加する可能性が高いことを、英国・エクセター大学のRobert Challen氏らがマッチングコホート研究の結果、明らかにした。VOC-202012/1は、2020年秋にイングランド南東部で初めて検出されたが、これまで流行している変異株より感染力があり、この変異株の出現は病床稼働率の上昇と死亡率の増加に関連することが知られていた。著者は、「今回の結果が他の集団に対して一般化できるなら、これまで流行している変異型と比較して、VOC-202012/1の感染は著明な死亡率増加の原因となる可能性がある」と指摘している。BMJ誌2021年3月9日号掲載の報告。

イベルメクチン、軽症COVID-19の改善効果見られず/JAMA

 軽症COVID-19成人患者において、経口駆虫薬イベルメクチンの投与(5日間コース)はプラセボと比較し、症状改善までの期間を有意に改善しないことが示された。コロンビア・Centro de Estudios en Infectologia PediatricaのEduardo Lopez-Medina氏らが、約400例を対象に行った試験で明らかにした。イベルメクチンは、その臨床的有益性が不確実にもかかわらず、COVID-19の潜在的な治療薬として広く処方されている。著者は、「今回の試験では、軽症COVID-19へのイベルメクチンの使用を支持する所見は認められなかった。さらなる大規模な試験を行い、イベルメクチンの他の臨床関連アウトカムの効果を明らかにする必要があるだろう」と述べている。JAMA誌オンライン版2021年3月4日号掲載の報告。