麻酔科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

再発ヘルペスを患者判断の服薬で抑止

 再発性単純疱疹の初期症状に対し、患者判断で抗ヘルペスウイルス薬の服用を開始できるPIT(Patient Initiated Therapy)としての用法・用量がわが国で初めて承認された。  これを機に、2019年3月6日、マルホ株式会社が開催したメディアセミナーにて、本田 まりこ氏(東京慈恵会医科大学皮膚科 客員教授/まりこの皮フ科 院長)が、ヘルペスウイルスによる感染症について、最新の動向と治療戦略を語った。  ヘルペスウイルスは、初感染後、生涯にわたって神経節に潜伏感染する。なかでも単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症は、免疫力の低下をきっかけに再発を繰り返す。年間再発回数は、HSV-1(主に口唇ヘルペスの原因)感染者で平均2.14回、HSV-2(主に性器ヘルペスの原因)感染者で平均9.34回というデータが報告されている。

オピオイド使用障害に持効性ブプレノルフィン注が有用/Lancet

 オピオイド使用障害治療の月1回皮下注薬であるRBP-6000(徐放性ブプレノルフィン:BUP-XR)について、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験の結果、プラセボと比較してオピオイド断薬率が有意に高く、忍容性も良好であることが示された。米国・Indivior社のBarbara R. Haight氏らが報告した。BUP-XRは、月1回投与によりオピオイド乱用の薬物嗜好を遮断するブプレノルフィン血中濃度を維持し、同時に離脱症状や渇望症状をコントロールすることから、医療現場ではBUP-XRの投与が中毒や乱用等も軽減することが期待されていた。Lancet誌2019年2月23日号掲載の報告。

脳波に基づく麻酔薬の調節、術後せん妄を抑制せず/JAMA

 大手術を受けた高齢患者の術後せん妄の予防において、脳電図(EEG)ガイド下麻酔薬投与は、通常治療と比較して有効ではないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学のTroy S. Wildes氏らが行ったENGAGES試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月5日号に掲載された。術中EEGにおける脳波の平坦化(suppression)は過剰に深い全身麻酔を示唆することが多く、術後せん妄と関連するとされる。  本研究は、EEGの脳波図に基づき麻酔薬の投与を調節するアプローチによる、術後せん妄の抑制効果の評価を目的に、単施設(米国、セントルイス市のBarnes-Jewish病院)で行われたプラグマティックな無作為化臨床試験である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。

頭蓋結合双生児の分離成功は早期着手がカギ/NEJM

 頭蓋結合双生児は、まれな先天異常であり、上矢状静脈洞を共有する完全癒合の双生児は合併症や死亡の割合が高いとされる。米国・ペンシルベニア大学のGregory G. Heuer氏らは、集学的チームにより、生後10ヵ月の完全癒合頭蓋結合双生児(女児)の外科的分離に成功した。詳細な症例報告が、NEJM誌2019年1月24日号に短報として掲載された。分離手術では、3次元プリンターを用いたコンピュータ支援によるデザインとモデリング、特別仕様のデバイス、術中ナビゲーション技術が使用された。これらの技術は、早期の分離を可能にし、若い脳の再生能を生かすことにつながったという。

非がん性慢性疼痛へのオピオイド、有益性と有害性/JAMA

 非がん性慢性疼痛に対するオピオイド使用は、プラセボとの比較において疼痛および身体機能の改善は統計学的に有意ではあるがわずかであり、嘔吐リスクは増大することが示された。また、オピオイド使用と非オピオイド使用の比較では、低~中程度のエビデンスであるが、疼痛、身体機能に関するベネフィットは同程度であった。カナダ・マックマスター大学のJason W. Busse氏らが、非がん性慢性疼痛のオピオイド使用に関する無作為化試験(RCT)のシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにした。非がん性慢性疼痛に対するオピオイドの有害性および有益性は、不明なままであった。JAMA誌2018年12月18日号掲載の報告。

その痛み、がんだから? がん患者の痛みの正体をつきとめる

 がん治療の進歩により“助かる”だけではなく、生活や就労に結びつく“動ける”ことの大切さが認識されるようになってきた。そして、がん患者の多くは中・高齢者であるが、同年代では、変形性関節症、腰部脊柱管狭窄症、そして骨粗鬆症のような運動器疾患に悩まされることもある。日本整形外科学会主催によるプレスセミナー(がんとロコモティブシンドローム~がん時代に求められる運動器ケアとは~)が開催され、金沢大学整形外科教授 土屋 弘行氏が、がん治療における整形外科医の果たすべき役割について語った。

末梢静脈カテーテル留置は世界中で毎年20億回も行われている(解説:中澤達氏)-911

この論文を読んで、早朝7時の病棟を思い出した。同じ経験をされている方々も多いと思うが、朝食前の採血と末梢ライン留置は研修医の仕事だった。容易に静脈が確認できる患者さんでは失敗はしなかったが、静脈が表面から見えないときは緊張した。先方もこちらが医師1年生であることは認識しているのだから、失敗してsecond tryともなると、気まずい雰囲気にならないようなコミュニケーションが必須だった。手技を習得するというより、コミュニケーション能力の向上のためのトレーニングと思っていたほどだ。それは、手技時間だけで構築されるものではなく、日々の回診や処置や雑談から(信用・信頼、本当だろうか?)獲得されていたのだ。

陣痛緩和にレミフェンタニル自己調節鎮痛法が有用/Lancet

 陣痛時の疼痛緩和において、静脈内レミフェンタニル自己調節鎮痛法(PCA)は、ペチジンの筋肉内投与に比べ、硬膜外麻酔への変更を要する女性が少ないことが、英国・シェフィールド大学のMatthew J. A. Wilson氏らの検討「RESPITE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2018年8月25日号に掲載された。陣痛の緩和のためにペチジン筋注を受けた女性の約3分の1が、その後に硬膜外麻酔を要し、良好な疼痛緩和が得られるものの、器械的経膣分娩のリスクが増加する。陣痛時のレミフェンタニルPCAはペチジンの代替法とされるが、十分には普及していないという。

高所得国の平均余命、米国が最下位の理由は?/BMJ

 OECD加盟の高所得国18ヵ国の中で、米国の平均余命は最も低く、他国との差は年々開いているという。米国では2014~16年には連続して平均余命の低下が報告され、また英国では2014~15年に低下が報告された。米国・南カリフォルニア大学のJessica Y. Ho氏らは、他の高所得国でも2014~16年に平均余命の低下が起きていないかを調べ、低下の原因を特定し、原因は各国に共通したものなのか否か、低下を引き起こした原因別の規模を調べた。BMJ誌2018年8月15日号掲載の報告。

腰痛や肩こりなどの「痛み」による経済損失約1兆9千億円

 働き方改革のもと、仕事へのかかわり方や働き方が変化しつつある。その中でも見過ごされやすい問題として、健康問題を抱えて就業ができない、効率を上げることができないという就労問題がある。今回、健康に起因する就労問題の中でも「痛み」に焦点をあて、ファイザー株式会社とエーザイ株式会社が共催で、2018年8月8日にプレスセミナーを開催した。セミナーでは、「健康経営時代に欠かせない『痛み』の早期診断と治療」をテーマに、「痛み」がもたらす社会的損失と神経障害性疼痛のスクリーニングツールについて講演が行われた。