救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:89

4割が偽造医薬品!インターネット上に流通するED薬の実態

 国内でED(勃起不全)治療薬を製造・販売している製薬企業が合同で、インターネットから入手したED治療薬の調査を実施し、その結果を11月24日に都内で発表した。今回入手した医薬品を調査・分析した結果、4割が偽造医薬品であることが判明した。また、成分を分析した結果、有効成分の含量が150%含まれているものや、有効成分がほとんど含まれていないものがあった。また、正規品には存在しない規格の製品もみられたという。

小児/青年ICU患者の急性腎障害、重症度と死亡リスク/NEJM

 小児集中治療室に入院中の重症小児・若年成人において、急性腎障害(AKI)の発症頻度は高く、死亡率増加など予後不良と関連している。米国・シンシナティ小児病院のAhmad Kaddourah氏らによる、国際共同前向き疫学研究(Assessment of Worldwide Acute Kidney Injury, Renal Angina, and Epidemiology:AWARE)の結果、明らかになった。結果を踏まえて著者は、「ICU入室時には急性腎障害の系統的な検査が必要である」と強調している。小児および若年成人におけるAKIの疫学的特徴は、これまで単施設および後ろ向き研究で示されてきたが、AKIの定義や重症度などが異なり一貫した結果は得られていなかった。NEJM誌オンライン版2016年11月18日号掲載の報告。

薬物有害事象による救急受診、原因薬剤は?/JAMA

 米国において2013~14年の薬物有害事象による救急外来受診率は、年間1,000例当たり4件で、原因薬剤として多かったのは抗凝固薬、抗菌薬、糖尿病治療薬、オピオイド鎮痛薬であった。米国疾病予防管理センターのNadine Shehab氏らの分析の結果、明らかになった。米国では、2010年の「患者保護および医療費負担適正化法(Patient Protection and Affordable Care Act :PPACA)」、いわゆるオバマケアの導入により、国家的な患者安全への取り組みとして薬物有害事象への注意喚起が行われている。結果を受けて著者は、「今回の詳細な最新データは今後の取り組みに役立つ」とまとめている。JAMA誌2016年11月22・29日号掲載の報告。

意外に多い重病小児急性腎障害の発症―尿量チェックが大事―(解説:浦 信行 氏)-619

従来より、種々の疾患で重病の状態にある患者は急性腎障害(AKI)を合併しやすく、これが生命予後を脅かすとの指摘がなされている。重病小児におけるAKIの生命予後に関する研究は2つあり、生命予後予測に関して一定の有用性が示されていたが、単一施設後ろ向き観察研究のみに限られていた。本研究は国際的な大規模前向き疫学研究であり、集中治療室(ICU)での治療を要する重病小児~若年成人の4分の1以上の26.9%がAKIを発症し、11.6%の重症のAKIでは死亡リスクの増加を招くことがNEJM誌に報告された。

日本初のDOAC中和剤発売、迅速・完全・持続的な効果

 経口抗凝固薬ダビガトランに対する特異的中和剤であるイダルシズマブ(商品名:プリズバインド、日本ベーリンガーインゲルハイム)が、7ヵ月という短い審査期間で今年9月に承認され、11月18日に発売された。11月15日の発売記者説明会では、国立病院機構九州医療センター脳血管センター脳血管・神経内科の矢坂正弘氏が、抗凝固薬による出血リスク、イダルシズマブの効果や意義について紹介し、「迅速・完全・持続的に効果を示すイダルシズマブは臨床現場で有用な薬剤になるだろう」と述べた。

失神入院患者は肺塞栓症有病率が高い?/NEJM

 失神の初回エピソードで入院した患者は、約6例に1例の割合で肺塞栓症を有することが、イタリア・パドヴァ大学のPaolo Prandoni氏らが行ったPESIT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年10月20日号に掲載された。失神は、急激に発症し短時間(<1分)で自然に解消する一過性の意識消失と定義され、一時的な脳の低灌流に起因すると考えられている。多くの教科書では、肺塞栓症は失神の鑑別診断に含まれるが、厳格な試験デザインで有病率を検証した研究はなく、欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの現行のガイドラインでは、これらの患者で肺塞栓症の診断を確定するための精査にはほとんど注意が払われていないという。

低体温療法、院内心停止例に有用か/JAMA

 院内心停止蘇生後患者に対する低体温療法の施行は、通常ケアと比較して生存退院率および良好な神経学的予後について、いずれも低い可能性が、米国・Saint Luke's Mid America Heart InstituteのPaul S. Chan氏らによるコホート研究の結果、示唆された。低体温療法は、院外および院内の心停止蘇生後患者に対して施行されるが、院内心停止患者に関する無作為化試験は行われておらず、有効性に関するデータは限定的である。JAMA誌2016年10月4日号掲載の報告。