救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:59

ロピナビル・リトナビルはCOVID-19死亡リスクを下げない/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者において、ロピナビル・リトナビルによる治療は28日死亡率、在院日数、侵襲的人工呼吸器または死亡のリスクを低下しないことが、無作為化非盲検プラットフォーム試験「RECOVERY試験」の結果、明らかとなった。英国・オックスフォード大学のPeter W. Horby氏ら「RECOVERY試験」共同研究グループが報告した。ロピナビル・リトナビルは、in vitro活性、前臨床試験および観察研究に基づいてCOVID-19の治療として確立されていたが、今回の結果を受けて著者は、「COVID-19入院患者の治療として、ロピナビル・リトナビルの使用は支持されない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年10月5日号掲載の報告。

重症COVID-19の心停止、高齢なほど転帰不良/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症患者の院内心停止の発生は、とくに高齢者で頻度が高く、心肺蘇生(CPR)後の生存率は不良であることを、米国・ミシガン大学のSalim S. Hayek氏らが、米国68病院のICUに入室した5,000例超のCOVID-19重症患者を対象に行ったコホート試験で明らかにした。院内心停止を呈したCOVID-19重症患者は転帰不良であるとの事例報告により、同患者集団へのCPRは無益ではないかとの議論が持ち上がっている。このため研究グループは速やかにデータを集める必要があるとして本検討を行った。BMJ誌2020年9月30日号掲載の報告。

内科医も知っておきたい小児感染症の特殊性/日本感染症学会

 2020年8月に現地とオンラインのハイブリッド方式で開催された日本感染症学会学術講演会において、名古屋大学医学部附属病院の手塚 宜行氏(中央感染制御部)が「内科医も知っておきたい小児感染症の特殊性」とのテーマで発表を行った。  手塚氏によると、小児感染症が成人と異なる事項は、以下の4点に集約される。 1)年齢(月齢)によってかかる病気が変わる 2)ウイルス感染症が多い  3)検体採取が困難なケースが多い 4)病勢の進行が速い

COVID-19、ECMO導入患者の院内死亡率は?/Lancet

 体外式膜型人工肺(ECMO)を導入された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者では、装着から90日後の推定死亡率、および入院中の患者を除く最終的に死亡または退院となった患者の死亡率はいずれも40%未満であり、これは世界の多施設のデータであることから、COVID-19患者で一般化が可能な推定値と考えられることが、米国・ミシガン大学のRyan P. Barbaro氏らExtracorporeal Life Support Organization(ELSO)の検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年9月25日号に掲載された。いくつかの大規模な医療組織では、COVID-19関連の急性低酸素性呼吸不全患者に対してECMOによる補助が推奨されている。一方、COVID-19患者でのECMO使用に関する初期の報告では、きわめて高い死亡率が示されているが、COVID-19患者におけるECMO使用に関する大規模な国際的コホート研究は行われていなかった。

COVID-19は素早く見つけて包囲し対処/日本感染症学会

 第94回日本感染症学会総会・学術講演会(会長:館田 一博氏[東邦大学医学部 教授])が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下、8月19日~21日の期日でインターネット配信との併用で東京にて開催された。  今回のテーマは、「感染症学の新時代を切り拓く-“探求する心”を誇りとして-」。学術集会では、特別講演に大隅 良典氏(東京工業大学)、満屋 裕明氏(国立国際医療研究センター)などの講演のほか、招請講演として学会の国際化がさらに前進することを期待し欧米の著名な感染症、ワクチンの専門家が講演者に迎えられた。基調・教育講演でも学際的な交流の活性化を目的にさまざまな臨床領域の講師が登壇した。

統合失調症患者のCOVID-19による院内死亡率

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により入院が必要となる統合失調症患者の特徴やアウトカムに関する情報は限られている。フランス・エクス=マルセイユ大学のG. Fond氏らは、COVID-19に罹患した統合失調症患者の臨床的特徴およびアウトカムを明らかにするため、統合失調症でない感染者との比較検討を行った。L'Encephale誌オンライン版2020年7月30日号の報告。  本検討は、南フランス・マルセイユの4つの公的支援急性期医療病院に入院したCOVID-19患者の症例対照研究として実施した。入院を必要とするCOVID-19患者は、鼻咽頭サンプルのPCR検査および/または胸部CTの陽性結果で確認した。主要アウトカムは院内死亡率とし、副次的アウトカムはICU入室とした。

COVID-19急性呼吸不全への副腎皮質ステロイド薬投与について(解説:小林英夫氏)-1289

本論文はCOVID-19による急性呼吸不全症例に対するヒドロコルチゾンの治療効果を検討する目的で開始されたが、デキサメタゾンによるCOVID-19死亡率抑制効果が国際的に認証されたため、中断となった報告である。副腎皮質ステロイド薬の種類により治療効果に大きく差が生じる可能性は低いだろうと予想されるので、試験中止は妥当な選択であったのかもしれない。中断試験であるのでその結果解釈にバイアスが大きいが、プラセボ群との間で治療効果に有意差を検出できなかった点、投与群中約4割で効果を認めなかった点、には留意しておくべきであろう。副腎皮質ステロイド薬が治療効果をもたらさない症例が存在することはデキサメタゾンでも同様である。

COVID-19、18~34歳の臨床転帰と重症化因子

 米国や日本では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の若年者における感染が拡大している。しかし、COVID-19は高齢者に影響を及ぼす疾患として説明されることが多く、若年患者の臨床転帰に関する報告は限られる。米国・ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJonathan W. Cunningham氏らは、COVID-19により入院した18~34歳の患者約3,000例の臨床プロファイルと転帰について、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2020年9月9日号リサーチレターで報告した。

心停止状態での搬送、現場蘇生法継続に比べ生存退院率が低い/JAMA

 院外心停止(OHCA)患者の心停止状態での搬送は、現場での蘇生法継続に比べ退院時の生存割合が低く、神経学的アウトカムも不良であることが、カナダ・St. Paul's HospitalのBrian Grunau氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年9月15日号に掲載された。救急医療システム(EMS)におけるOHCA患者の蘇生処置中の病院搬送に関しては、さまざまな見解が存在する。蘇生法を施行中の心停止状態での搬送が、現場での継続的な蘇生法の実施と比較して有益性が高いか否かは明らかにされていないという。

外傷性脳損傷への入院前トラネキサム酸投与開始は有益か/JAMA

 中等度~重度の外傷性脳損傷(TBI)患者において、受傷2時間以内の入院前トラネキサム酸投与は、プラセボ投与と比較して6ヵ月後の神経学的アウトカム(Glasgow Outcome Scale-Extendedで測定)を有意に改善しないことが示された。米国・オレゴン健康科学大学のSusan E. Rowell氏らが、米国とカナダの外傷センターおよび救急医療機関で行った多施設共同二重盲検無作為化試験の結果を報告した。TBIは、外傷性の死亡および障害をもたらすが、早期のトラネキサム酸投与がベネフィットをもたらす可能性が示唆されていた。JAMA誌2020年9月8日号掲載の報告。